COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第50回
このコラムも気が付けば9年目に突入。
本年も草葉の陰からひっそりと私の趣味を発信していこうと思う。
さて、読者諸君は昨年のクリスマスはSlintを聴きながらチキンを食べただろうか?
何を言っているのかわからないぜ! という人は2023年10月号のこのコラムを読んでいただきたい。
その中で「アメリカのケンタッキー州ルイビルという街のバンド達が、その後のポスト・ロックやポスト・ハードコアと呼ばれるジャンルに多大なる影響を与えた」「そのバンド達の筆頭がSlintだ」という内容を書いた。
にもかかわらず、恐らく誰一人Slintを聴きながらチキンを食べてはいないだろう。
なので今回はSlintと双璧をなすバンドを紹介して、激ロッカー諸君に更なるケンタッキー布教を行いたいと思う。
Diablo Guapo/Bastro
グランジやエモーショナル・ハードコアの先駆者と言われる、ルイビルが産んだ奇跡のバンド「Squirrel Bait」の解散後、メンバー達はSlintとBastroの二つに分かれた。
Slintは静と動を突き詰め、ハードコアの新たな可能性を提示した。
一方のBastroはハードコアが持つ激しさの中に複雑な曲構成やテンポチェンジを織り込み、現代で言うマス・ロック的なアプローチを生み出していった。
スティーヴ・アルビニがレコーディングを手掛けた1st EP「Rode Hard And Put Up Wet」時点ではドラマーは不在で、ドラムマシンを使ってのレコーディングだった。しかし既にこの時点でSquirrel Baitよりも攻撃的で変則的な、明らかに先鋭的なハードコア・サウンドを提示していた。
そこにポスト・ロックというジャンルを世に知らしめたTortoiseの活動で知られるジョン・マッケンタイアがドラマーとして加入。
3人編成となり、89年に満を持して今回紹介する1st AL「Diablo Guapo」をリリースする。
1st EPでは描き切れなかった物が、ジョン・マッケンタイアの超絶ドラミングにより極限まで研ぎ澄まされ、ハードコアでの表現の幅を広げた傑作だ。
正直、90年リリースの2nd AL「Sing The Troubled Beast」を名盤と呼ぶ声も多い。このアルバムからポスト・ロックやマス・ロック的な要素が更に強くなり、もはやハードコアの枠には収まらなくなりつつあった。この転換期が音楽史にとってはとても重要であり、後にメンバーが結成するGastr del Solや前述のTortoiseの実験的な音楽に繋がり、そこから更に多くのフォロワーが生まれた。
だが私は攻撃的な音楽に魅せられた激ロック野郎。
「Diablo Guapo」の方が好きなのだ。これは完全に好みの問題なのだ。
歪んだギター、ゴリゴリのベース、激しいドラム、そして魂の咆哮が聴きたいのだ。
しかし残念な事に、このコラムを書いている2026年1月現在でここまでに紹介したBastroの音源は一切配信がされていない。
唯一配信されているのは解散後にリリースされた「Antlers: Live 1991」というライブ・アルバムのみ。
今回このコラムでBastroが気になった人は、是非CDを購入してみてはいかがだろうか。
もしくはとりあえずチキンを食べてケンタッキーに想いを馳せるのも良いだろう。
さぁご唱和ください。
ケンタッキー大好き!!
そんな感じで、今年もどうぞ御贔屓に。
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