COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第48回
前々回のコラムで「次回は私の好きなヴォーカリスト海外編!」と締めくくっていたにも関わらず、オジー・オズボーンの死が衝撃過ぎてすっかりそのことを忘れていた。
今回こそはと思ってみたり、10年ぶりの私のバンドNoGoDのベストがリリースになったのでそのことに触れようか等とあれこれ思案していた折、立て続けにレジェンドの訃報が届いた。
中でもとりわけ私が衝撃を受けたのはAT THE GATESのヴォーカリスト、トーマス・リンドバーグの死だった。
若い読者はAT THE GATESというバンドを知らない人も多いかもしれない。
今回は哀悼の意を込めて、AT THE GATESがメタル・シーンにどれ程の影響を与えたのか、私なりに語ってみたいと思う。
Slaughter Of The Soul / AT THE GATES
1990年にスウェーデンはヨーテボリで結成されたAT THE GATESはメロディック・デス・メタル、所謂「メロデス」というジャンルを作り上げたバンドの1つである。
無数にあるメタルの派生ジャンルはどれもこれも定義が非常に曖昧なため、あくまで私の解釈で説明させていただく。
前回のコラムでメタルの成り立ちに少しだけ触れたが、そこでも紹介した「スラッシュ・メタル」というジャンルを更にアグレッシヴでエクストリームに、そして歌詞の内容等に死や地獄等の退廃的思想を盛り込んだのが所謂「デス・メタル」と言われるジャンルだ。
「ちょっと何言ってるのかわかんない」と思った人は、DEATH「Individual Thought Patterns」、CANNIBAL CORPSE「Tomb Of The Mutilated」、OBITUARY「Slowly We Rot」辺りを聴いてもらえれば、おおよそサウンドの方向性は伝わると思う。
はっきり言って、決して万人に受ける音楽ではない。
なぜならちっともメロディアスでもキャッチーでもないから。
そこに元々のヘヴィ・メタルが持っている様式美や叙情的なメロディや展開を、主にギター・リフ等の旋律等に融合させたのが「メロディック・デス・メタル」なのだ。
主にヨーロッパで盛んにメロデス化が進み、イギリスのCARCASSが1993年にリリースした「Heartwork」と共にメロデスの教科書とされているのが、今回紹介するAT THE GATESの「Slaughter Of The Soul」だ。
デス・メタルの持つアグレッシヴさと、北欧特有の叙情的なメロディを極限の状態まで高めて融合した、世界中のメタル・バンドに衝撃を与えた歴史的名盤である。
残念ながら彼等はこの作品のリリース後に解散してしまうのだが、その後CARCASSを脱退したマイケル・アモットが結成したARCH ENEMYやDARK TRANQUILLITY、CHILDREN OF BODOM等によってメロデスは広く大衆に広まっていった。
また、メロデスをよりモダンに進化させたIN FLAMESやSOILWORK等は、現代のメタルコア勢にまで多大な影響を及ぼした。
AT THE GATESが居なければ、今の激ロックなシーンは無かったと言っても過言ではない。
それほどの功績を遺した彼等は再結成を果たし、現在まで精力的に制作活動を行っていた。
驚くことに、トーマスは癌と闘いながら新作のヴォーカル・レコーディングを終わらせていたらしい。
正式なリリース情報はまだ出ていないが、その時が来たら彼の最後の歌声を是非心に刻みつけて欲しい。
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