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LIVE REPORT

G-FREAK FACTORY

2025.05.17 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:上坂和也

G-FREAK FACTORYが、4年ぶりのアルバム『HAZE』を引っ提げ昨年10月からスタートしたツアー[G-FREAK FACTORY "HAZE" TOUR 2024-2025]。全国35ヶ所、36公演に及んだそのファイナルが、5月17日、Zepp DiverCity(TOKYO)で行われた。朝からの雨が止み、ソールド・アウトした会場は早い時間から期待を膨らませた観客が埋め尽くし、今や遅しとバンドの登場を待ち侘びている。前スタジオ・アルバム『VINTAGE』でのツアー・ファイナル([G-FREAK FACTORY"VINTAGE"TOUR 2021])もまたここZepp DiverCityだったが、当時はコロナ禍の開催でフロアにも椅子が並び、観客は声が出せないなかでのライヴとなった。制限があったからこその創意工夫でアコースティック・セットでのセクションを設ける等、G-FREAK FACTORYの音楽のエネルギー、歌や言葉のエネルギーを心身に充電していくような体験だったが、そこから約4年。この日のZepp DiverCityは頭から、観客の歌声が大きく響き渡っている。また、アルバム『HAZE』はそうさせてくれる、生の実感や力をくれる作品だ。原田季征(Gt)、吉橋伸之(Ba)、Leo(Dr)、キーボーディストによるジャムで始まり、茂木洋晃のヴォーカルが優しく、エモーショナルに響く「アメイロ」から、フロアも2階席の観客も我が曲のようにその歌を口ずさむ。リリースからこのアルバムの曲たちを日々の力にしていたのだろう。前のめりでサウンドに、ステージに食らいついていくような高い熱量が会場内に立ち込める。

さらに凄まじさを増しているのがバンド・アンサンブルだ。2023年秋にサポートから正式加入となったドラム Leoと共にアルバム制作、ツアーをして、バンドとしての密度を上げていった。まだまだ進化を続け、研ぎ続ける気迫を感じる演奏。茂木はこの日MCで、この上手いメンバーがいつでも自分の士気を上げてくれる最高のライバルで、そこに負けない歌を歌うということを言っていたが、序盤の「YAMA」での、鳥肌の立つような痺れる重厚感と重量感とを持ったギター・リフやビート、野太い掛け声と共にアクセルを踏み込んでスピードを上げ、またジャジーな展開でも魅せる「WHO UNCONTROL」、"踊ろうぜ"という茂木の言葉から、グルーヴィなギター・リフにハンドクラップが重なる「REAL SIGN」等、1曲、また1曲と確実に観客の身体を捉えていくアンサンブルは強力だ。

"ようZepp(DiverCity)。よくここに辿り着いたな"(茂木)。そんな言葉から突入した中盤はアルバム『HAZE』という作品の深みを伝えた。地に足をつけ、その感触や実感を確かめるように、有象無象な情報に惑わされることなく日々を生きる。コロナ禍での数年を経て変わった日常やそこで確かとなった軸、見えてきた景色が「ある日の夕べ」からじっくりと描かれていく。特にステージから放たれる煌々とした照明とメロディの高揚感に、一斉に拳とシンガロングが上がった「voice」。そしてダビーな「RED EYE BLUES」から、駆け上がるようにサウンドのボルテージを上げて語り掛け、そしてフィルターなしのリアルを突き付けるように歌う「STAY ON YOU」、再び大きなコールの渦を生み出す「ALL FOR SMILE」という、ダイナミックなうねりのある流れに痺れる。改めて、長いツアーが終わりを告げようとしていることへの寂しさや、この場を選んで集まってくれた観客への感謝、コロナ禍の前回のZepp DiverCityでの光景にも触れつつ、あのときも最高だったが今が最高だと茂木は語った。その言葉からの「Dandy Lion」は一段と優しく響く。

再び頭からの会場一体となったシンガロングで、恍惚感で満ちた美しいシーンを生み出した「HARVEST」から、"声出していこうか"(茂木)という掛け声に、シンガロングのボリュームがマックスとなった「Too oLD To KNoW」へと、観客へと主役をバトンタッチするような曲が続く。「らしくあれと」や「ダディ・ダーリン」といったライヴ定番曲はもちろんだが、今回のライヴのフロアの歌声はとにかく大きい。ライヴ後半だが、むしろ喉も開いて絶好調な感じで拳を上げ、手拍子し、そして全身で歌う。たくさんの人の渦巻くエネルギーが、バンド・アンサンブルと爆発的なケミストリーを生んでいく。これぞG-FREAK FACTORYのライヴという湧き上がる興奮と力とに満ちている。その観客に貰ったパワーを充填しまくった演奏が冴えたのが続く「SOMATO」、「乞え -KOE-」、「BREAK ADDICTION」という獰猛なアンサンブルによるアグレッシヴな曲たちだ。「Unscramble」では、茂木がTシャツを脱ぎ捨てパフォーマンス。沸騰するフロアをさらに熱する骨太でハードコアな曲の連投に、会場のボルテージも最高潮を迎えた。 2年後には、30周年を迎えるG-FREAK FACTORY。そのときは何かできたらと未来への期待や約束を交わし、ラストに送ったのは「Fire」だ。ここから日常に戻っていくなかでも、共にその灯火を絶やさないように。そんな願いも感じるエモーショナルな演奏や歌が会場を包む。次に会う日までのたくさんの燃料を貰う、そんなステージだ。

アンコールでは「Parallel Number」、「EVEN」、「日はまだ高く」が演奏された。同郷でサッカー元日本代表、細貝 萌を歌った「Parallel Number」では、茂木が細貝氏に借りたという代表ユニフォームとキャプテン・マークとを身に着けて歌った。また「日はまだ高く」では、"子どもたち、いるか"とフロアに声を掛けステージに上げていく。たくさんの子どもたち(あのフロアにこんなにもいたのかと驚いたが)とフロアを眺め、大人がこんなに笑顔になっている、捨てたもんじゃないだろと言う。明るく照らされた会場の、そのホーム感が温かい。特別で、それでもいつでも帰ってこられる安心感とフレンドリーさがある、ツアーの締めくくりに相応しい一夜となった。

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