MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

The BONEZ / AIR SWELL

2015.06.12 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 山口 智男

ステージがすごく近い。もちろん、ここよりも小さいライヴハウスは他にもあるし、実際、入口からステージまでの奥行きもそれなりにあると思うのだが、そういうふうに作っているということなのか、何かしらの目の錯覚なのか、ステージまでの距離に比べて、ステージがすごく近くに感じられるところが面白い。それが足を踏み入れた第一印象。激ロックが下北沢に新たにオープンしたライヴハウス、LIVEHOLICのこけら落とし公演シリーズ。その第4弾となるAIR SWELLとThe BONEZのカップリング・ライヴを観るため、初めて足を運んでみた。

機材の搬入出に若干、時間がかかるものの、バンドのメンバーがお客さんと同じ入口から入って、スタンディングの客席フロアを、"すみません、通してください"と言いながらスタッフに導かれ、ステージに上がるというシステム(?)も面白い。いつもステージに立っている姿を見上げているか、遠めに観ているかしているバンドを間近に観られ、場合によっては握手したり声をかけたりできるんだから、嬉しいというファンもいるんじゃないか......などと、背後から急に現れたAIR SWELLのメンバーにびっくりしながらそんなことを考えていると、セッティングを終えたhamaken(Vo/Gt)が"猫被ってんじゃねえぞ!"と雄叫びを上げ、ステージの3人――hamaken、hiromitsu(Ba/Cho)、Yudai(Dr)はいきなり演奏になだれこんだ。

やっぱり近い。実際、ステージにバンドが立つと、その近さが余計に感じられる。これは迫力がある。"こんなんじゃ全然足りねえよ。下のロカホリ(ROCKAHOLIC -shimokitazawa-)が潰れるまで跳びはねろ!""回れ!回れ!"と大暴れするオーディエンスを、hamakenがさらに煽りながら、エレクトロな音色やシンガロングを誘うポップなメロディも交えたハイブリッド且つラウドなロック・ナンバーを畳みかけるバンドの熱演がフロアの1番後ろから観ていてもダイレクトに感じられた。そして、ラストの「バッドボーイズ セレナーデ」ではコーラス用のマイク2本を客席に投げ入れ、全員でシンガロング! 見事な一体感を作り上げ、3人は30分強の熱演を締めくくった。

そして、"ぶっ壊れる準備できてるか?! 行っちゃおうか"というJESSE(Vo/Gt)の掛け声でドカドカドカと演奏を始めたThe BONEZがラップもダンス・ビートも飲み込んだThe BONEZ流のハードコアなロック・ナンバーを次々に繰り出すと、オーディエンスが声を上げ、激しいモッシュで応える。床が揺れ、一気に温度が上がる。"楽しいよ。ありがとう"と満面の笑みを見せたJESSEは上半身裸になり、オーディエンスの盛り上がりに応えるように客席にダイヴ! JESSEの身体を受け止めながら暴れ続けるオーディエンスに"おまえら小さなハコの楽しみ方わかってるじゃねえか"とJESSEもゴキゲンだ。The BONEZの魅力はJESSE、NAKA(Gt)、T$UYO$HI(Ba)、ZAX(Dr)という凄腕ミュージシャンたちのプレイもさることながら、四人の関係性、そしてJESSEを筆頭にそれぞれの人間的な魅力にある。何と言うか、やんちゃ坊主がそのまま大人になったみたいなJESSEはかわかっこいい(かわいい×かっこいい)。そんな魅力がいつも以上に伝わってくるのは、この規模のライヴハウスだからこそ。JESSEたちも楽しそうだ。ヒロイックなコーラスを全員で歌った「Thread & Needle」、バンドのオープンマインドをアピールした「Place of Fire」を立て続けに演奏してダメ押しでフロアを盛り上げると、"政治家たちに中指突き立て、ロック・バンドでも政治家よりも上になれると思ってるから。政治は何も変えられねえかもしれないけど、音楽は人を救えるからさ"とJESSEは自分たちが大小関係なくステージに立ち続ける理由を語ってから最後に「Hey, You」をお見舞いした。

完全燃焼したメンバーたちをひとりずつ、お客さんが胴上げ状態で入口まで順々にリフティングしていくという光景は、なかなか見られるものじゃない。LIVEHOLIC、そういう意味でも今後、いろいろな伝説が生まれそうだ。

  • 1