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INTERVIEW

NoGoD

2024.04.10UPDATE

2024年04月号掲載

NoGoD

Member:団長(Vo) Shinno(Gt) hibiki(Ba) K(Dr) Iyoda Kohei(Support Gt)

Interviewer:杉江 由紀

5つの才が織り成す、神髄の響きを聴くがいい。新生NoGoDとしての第1弾作品にしてフル・アルバムだった『NoW TESTAMENT』(2023年リリース)に続く、約1年ぶりの新譜『神髄 -OMNIBUS-』は各メンバーの生み出した原曲をもとに、5つの個性を具現化した作品へと仕上げられたのだ。神曲ならぬ新曲5曲に加え、会場限定シングルであった既発曲も含めたこの計8曲入りのスペシャル・アルバムで、NoGoDは新たな音楽性と可能性を提示したとも言えるだろう。そして、このあとに続く"NoGoD ONE MAN TOUR-2024-【omnibus】"では、来年の20周年を前にしてライヴ・バンドとしてもますますの進化を遂げてきている姿が存分に見られるものと確信する。

-昨春にリリースされた新生NoGoDとしての第1弾作品にしてフル・アルバムだった『NoW TESTAMENT』に続く今作『神髄 -OMNIBUS-』は、なんでも8曲入りスペシャル・アルバムという形態になるのだとか。

団長:もともとは、以前出した『神髄 -FRONTIER-』(2013年7月リリース)や『神髄 -THE POWER-』(2013年9月リリース)みたいなシングルを想定してたんですが、今の5人になってからライヴ会場限定で出したシングルとかが完売しているものもあり、今回はその曲たちも含めて8曲を収録することになったんです。

-今作の後半に並んでいる「Dirty & Beauty」、「アオナツ」、「イドラ」の3曲が、そうした既発曲たちにあたるわけですね。

団長:どれもいい曲たちなんで、ちゃんとCDっていう形でアルバムに入れておきたかったんですよ。ただ、今回の配信版の『神髄 -OMNIBUS-』は新曲5曲になってます。

-ということは、今回の新曲群は『NoW TESTAMENT』以降に作られたものたちになるわけでしょうか。

hibiki:っていうものもあります。新たに書いた曲と、前からストックしてあった曲をこのアルバムのためにリアレンジしたものと、両方入ってますね。

-ちなみに、プレス用資料によると団長さんはもちろんのこと、5人全員が作曲に参加されているそうで。

hibiki:はい、今回は5人全員が参加してます。

-では、早速ここから各曲についてのお話をうかがって参りましょう。まず、今作におけるリード・チューンとなっているのは2曲目の「ジョン・ドウに捧ぐ」ですが、そもそも1曲目の「天国」もリードに選ばれていいくらいの仕上がりではありませんか?

団長:そこは、我々の間でもいろいろな意見が出たところでしたね。もちろん「天国」も良かったんですけど、それだと"いつものNoGoD"の延長線上にあたるのかなということになったんですよ。というのも、今作に関しては"メンバー個々の持つアクの強さ"を打ち出したいというテーマが大前提としてあったので、その意味でリードを選ぶなら2曲目の「ジョン・ドウに捧ぐ」か、5曲目の「Burning Heart」のどっちかかなという意見だったんです。そして、最終的には民主主義的な決め方でリードは「ジョン・ドウに捧ぐ」になりました。

-なるほど、そのような流れがあったのですね。「ジョン・ドウに捧ぐ」については、どなたが原曲を提示されたのですか?

hibiki:僕です。最初はもっとメタリックな曲を書こうと思ってたんですけど、なかなかそれがうまくまとまらなくて、途中から自分が得意で好きになれそうな曲を作ろう、というふうに方向転換してできたのがこの曲です。サビの感じとか、自分はこういうメロディが好きなんだなって再確認しましたし、それを今回NoGoDでやってみたらどうなるんでしょう? っていうことを試せた曲でもあります。

-「ジョン・ドウに捧ぐ」のサビ、大変美しいなと感じました。

hibiki:ほんとですか? ありがとうございます。やったー(笑)。

-曲の前半で、ユニゾン要素が生きているところもカッコいいです。

hibiki:まさにそこは、僕が現代のメタルに絶対必要だと思って入れた部分なんです。強力でテクニカルなギター・リフがあって、そこにベースとかもシンクロっていくみたいなスタイルは今いろんなバンドもやっていることだと思うんですけど、自分たちもそういう面で引けを取りたくなかったというか。特にKohei君とのユニゾンは細かいところでもやっていて、いろいろちりばめてます。

-「ジョン・ドウに捧ぐ」はKさんのキックもガシガシな攻め込み具合ですよね。

K:ドラムのフレーズは原曲の段階からhibikiが作り込んでくれてたんで、僕はそのままできるだけ忠実に叩かせていただきました。

hibiki:Kさんすごいんです、どんな難しいのを入れてもちゃんとやってくれちゃう。

K:ありがとうございます(笑)。ちなみに、このアルバムの中だと「アオナツ」もhibikiの曲で、僕はあそこで初めて"hibiki節"というものに挑戦することになったんですよ。hibikiの作るフレーズはほんとにどれも繊細で、あの経験があったからこそ今回の「ジョン・ドウに捧ぐ」も形にすることができたんじゃないかと思います。

-その"hibiki節"について、ギタリスト・チームはどのように生かしていくことを意識されていたのでしょうか。

Iyoda Kohei:僕も基本的にはhibikiさんのカラーを再現させていただく、というスタンスでしたね。さっきhibikiさんが言ってたような、モダンなイマドキっぽいメタルっていうイメージは意識してました。

Shinno:自分は手厚い介護のもと(笑)、hibiki君が僕に合わせて作ってくれたのであろうフレーズを、録りのときも常にhibiki君が横にいてジャッジしてくれる状態で録っていきました。自分はメタルな人間ではないんですけど、hibiki君はそこもちゃんと考慮したうえで音を作ってくるんですよ。だから、難易度はともかくやりやすかったです。

-Koheiさんの弾かれているギター・ソロも、hibikiさんからの指定だったのですか? それとも、ソロ部分はKoheiさんにお任せだったりしました?

hibiki:鋭いですね(笑)。歌とシンクロしながらソロに入るというグラデーション的な流れを作りたかったので、半分くらいはガイドとなるものを僕が作りました。そのうえで、Kohei君に変えてほしいところはギターの音を入れずにデータを渡したんですよ。

-Koheiさんは、言うなれば"穴埋め問題"を出されたわけですか(笑)。

Iyoda Kohei:僕としては全部を丸投げされるよりかは、曲を作った方の意図がわかる状態で渡されるほうが嬉しいですし、助かります。いいチーム・プレイができました。

-では、この「ジョン・ドウに捧ぐ」の歌詞についてはぜひ団長さんからの解説をお願いいたします。"ジョン・ドウ"は名無しの権兵衛という意味なのだそうですね。

団長:この曲のサビを聴いたときに、名前を呼び続けたくなったところがあったんですよね。でも、特定の誰かじゃないなという感覚も同時にあって、なんでそう思うのか? っていうことを突き詰めていったら、匿名希望な不特定多数の人たちに向けて、"自分の名前をもっと大事にしろよ!"って自分は言いたいのかもなというところに行き着いたんですよ。それで、ジョン・ドウっていう表現を使うことにしたんです。

-すなわち、これは匿名でも世界に向けて意思発信が容易にできてしまう現代社会に対する風刺でもあるのでしょうね。

団長:NoGoDってやっぱりそういうところ、あるんですよ。ただ、hibikiちゃんの曲って「アオナツ」もそうでしたけど、世界観がすごくハッキリしてるんですね。そして、こういうオールドスクールなルーツのあるニュースクールなメタルって、歌詞があんまり暑苦しすぎない、押しつけがましくない、というのも重要だと思うんで、そこはちゃんと考えました。あと、何かと我々ってついドラゴンと闘いがちじゃないですか(笑)。

-たしかに、メタル界隈は何かと異世界を描きがちなところがあるかもしれませんね。

団長:エメラルド・ソードも探しがちですし(笑)。でも、この曲の場合はそうじゃないなと。爽やかなんだけど、メッセージ性はほんのり熱いっていうラインを狙っていきました。サビが開けるぶん、あえてAメロでは少しネガティヴな歌詞を多めにして問題提起しつつ、そのあとのサビでどこまでポジティヴになれるか? という組み立て方をしてます。だから、歌詞はうまいことスッポリはまったんですけどね。歌うときはメロが難しくて、サビ直前の転調はもう気合で乗り切りました!

-なお、先ほど団長さんは「ジョン・ドウに捧ぐ」の詞について"押しつけがましくない、というのも重要だと思う"とおっしゃっていましたが、1曲目の「天国」はむしろ歌詞が完全なる"押しつけ"な内容です。"生きて生きて生きて生きて生きて"の連発、そして途中で入ってくる"生きるしかねぇだろ"という台詞からは、強い意志を感じました。

団長:個人的には、押しつけがましい歌詞を書くの好きなんですよ(笑)。

-そして、この「天国」と5曲目の「Burning Heart」については、歌詞に死生観が投影されているところもあるように感じるのですが......これはもしや、昨今いろいろと団長さんとしては思うところがあったりしたのですかね。

団長:自分が40歳になったっていうのも大きいです。正直、"折り返したな"っていう感覚があって、タイム・リミットが見えてきたんですよね。

-冒頭の"天国はこの命とこの瞬間にしかない"という一節は切実なものなのですね。

団長:この歌詞を書いてた頃に、John Lennonに関する番組を観たのも意外と大きかったかもしれません。ぼんやりと「Imagine」を聴きながら、そういえば"こんなに有名な歌なのに、実はどんな内容なのかよく知らなかったな"と思って調べたら、自分の感覚とすごく近かったんですよ。そこにインスパイアされたところもありました。

-"想像してごらん 角度を変えて/見上げた空と 足元の大地が全てだから"のあたりは、まさにその影響を感じる部分です。

団長:空に天国はねーし、地下に地獄もない。空も大地もそこにあるものがあるだけ、っていうね。それって希望がなくてしんどいとも言えるけど、それでも生きていかざるを得ないっていうところを率直に伝えたくなっちゃったのがこの歌詞なんです。