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INTERVIEW

オメでたい頭でなにより

2022.04.02UPDATE

2022年04月号掲載

オメでたい頭でなにより

Member:赤飯(Vo) ぽにきんぐだむ(Gt/Vo) 324(Gt) mao(Ba) ミト充(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-制作の中で新たなものとか、こういうことだなと見えてきた感覚はありますか?

赤飯:僕が以前よりも、ただ音楽を作りたいじゃなくて、どんな空間を感じてほしいのかという空間演出を気にするようになったというか。それがやりたかったことなんだなと気づいたんですよね。自分は空間演出がしたい人間なんだなって自覚的になれた。そうなってくるとこの音はこの空間に対して違うんじゃないかとか、例えばインテリアだとそのランプの形ってこのテイストに合ってなくない? とか、そんな感覚になってきちゃって。

-コロナ禍で止まってしまった部分もあったかもしれないですけど、やりたいことを見極めたり、時間をかけて考えたり再構築できた期間ですね。

赤飯:そうですね。あとは、「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」のレコーディングあたりで僕にポリープができて、1回制作が止まっているんです。手術して、1ヶ月くらいでやっと歌っていいとなって、最初に歌ったのが「君がいるだけで」だったかな。ちょっとずつ調子を上げながら、いろいろ曲を録っていったんですけど。

-そうだったんですね。その「君がいるだけで」はこれまでにない抑えたヴォーカルになっていて、最初に聴いたときにすごく新鮮だったんですよ。オメでた、こういうのもいいじゃないかって。

赤飯:だいぶ実験的ですよね。実験的にやったんですけど、さっき言ってた空間演出というのに全振りしたらどうなるのかを試してみたくて。ヴォーカルも、今までで一番"歌ってない"。限界まで抑えて歌ってます。アクセルをふかさずに走るにはどうしたらいいのかというところで、宅録でしたけどマイクとの距離とかも考えながらやりましたね。

-アコースティック調にというのは最初の段階であった感じですか?

赤飯:最初はPerfume風のデジタルなやつにしようという話があったんですけど、僕が、牧場で弾いてる感じでやらせてくれって力説して、この形になりました。今自分が一番やりたいのってオーガニック感とか人の温度、肌感があるもので、"圧"じゃないんですよね。自然と馴染める、ホッとできるような温度感みたいなものが好きで。今後それをやっていくためにこれは絶対にやる必要があると説得したんですよね。みんなも"わかった。じゃあやりたいようにやれ"っていうことで。

-すごくいい曲に仕上がってますよね。オメでたい頭でなによりだから、もしかしたら曲の最後のほうとかで何か起きるのかなと思って聴いていたんですけど(笑)。

赤飯:起こらないんですよね~。

ミト充:はははは(笑)。

赤飯:そういうことでは逆張りになるのかな。いつまでも、悪ふざけだけしてるわけじゃないぞっていう(笑)。ちゃんと成長している部分も見せたいなというのもあったので。でもシンプルにやりたいことを見せたかったというのにこだわっただけなんです。

-そして、この曲をカバーするかというのが「マル・マル・モリ・モリ!」。

赤飯:これはもともと1回カバーをやっているんですよ(2018年リリースのライブキッズあるある中の人監修ミニ・アルバム『ライブキッズのための名曲集』収録)。

324:そのリアレンジというか、再録で。

赤飯:再録した結果、セリフ部分の毒が弱くなりました(泣)。具体的内容は都合によりカットとなりました。ご了承ください。気になる方はぜひサブスクなどでご自身でご確認ください! 前のブルータル版は、1回世には出ているんですけど。

mao:あれはブルータル版なんだ。

ぽにきんぐだむ:バンドで再録すること自体が初めてだったんですけど、それがまさかこの曲になるとはというね。

赤飯:もっとあるやろと(笑)。

-この曲はオメでたい頭でなによりらしさもありました(笑)。

赤飯:この前MVを撮ったんですけど、MVには鈴木 福君の弟さんと妹さんに出てもらってます。振付も、オリジナルの振付の先生にうかがいを立てに行ったら、"むしろ私にやらせてください"っていうことで。

ミト充:ブラッシュアップしてくれたよね。

赤飯:うちらのアレンジした曲に対して、振りをつけてくださって。しかも、鈴木兄妹が踊ってくれるという、すごくかわいいものになっていました。

ぽにきんぐだむ:だから、半分本家です。

-そして「三百六十五歩のマーチ」同様に、昭和のスタンダードからの選曲が「明日があるさ」です。

324:このあたりはディレクターからの選曲じゃなかったかな。

赤飯:そうだね。あとは、僕が、もともと昭和が好きで。昨今昭和レトロとかリヴァイヴァルとか言われてますけど、いや、その前から好きだしっていうのがあったんですよね。じゃあ全力で自分の好きをやってやろうと。懐かしさや郷愁みたいなものをとにかく大事にしながら、もちろんラウドになっている部分はあれど、大事にしている空気は絶対に崩さないように気をつけました。落ちメロのところで僕がハーモニカを吹いてるとか、カズーを引っ張り出してきてメロディを足してみるとか、そういうオーガニックな音作りも考えてやりました。

-最後に大合唱で締めくくるところもいい空気感があります。

赤飯:大団円感も気に入ってますね。僕の声を聴けじゃなくて、こういう空間をみんなで共有したいんだと最後に表現できたので。あとはこの曲に関しては、324がかなりギター頑張ってます。

324:「明日があるさ」はとにかくヤバいですね。赤飯だけじゃなく、アルバムを通してバンドのマインドの変化があって。曲を聴いているときに、演奏している画や誰が何をやっているのかが見えたほうが、よりバンドっぽい感じになるよねっていうのがありましたね。ギターを弾くなら、ギターを弾いている姿が見えてくるようなアレンジや作り方をしたいということで。この曲はその最たるものというか。ギターのトラックがめちゃくちゃ多いんですよね(笑)。やることがすげぇ多くて、レコーディング・ブースに俺だけずっとこもってギターを何本も何本も録ってました。

-アコースティック・ギターあり、エレキもいろいろなパターンで入っていてサウンドは華やかです。

324:いろんな音色を使って、いろんな機材を使って。

赤飯:スライド・ギターも使って。

324:速弾きしてとか。

赤飯:いろいろやったということでも満足度は高い?

324:もう何をやったか覚えてないくらい。