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INTERVIEW

NoGoD

2023.04.20UPDATE

2023年04月号掲載

NoGoD

Member:団長(Vo) Shinno(Gt) hibiki(Ba) K(Dr) Iyoda Kohei(Support Gt)

Interviewer:杉江 由紀

新生NoGoDからもたらされる新約聖書ならぬ"現約聖書"には、未来へと向けた福音が記されている。2022年4月に中野サンプラザで開催された"NoGoD単独大布教-22222-「天中殺」"の場をもって、いったんは表舞台から消えたNoGoDが、近年サポート・ベーシストとして活躍してきたhibikiを正式メンバーに迎えたのと同時に、新たにサポート・ギタリストとしてIyoda Koheiを招聘するとの知らせがあったのは昨年のこと。復活劇を経た彼らがこのたび完成させた約4年ぶりのアルバム『NoW TESTAMENT』は、作曲およびアレンジの面でもくだんのふたりが強い存在感を発揮することになった、大胆にして秀逸な作品だ。新生NoGoDによる"現約聖書"とはこれいかに。

-前作の『神劇』(2019年リリースのアルバム)から、約4年ぶりのアルバムとなる『NoW TESTAMENT』は新生NoGoDとしての第1弾アルバムでもあります。振り返ると、この4年間はNoGoD的にも世の中的にも激動の日々だったことになりますね。

団長:いやもう、本当に激動でした。そもそもはコロナ禍になって一時期ライヴができなくなったとき、僕は音源の制作をするモードにもまったく入れなくなってしまいましたからね。自分がなぜバンドを始めたのかと言えば、表現をするためにステージに立ちたい→ステージに立つにはバンドを組まなきゃいけない→バンドでライヴをやるには曲を作品化した音源が必要っていうところで、基本的にすべての音楽活動はライヴありきで考えていたんですよ。ライヴで披露しないのに音源を作ってどうするんだって、個人的には正直そう思っていたんです。

-なるほど。前体制でのラスト・ライヴとして昨年4月に中野サンプラザで開催された"NoGoD単独大布教-22222-「天中殺」"の場で、団長は"我々はこのコロナ禍でここまでの2年間、頑なにライヴをしないという選択肢をとってきました。もちろん、そこに対する賛否両論はあると思いますが、常に選択をし続けてきたうえでの未来がNoGoDにとっての今に繋がっています。俺たちはこの結果を間違っているとは考えていません。そのことは、この先の全員の活動を通して証明していきます!"とおっしゃられていましたよね。

団長:すべては結果論なんですけど、今こうして新体制になって、新しいアルバム『NoW TESTAMENT』をリリースできることになった事実。現状では、それがNoGoDにとっての正解なんじゃないかと僕は思ってます。

-だとすると、あの中野サンプラザ公演が終わった段階で、ここまでの道筋は何かしら見えていらしたのですか?

Shinno:何も見えてなかったです。あの段階ではまだメンバー編成がどうなるかも決まっていなかったですし、それどころか"活動自体を続けていくのかどうか?"という話も、実は出ていたりしたくらいだったんですよ。

-いやはや、NoGoD存続の危機に瀕していたのですね!?

Shinno:ただ、そのあとに残った団長とKと僕の3人で話したときには"続けていこう"と決まりました。そして、そこからサポートだったhibiki君の正式加入が決まって、今回『NoW TESTAMENT』のレコーディングにも参加してくれて、サポート以上の仕事をしてくれているKohei君が手伝ってくれることも決まったんです。

hibiki:僕はもともとヘヴィ・メタルの界隈にいて、NoGoDのサポート・ベーシストとして参加するようになったのが、2019年くらいだったんですよね。一応、その時点から"のちのち正式加入することも視野に入れてほしい"とは言われていて、実際に、去年やった中野サンプラザ公演の半年後くらいには改めて正式加入を打診されることになり、自分としてはちょっと悩んだうえでNoGoDに入ることを決めました。

-hibikiさんにとっての懸念点とはどのようなものだったのです?

hibiki:やっぱり、NoGoDというのは長く愛されてきているバンドですからね。どうしても、"僕でいいのか?"という不安があったんです。でも、代わる代わるメンバーみんなから熱心に"入ってほしい"って言われたんで、そりゃあ入りますよね(笑)。

団長:あのとき、もしhibikiちゃんが"やる"って言ってくれてなかったら、NoGoDはもっと停滞してたはずです。というか、その時点で動きはいったん完全に止めてたと思います。僕やShinnoやKは理論よりもパッションで動く人間たちなので(笑)、ここからのNoGoDのことを考えると、理論的な音楽の解釈をできる人材がバンドの中にいないと、ヤバいぞという不安があったんですよ。

-そういうことでしたか。

団長:hibikiちゃんはしっかりと理論も熟知しつつ、パッションも大事にしているという絶妙なバランス感覚を持っている人なので、僕らからすると実にありがたい存在なんです。なんなら、サポート期間を経て、今やもとからいるメンバーよりもNoGoDの楽曲に対する理解が一番深い存在なので、この体制になってからの僕らはいつもhibikiちゃんに"NoGoDの曲を教えてもらって"ます(笑)。

-つまり、hibikiさんはNoGoDにとって救いの神となったわけですね!

hibiki:え。いや、そう言われちゃうとプレッシャーになってやだな(笑)。

団長:おい、そういうこと言うなよ(笑)。ほんと、hibikiちゃんが加入を決断してくれてからは、ものすごいスピードで再始動に向けての準備が進んだんです。

-ドラマーのKさんからすると、ベーシストであるhibikiさんの正式加入は、"内縁の妻といよいよ入籍することになった"ような状態にも近いと思うのですが、現体制になってからの変化を感じていらっしゃるところはありますか。

K:その例えで言うと、内縁状態のときからhibiki君はものすごく僕に寄り添ってくれる人だったんで、入籍してからもずっとラヴラヴっす(笑)。

hibiki:(笑)

-内助の功を発揮してくれているわけですね。

K:とにかく僕のことを"立てて"くれるベーシストでもあるので、ラヴラヴなうえに今はかなり僕が亭主関白な感じになってるとも言えます。何をやっても合わせてくれるんで、自由にやりたいことをやらせてもらってますね。

hibiki:ここ数年、自分の中での音楽をやるうえでのテーマが"調和"なんです。周りといかに調和しながら音楽をしていくか? ということを常に意識はしているので、そこがKさんやメンバーに伝わっているんだとしたら僕としては嬉しいですね。

-そんなhibikiさんが正式加入されたのと同じタイミングで、NoGoDはサポート・ギタリスト、Iyoda Koheiさんを迎えることも発表しました。先ほどShinnoさんが発言されていた通り、Koheiさんは今作『NoW TESTAMENT』の制作にも全面参加されているそうですし、まさに"サポート以上の仕事をしてくれている"存在であるわけですけれど、それでもKoheiさんの肩書きは"サポート"なのですよね?

Iyoda Kohei:たぶん、こういうのって特殊ではあるんでしょうねぇ。

団長:要するに、NoGoDはブラック企業なんですよ。雇用形態としては完全にアウトなやつです(笑)。

-Koheiさんの公式Twitterを拝見しますと、プロフィール欄にはTHE GENIUS ORCHESTRATION、ANCIENT MYTH、HIZAKI、Imperial Circus Dead Decadence、牧島 輝といったアーティスト名がずらっと並んでおります。これだけのバンドやプロジェクトに参加されているKoheiさんは、NoGoDからどのような誘われ方をすることになったのですか。

Iyoda Kohei:始まりは話の行き違いからだったんですよ(笑)。僕と団長さんの共通の知り合いからLINEが入りまして、その人からは僕に対して"サポート・ギタリストとしてNoGoDに紹介したいから、スタジオに1回入ってみない?"っていう話を貰ったんですね。僕はその通りに受け取って、団長さんに"1度ちゃんと音は合わせてみたいです"と連絡を取り、スタジオに入ったんですけど、その現場で話に行き違いがあったことが判明したんです。

団長:うちとしては"ギタリストを探していてオーディションをしているから、誰かいい人がいたら紹介してくれ"ってことを間に入っていた人に伝えたつもりだったんですけど、なぜかKohei君には"サポート・ギタリストを探している"っていう話として伝わっちゃったみたいなんですよ。それで、Kohei君にはメインのバンドもあるわけだし、他のサポートとかもあるから、いきなり正式加入は難しいとはなったんですが、いったん"チャンスがあるなら弾いてみたい"というところで、話は保留状態でしばらくは止まってたんですね。

-ところが、ですか。

団長:hibikiちゃんの加入が決定してから、これは早めに動き出したほうがいいだろうとなって、Kohei君以外のギタリストともいろいろスタジオには入ったんですが、先のヴィジョンが見えたのはKohei君だけだったんです。当初は"ちゃんと5人で戻ってきます!"みたいな発言をしてましたし、そのつもりで動いてはいましたけど、たとえKohei君がサポートだとしてもギターを弾いてくれるんだったら、その状態の5人のNoGoDも"アリ"だなと僕は思ったんですね。だから、言い方としては"サポートで手伝ってほしいんだけど、制作にも関わってほしいし、ステージにはリード・ギタリストとして立ってほしい"って頼んだんですよ。聞く人によっては"そんなのパワハラだろ!"って言われてもしょうがないことを言い、結果としてそれをKohei君に了承させてしまいました。ですから、罪の意識は感じてます(苦笑)。

Iyoda Kohei:そこはでも、僕も合意してますからね(笑)。NoGoD側だけではなくて、レーベルの方と事務所の方と僕の3人でも話をしまして、サポートではあるんだけど、対外的にはバンドの一員としてアーティスト写真にも一緒に写るとか、そういうことも含めていろいろ事前に確認したんですよ。それに、僕自身はあんまりそういう肩書きとかってこだわりないですし、そんなのただの名目じゃないですか。ライヴをやるとなったら5人で音を出すことには変わりないわけで、むしろ僕もNoGoDの一員としての存在感を打ち出させていただけるのであれば、それはとても嬉しいことだなと思ったんです。いきなり関わることになった僕なんかで良ければ、ぜひお願いしますっていう気持ちだったんですよ。だから、僕はパワハラとは思ってません(笑)。

-とはいえ、Koheiさんは同時にいくつもの活動を並行されていることになるわけですよね。スタンス的に言うと、それらについては、NoGoDも含めてすべてイーヴンなかたちで参加されていることになるのでしょうか。

Iyoda Kohei:イーヴンというよりは、どれも自分にとっては100パーセントでやってます。

-だとすると、時間的な面なやりくりはもちろんのこと、体力や気力もすべてに対して自分の100パーセントを注ぎ込むというのは、相当に大変なことなのではありませんか?

Iyoda Kohei:パッションがあるから大丈夫です(笑)。

団長:そう、パッション大事!

Iyoda Kohei:あとは根性ですかね。常に頭の中でいくつかのタスクが並行しながら進行している状態ですけど、僕としては活動の幅が増えてラッキー! って感じてます。

-すなわち、新生NoGoDにはパッションを持つメンツが揃ったことになりますね。

団長:求めていた理想以上のかたちになったので、そこは僕としてもラッキー! っていう感じです(笑)。