INTERVIEW
lynch.
2014.04.08UPDATE
2014年04月号掲載
Member:葉月 (Vo) 玲央 (Gt) 悠介 (Gt) 明徳 (Ba) 晁直 (Dr)
Interviewer:荒金 良介
-ええ。
葉月:僕が全部英語で歌って、メロディの歌謡性をなくして、本物のロックに近づけようとしても、それは本物ではないから。本物と言われてるものに似てる。いちばん最悪のパターンになる気がして(笑)。日本語の歌謡性も自分の中にあるオリジナリティなんだ、と割り切らないことには何も始まらない。悪く言うと諦めでもあり、良く言えば切り替えですね。その上で書いた日本語詞なので、いままでと全然違うものになってると思います。わかりやすい日本語詞が嫌で、抽象的に書くことも多かったけど、日本語で歌うならわかりやすくないと面白くないから。
-今回の歌詞はわかりやすいですね。
葉月:はははは。とことんやろう!という気持ちで臨んだから。いままでよりも攻撃力は高いんじゃないですかね。
-lynch.というバンドの本質に向き合わざるを得なかった?
葉月:『EXODUS-EP』で客観的に自分たちを見て、どうすればこのバンドが良く見えるのか、強くなれるのかを考えて。今回は何1つ遠慮せずに武器を全部ブチまけることができた。
玲央:世の中にはハッピーで楽しいロックもあるけど、自分らはそれが向いてるかと言うと向いてない。じゃあ、何が向いているのか。そうなったときに衣装も黒づくめで、ダークさと攻撃性のある音楽が得意な人間が集まっているし、ゴシック的な雰囲気付けも好きですからね。それをあえてこの時代に出して、多くの人に支持されるかどうか。『EXODUS-EP』リリース前のツアーやその後のツアーでも結果が伴っていたので、自分たちが好きなもの、得意なものをやった方が相手により届けられるんじゃないかと。周りのブームは気にせず、自分たちを良く伝えられる方法がベストだなと。『EXODUS-EP』でおぼろげだったものが確信に変わりました。
葉月:今回は人間味が全然違うと思います。日本語になったことも大きいけど、どういう人間がどういう思いを歌っているか。それがかなりわかりやすくなってるんじゃないかな。サウンド的にもヘヴィで刺さる音ではあるけど、温かみのある音になってる。"人"がやってるんだよ、という部分を出したくて。今の海外のバンドとか、日本の若いバンドなら打ち込みでやっちゃえばいいよね、みたいなところがあるかもしれないけど。実際に叩いてるし、それが音にも表れてるし、より人間が前に出てると思います。
-演奏面はどうですか?
玲央:コード1つでも簡潔で終わらせる勢い重視ではなく、広がりや奥行きを考えて構築しました。10年やってきて、"このバンドの良さ=メンバーの良さ"を出そうと。
晁直:以前よりギターのアレンジも違うと思うんですよ。パワー・コードでダーンとやる、ギターらしいギター・フレーズがたくさんありますからね。リズムに関しては、それほど大きく変化してないかもしれないけど。
明徳:楽器で言うと、2人のギターにらしさというか、もっとも武器になるフレーズを入れてほしい、と最初の段階から葉月さんから依頼があって。みんなが強い武器を出し合った感じですね。あと、この作品に向けたみんなの気持ちも高くて、それも出てるんじゃないですかね。
悠介:今までは時間がない中のレコーディングが多くて、逆に今回みたいに時間があると、それはそれで大変で葛藤はありました。あと、今回プレイ面で新しいチャレンジというより、いままで培ってきたものをビルドアップさせようと。コードの響きだったり、玲央さんとの絡みを入念にアレンジして。わりと自然なものだったりするんですよね。とにかく精神面ですね。そこが1番大変でした。
-そうなんですね。
悠介:今回はアルバム名にしろ、曲名にしろ、凶悪な感じが出てるし、聴いて安心するんですよね。今回は日本語詞を多く取り入れてることもあり、1人暮らしの子供が実家に帰って来た感じというか(笑)。昔に戻ったような感覚もあって。それでヘンな安心感があるし、言葉遊び的な歌詞や言い回しもウチらの武器でもあるし、それは『EXODUS-EP』と比べても全然違いますね。