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LIVE REPORT

HEY-SMITH

2024.06.03 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:HayachiN

昨年11月から6thアルバム『Rest In Punk』を携え全国津々浦々を回る"Rest In Punk Tour"を行ったHEY-SMITH。今年4月からは、"Rest In Punk Tour Final Series"と題して全国のZeppを含む10公演がスタート。全公演対バンありで、マキシマム ザ ホルモンやSiM、10-FEETなど、ライヴ猛者が並んだ。 そのセミファイナルが6月3日Zepp Haneda(TOKYO)で開催され、この日のゲストは、これまでも対バンはしているが、ちょっと意外な組み合わせにも思えるMy Hair is Bad。実はHEY-SMITHとはバンドをスタートして間もない頃から15年来の付き合いで、椎木知仁(Gt/Vo)いわく、これまでいろんな時間を過ごしてきたという。セミファイナルという日を任され、HEY-SMITHとの出会いや、打ち上げでのエピソードを交えながらも、"いちバンドマンとして、最高の夜を作りに来ました"と高らかに宣言。マイヘア(My Hair is Bad)らしい、ボルテージの高い、ソリッドでエモーショナルなロックで観客を揺さぶり"Rest In Punk Tour"を盛り上げた。

ツアー・タイトルが掲げられた真っ赤なバックドロップが一段と映えるステージにお馴染みのSEが流れるや、観客の熱が急上昇。すでに会場中に興奮の空気や歓声が立ち込めるなかで、スタートしたのは「Say My Name」だ。ツアーで磨き上げられ、もはやずっと以前からのライヴ定番曲だったかのように、最初から大きなシンガロングが巻き起こっていく。さらにYUJI(Ba/Vo)、猪狩秀平(Gt/Vo)、そして満(Sax)、イイカワケン(Tp)、かなす(Tb)の5人が舞台の最前線に横一列に並んだフォーメーションで、いつにも増して迫力のある音の壁でフロアを襲う感覚もある。その背後から、Task-n(Dr)が強靭なビートでパワーを送っているようなステージで、実際音量もかなり上がっていたと思うが、視覚的にも体感的にも、目の前で爆音やエネルギーを感じるものとなっていた。

前半には「Be The One」や「Still Ska Punk」といった『Rest In Punk』からの曲が続いたが、"よく来たな。今日は新しい曲も古い曲もバンバンやっていくから"(猪狩)と、中盤からは新旧の曲が入り交じり、さらにこの"Rest In Punk Tour"でアップデートされた、重厚でボリューム感溢れるアレンジや繋ぎで観客に汗をかかせた。ホーン3人もいつものようにステージ上を自由自在に駆け巡り、また高らかな一撃で演奏はもちろんのことフロアの士気を上げ、「Fog And Clouds」や「Inside Of Me」ではドープなパートで観客を酩酊させもする。一方、そこにカンフル剤的に投下されるのが「Over」や「Endless Sorrow」といったキラーチューンとも呼べる曲。縦に横にと自在なビートや瞬時に観客の拳を上げさせるリフやメロディで、フロアはカオス状態だ。

"お前は頑張って生きてる、お前は何も間違ってない"と猪狩が観客に語り掛け、"お前は最高だっていう曲"と告げスタートしたのは「You Are The Best」。『Rest In Punk』からの1曲で繰り返し演奏されてきたこの曲は、ツアーを通じてさらに力強く、温かなアンセムとなって響いている。そこから「Don't Worry My Friend」へという流れがまた、グッと胸に響く。新旧の曲が入り交じりながらも、一貫してあるのは目の前の、すぐそばにいる誰かに語り掛けるフレンドリーで熱い言葉であり、リアルで普遍的なメッセージだ。"ここまでの54本で一番最高やった。今の俺たちの気持ちを歌わせてください"(猪狩)と演奏した「I'M IN DREAM」から、ラストに放ったのは「Rest In Punk」。大好きなバンドの、大好きな人を失って決めたことがあると、猪狩は語る。その命に最大限のリスペクトを込めて、精一杯人生を楽しんでやると決めたと、「Rest In Punk」をエネルギッシュに叩きつけた。この曲もまたツアーで重ねることで、最初に書いた想いに加えて、様々な願いや意思が加わって、どんどんタフになっていると感じた。"また、必ず会おう"という言葉は明るく、そしてこのツアーの充実感が伝わってくるものだった。

アンコールではYUJIが、年始に地元である石川県で震災があり、自身もその場にいたことを告げた。実はこのライヴ当日の6月3日にも能登では大きな揺れがあり、まだまだ心配な日々が続いている。YUJIもこうしてツアーに戻れるのか不安があったと言う。それでも"これからもHEY-SMITHや、石川県のこともよろしく"と言って、「Goodbye To Say Hello」や、お馴染み「Come back my dog」などをお見舞いし、頭から終わりまで胸を撃ち抜き、心揺さぶっていくステージとなった。

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