LIVE REPORT
HEY-SMITH
2023.11.16 @Zepp Shinjuku (TOKYO)
Writer : 吉羽 さおり Photographer:HayachiN
アルバム『Life In The Sun』以来、約5年ぶりのニュー・アルバム『Rest In Punk』をメジャーよりリリースしたHEY-SMITH。そのアルバムを携えた全国ツアー"Rest In Punk Tour"が、11月16日のZepp Shinjuku (TOKYO)公演からスタートした。対バンによるこのツアーで初日を含む4公演に出演するのは、米カリフォルニア発のスカ・パンク・バンド VOODOO GLOW SKULLS。
まずステージに登場したVOODOO GLOW SKULLSが会場を温める──というよりものっけから観客のテンションをマックスへと持っていくライヴで、フロアは熱狂の渦と化していく。Efrem Martinez-Schulz(Vo)は、スカは好きか、パンクは好きか、スカ・パンクは好きか! と問い、さらにステージを降りて客席へとずんずん進んでいって観客ともみくちゃになって盛り上げていくというフル・スロットルぶりだ。メンバーの変遷はあるものの30年以上スカ・パンク道を突き進んできたレジェンドからの最高のバトンを受けての、HEY-SMITHのステージ。気合が入るなんていうもんじゃないだろう。
"Rest In Punk Tour"と描かれた超特大のバックドロップを背に、お馴染みのSEで登場したHEY-SMITH──猪狩秀平(Gt/Vo)、YUJI(Ba/Vo)、満(Sax)、Task-n(Dr)、かなす(Tb)、イイカワケン(Tp)。勢い良く幕を開けるように一斉に音をかき鳴らすと、会場が震えるくらいの歓声が沸く。この初日から年を跨いで2024年4月10日まで本ツアーが、そして4月20日からはファイナル・シリーズとして全国のZepp含めさらに10公演が続いていく、ロング・ツアーとなる。セットリストについては各公演で楽しみにしていてほしいが、これまでのライヴ・アンセムに、アルバム『Rest In Punk』が加わったこのツアーは最強だ。
アルバム前にリリースされ、すでにライヴ・チューンとして磨き上げられ様々なライヴハウスを熱してきた「Be The One」で大きなシンガロングを起こし、重厚且つキャッチーさもあるホーンに興奮が上がっていく「Inside Of Me」や、さらにダビーなアンサンブルで聴かせる「Inside Of Me W.E.E.D」でドープな酩酊感をも生み出してきたが、アルバムの新曲が加わりよりドラマに富んだ印象がある。特に鋭く突き抜けていくYUJIの歌のパワーが空間を射抜いていく「Say My Name」は曲としての存在感が抜群に高い。TVアニメ"『東京リベンジャーズ』天竺編"のエンディング主題歌として書き下ろされたこの曲は、HEY-SMITHが持つ要素、武器がすべて搭載された。2分に満たない短い曲だが、キャッチーなメロディ、ハードコアなビートと攻撃的なリフ、エモーショナルで迫力のあるホーンで、身体を突き動かし、また心にも深く響かせていくボリューム感になっている。会場が一気に沸き立っていく曲になったのは必然だろう。
VOODOO GLOW SKULLSのMCを受け猪狩は、"スカもパンクも、スカ・パンクも好きなのってまさに俺たちのことじゃない?" と語り、"今日はガチで飛ばしていくから"とシンガロングを煽り、"踊れ!"と盛り上げる。すでに序盤からフロアはもみくちゃで沸騰している状況だが、中盤に差し掛かると観客の熱気でフロア全体がもやっているような感じだ。そんな会場に何度も"最高だ"と猪狩は叫ぶ。ツーマンでのライヴとなったが、アンコール含め20曲を超える曲を披露した。中でも、アルバム・タイトル曲でもある「Rest In Punk」で"絶対にまた会おう。生きて、生きて、生き延びて必ずまた会おう"と会場全体が明るく照らされたなかでフロアと一体となって歌い上げたその力強さは感動的でもあった。ここから始まるツアーの成功を物語る、これぞHEY-SMITHのライヴたる夜となった。
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