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INTERVIEW

オメでたい頭でなにより

2024.01.22UPDATE

2024年01月号掲載

オメでたい頭でなにより

Member:赤飯(Vo) 324(Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-アルバム前半はシングル曲を含め、フロアを沸かせるノリのいい曲が並びますが、後半「Move your Heart」からは一段違うギアが入って、よりメッセージ的であり、バンドとしての思いを改めて突きつける曲が並びますね。

赤飯:7曲目「Move your Heart」、8曲目「ADVANCE TiME」は特にぽにきが中心となって作った曲なんですけど、図らずともぽにきが作ってくれた曲に自分が乗っかるというスタンスがすごく良くて。前回のアルバムの「HAKUNA MATATA」もそうなんですけど、メッセージのコアになる人のサポートみたいな形、自分のカードをどう使ったらその曲が力を増すかという考え方がすごく大好きで。ぽにきがぶつけてくれるものに対して、自分がさらにこうすればこの曲を加速させられるというアプローチが、この2曲ではできているのかなと。

-ぽにきさんのアグレッシヴなところが出ている2曲ですよね。

赤飯:男臭さとかね。自分は逆に結構女々しいので。

324:だよね。

赤飯:これでもだいぶマシになったんですけどね。

324:女声の練習してたら、心まで女の子みたいになっちゃって。

赤飯:というのがこの2曲で。アルバムではそのあとに2曲、自分のメッセージであったり、感じた思いを出した曲がくるんですけど。

-「The OGAnizer -来訪神-」と「今宵、又旅へ。」ですね。「The OGAnizer -来訪神-」は秋田でのロック・フェス"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL"についての曲ですね。

赤飯:"男鹿フェス(OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL)"にはずっとお世話になっていて。最初に行った頃からその土地の魅力にハマっちゃってずっとナマハゲの曲を作りたいと思っていて、トライし続けていたんですけどなかなか形にならなくて。それがようやく2022年の秋くらいですかね、土台ができ始めて。満を持して春に完成したという感じでした。今回は、KSUKE(DJ/DANGER×DEER/コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店))とふたりで現地に行って、現地の海の音、風の音とか、男鹿真山伝承館というナマハゲが見られる場所があるんですけど、そこで音をサンプリングしてきてます。"うぉー!"とか、"泣く子はいねがー"とかもそうだし、地団駄を踏む音とか。

-リアルな音が入っていたんですね。

赤飯:そうです。藁でできたナマハゲのケデという衣装の擦れる音を16分で入れたりとか。現地で得てきたものを曲の中に全部詰め込んで、空間を作るというのがとにかくやりたかったので。なんとか形になりましたね。

324:実際にレコーディングにも来てもらったよね。

赤飯:男鹿ナマハゲ太鼓(OxNxDxA~男鹿ナマハゲ太鼓推進協議会。)の岩澤将志(音打屋-OTODAYA-)さんに来ていただいて、そこで貰った声も使ってますし。男鹿の土地、海、空を見て、背中に山を感じた瞬間の自分をここに閉じ込めたかったので。

-それが風を感じるような、アンセミックなダンス・ミュージックになりましたね。もう1曲の「今宵、又旅へ。」はいつ頃作った曲ですか。

赤飯:これは10月くらい?

324:そのくらいかな。結構最後のほうだったよね。前回、「すばらしい時代」とかで赤飯の弾き語りから曲を作ったときに、結構いいねというのがあって。ちゃんと赤飯の味が出ているし、やりたいこと、表現したいことがしっかりとできているから、そういう曲も入れようよという話をして、赤飯に作ってよってお願いしたのが......9月とかじゃない?

赤飯:そうだ。9月末にまずワンコーラスを出して、すぐにフル・コーラスができたよね。そこから細かいアレンジとかをふたりで決めて完成したっていう感じで。

324:個人的には、これはアレンジがかなりハマったなと思ってます。

-心地よいレゲエのビートに乗せて、ちょっとブルージーに、でもさらりと歌う曲になりました。

324:前回のアルバムとその前のカバー・アルバム(2022年3月配信リリースの『オメでたカバー横丁~一番街~』)で、赤飯がやりたいことってなんだろうみたいなのを、ずっと赤飯自身が探していて。バンド以外の人、akkinさんとかにも手伝ってもらいながらアレンジを作ったりもしていたんですけど、その経験を踏まえたうえで、自分たちでサウンドに昇華できているなという気がして、これは気に入ってますね。

赤飯:肩の力を抜いて夕日の海辺で寝そべってるような、そんな感覚のものが生み出したかったんですよね、ちょっと熱帯のほうの。

324:たしかにレゲエ・ビートだしね。

赤飯:気を使わないでいられる人と一緒に、無心で寝そべってるイメージです。

-哀愁は滲んでいるけれど、そこに旅情や人生がある感じがいいですよね。前作が先ほども出た赤飯さんの「すばらしい時代」で締めくくられて、今回もこの「今宵、又旅へ。」でアルバムを終えるのかなと思いきや、ラストにとんでもない曲が来ちゃったなというのが、「花魁ドリルスピン」でした(笑)。花魁が地面を突き抜けて、地球の反対側のブラジルに辿り着いてしまう──曲調もハードコアからサンバに展開する、"なんだこの発想は"という曲です。

324:やっぱりふざけよう、面白くしなきゃみたいのが出ちゃうんですよね。

赤飯:ビョーキやな(笑)。

324:前のアルバムの反動なのか......あれが正しい姿なんですけどね。でもふざけようみたいなのがあったので、この曲になりました。

赤飯:今回この曲が一番狂ってるのかな。これは、楽曲会議のときにフレーズだけで決めたよね。

324:そう、"花魁ドリルスピン"というタイトルから決まって。しかもこれはバンドを結成してすぐの頃のネタ帳にあったんですよね。

赤飯:あった!

324:花魁の帯を持って"あ~れ~"ってグルグルするのを"花魁ドリルスピン"っていうみたいな、それだけあったんですよ。

赤飯:はははは(笑)。で、それに栄養を与えていったらどうなったかといったら、ブラジルに行ってサンバを踊ったという話で。

324:地球の裏側まで突き抜けて着いたのはブラジルだった──ってことは、最終的にサンバになるのかみたいな(笑)。そういう謎のインスピレーションで進んだ結果こうなりました。

-時を経て形になっていったんですね。

赤飯:実は歌詞はメッセージ性が強い曲でもあるんですけどね。嫌なことを無理してやる必要はないというのが自分の中にあって。そのとき、そのときで、自分に適した場所が必ず用意されているというのが自分の理想論としてあるんです。

324:嫌だったら別の場所に行って何かやってみようとか、逃げることは別に悪いことじゃないよっていう。花魁だって、爺さんにセクハラされてて嫌だってなったら、それは逃げるわな。

赤飯:小さく逃げるんじゃなくて、明後日の方向に逃げちゃってもいいんだぜっていうね。視野を狭くすると苦しくなるので、ブラジルに行っちゃうくらいのことがあってもいいんだよって。結果、この曲ではほんまに突き抜けているんですけどね、地球の裏側に。