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LIVE REPORT

NoGoD

2022.04.28 @中野サンプラザ

Writer 杉江 由紀 Photo by Hidemi Otsuka

神や仏がもしも本当にいるのだとしたら、現実というのはずいぶんと辛辣なものだなと感じてしまう。特に近年の世界は、ともすれば神に見放されたかのような無情な日々が続いていると感じられてしまうほどだ。

"我々はこのコロナ禍でここまでの2年間、頑なにライヴをしないという選択肢をとってきました。もちろん、そこに対する賛否両論はあると思います。ライヴをしなかったから「こんなこと」になったんじゃないかという意見もあるだろうし、誰のせいでもないよなんて言う人もいるかもしれないですけど、常に選択をし続けてきたうえでの未来がNoGoDにとっての今に繋がっています。俺たちは、この結果を間違っているとは考えていません。そのことはこの先の全員の活動を通して証明していきますので、どうかこの先の我々のことも見届けてください。よろしくお願いします......!"

ヘヴィ・メタル界隈からは邪道扱いされがちだった一方、ヴィジュアル系界隈ではキワモノ扱いされることも多かったNoGoD。それでいて、彼らはここまでに着実な歩みを続けてきたことにより、いつしか頭の柔らかい層から"見せ方は奇抜でエンタメ精神が満載だけれど、音はやたらとカッコ良くて技術も高いバンド"という認知をされる、まさに唯一無二の存在へと成り上がってきたと言えるだろう。

それだけに、昨年9月に、7弦ギタリストのKyrieが2022年2月22日に開催する"NoGoD単独大布教-22222-「天中殺」"をもって脱退する、との発表があった際はその事実を残念に感じた人も少なくなかったに違いない。そして、天が味方をしてくれないときのことを指して、"天中殺"というライヴ・タイトルを彼らがわざわざ選んだことに加え、実際にはフロントマンである団長のコロナ感染により、2022年2月22日のライヴは延期となってしまった不測のアクシデントも含めて、ここまでの流れもある意味ではあまりにもNoGoDらしすぎた。そうした前提ありきで、このたびの彼らが振替公演として臨んだ中野サンプラザの舞台では、神の力に頼ったりすることなく自力で駆け抜けてきたバンドだからこそのリアルな姿、というものが我々にこれでもかと見せつけられることになったのである。

中でも、アンコールの最後に奏でられた「そして舞台は続く」は秀逸のひと言で、そこにはKyrieを含めた彼ら全員の"ここまでとこれから"に向けた深い万感が、感動的な音やエモーショナルな歌に目一杯込められていたように感じられた。

とはいえ、感動のフィナーレでNoGoDがこの場を締めくくったのかと言えばそれはもちろん否。ちなみに、2016年にアルバム『Renovate』が発表された際にKyrieがインタビューにて、「桃源郷へようこそ」という楽曲をなぜアルバムの最後に収録したのか? という筆者の質問に対し、迷わず"このバンドの作るアルバムには、やはりオチが必要だと僕は思っていますから。NoGoDはきれいに終わっちゃいけないバンドなんですよ"と明言してくれたのだが、今回のライヴは言わばあの言葉通りになったとも考えられる。なぜなら、ここぞとばかりの「ノーゴッド」をWアンコールで派手にブチあげたあと、おもむろにメンバーがKyrieのことを胴上げするのかと見せかけつつ、そのまま彼を抱え上げた状態でNoGoDは半ばコントのごとき去り方をしていってしまったからだ。

そんな神や仏をも超越する無敵のNoGoDと、ここからのKyrieが、それぞれにいかなる新しい未来を導きだしてくれるのか。今はただそれを楽しみに待っていたい。

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