INTERVIEW
オメでたい頭でなにより
2022.04.02UPDATE
2022年04月号掲載
Member:赤飯(Vo) ぽにきんぐだむ(Gt/Vo) 324(Gt) mao(Ba) ミト充(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
たぶん、このアルバムがなかったら、今後のオリジナルの制作に進めていなかった
-「ガラガラヘビがやってくる」などは、みなさんの世代は子どもの頃に通ってきたところですかね。
赤飯:テレビヒーローですよね、とんねるずは。僕は4歳から"とんねるずのみなさんのおかげです"を観ていたので。当たり前のように身体に入っているというか、だからこれをやりたいってのも自然に出てきた感じなんですけど。「ガラガラヘビがやってくる」に関しては、どんなベクトルでやっていこうかというときにぽにき(ぽにきんぐだむ)の鶴のひと声が出たので。
ぽにきんぐだむ:聴いた瞬間、これは倖田來未やと思って(笑)。脳内で「キューティーハニー」(倖田來未)と「ガラガラヘビがやってくる」がマッシュアップされて、これは形になるなと。
赤飯:最初は、こいつマジで何言うてんのやろと思って改めて原曲を聴いたら、言ってることがすっと降りてきた。
-言われてみるとたしかにそうですね。
ぽにきんぐだむ:構成とかも一緒なんですよね。
赤飯:やってみたらすごくしっくりきて。悪ノリで"ヘビーフラッシュ"って言おうとか(笑)。とんねるずのイメージが強すぎて、最初はどんなふうに歌えばいいんだろうというのがあったんですけど。あとで自分で聴き返してみるとさっき言ってた倖田來未的なエッセンスと、もともとの自分みたいなのをふわふわと行き来してるような感覚のヴォーカライズができたので。そういう意味では満足度が高いですね。倖田來未の真似をして歌うとかじゃなくて、自分があるうえにちょっとそのエッセンスをまぶす感じができたと思ってます。
-ギターのリフも強いですが、この曲はベースが肝になって引っ張っている感じがありますね。
mao:めちゃくちゃ難しいですね。今回は全部難しいんですけど。それこそデモで完成されているものをレコーディングでいかにうまく弾くか、プラスアルファで自分でアレンジしていくという作業だったんですが、ベース弾いても、みんな反応が薄いので(笑)。
赤飯:本当に忠実にやってくれるから、言うことないんですよ。
mao:さら~っと流されてる感じで。
赤飯:本当に言うことなくて。ないのに、なんか言えなんか言えって言われるから、"いや、ええよ?"と。
324:すげぇいい塩梅なんだよね。やってほしいところをしっかり拾って、ちょい足ししてくれるところはちゃんと自分で入れてくるから。
赤飯:そう。だから言うことがないという。すごくいいことなんですけど。なんかネガティヴに捉えてるみたいで(笑)。
324:なんか言えよ! ってね。
赤飯:めっちゃええでっていう。
mao:なんか、さらっとしてるなと思って。
-それだけ曲の理解度があって、デモの解釈が的確だという。
赤飯:忠実に再現することがうまいんですよね。あ、でもモーニング娘。の「恋愛レボリューション21」の間奏は特殊なやり方をしていて。間奏で僕がダンスするんですよ(真顔)。だから振りに合わせてベースのフレーズを作ってくれって頼みました。音を流して僕が踊っているのを見ながら、ここは止まるのねとか、ここは腕がブーンってなるからスライドさせようとか。そういう作り方をしてるんですよ。
mao:踊りを見ながらソロを作るっていう初めての体験でしたね。
ミト充:そこはドラムも同じように動きに合わせたブレイクを入れたり、ビートにしたりちょっとフレーズを入れたりという感じになってます。
赤飯:でもこれも原曲リスペクトなんですよね。
-「恋愛レボリューション21」は、曲はもちろんダンスや振付のキャッチーさも印象的に残っている曲ですしね。
赤飯:僕もともと激ロックさんのDJイベントに、"DJ飯の種 aka 赤飯"で出るときは必ず「恋愛レボリューション21」を流して踊ってるので。ようやくカラオケ音源ではなく、バンドを従えてこれを再現できるのかっていう喜びで今、ワクワクしてます。
-アレンジ的にはソウルやファンクの洒落たエッセンスが効いてますね。
赤飯:ヘヴィにごり押しするのはちゃうなとなって。原曲を聴いたときから20年以上経っていて、僕も歳も歳ですし、年齢に見合った大人っぽさみたいなものを出したいなという欲求が芽生えてきていて。実際、普段はあまり出してないだけでブラック・ミュージックとかも好きやし。そういうところを汲み取ってもらって、ああいうアレンジになって。Aメロはヴォーカルもわざとピッチ低めで歌ってるんですよね。それで冷たい空気感とかを狙ってやっている感じがあって。そこからまたラウドなところに入って、でもサビでポップに開けていく物語を作れているので、めちゃくちゃ満足しています。
-サビのコーラス感、高揚感は原曲に忠実な感じで。
赤飯:結果原曲リスペクトになりましたね。最初はゴリっとしたヴォーカル1本でいくんだとか意気込んでたんですけど、ポリープの影響もあって喉的にできないところもあって。そこは人数感出してやるほうが、ハッピー感があっていいなと思ったんです。結果的にそれがすごく良かったと思っていますね。
-大好きでずっと聴いてきたし、歌ってきた曲じゃないですか。改めてカバーするとなったときに、つんく♂さんはこういうことやろうとしてたんだなって、再確認した思いみたいなものはありましたか?
赤飯:このアレンジやべぇなって改めて思いましたね。構成とか、"超超超 いい感じ"のところと、ラスサビ前の"超超超 いい感じ"って拍が違うんですよ。
ミト充:そうそう。
赤飯:そういうちょっとした飽きさせない匠の技みたいなものがあるとか、ここで使ったものをこっちでまた使うことで、全体の印象を整えているとか。そういうのが見えてくると、ダンス☆マンさんのアレンジはやっぱり偉大だなって思いますね。あとは歌詞とかメロとかもすげぇわかりやすくて。"泣いちゃった"、"腹へった"とか、すげぇわかりやすい言葉でスッと入ってくるこの感じ。幼稚なことを言ってるんじゃなくて、すごくでっかいイメージで捉えられるこの感じって、つんく♂さん天才かと思って。でも一番はやっぱり、僕とモーニング娘。が出会ったこの世界は素晴らしいなということで(原曲の落ちサビの歌詞と掛けている)。元モーヲタ(モーニング娘。ファンの呼称)の僕がそう思っているということは、同じように感じている人が絶対日本中にあまたいるんですよ。僕とモーニング娘。とかだけじゃなくて、自分と誰かが出会ったみたいなストーリーを、この曲に思い思いにぶつけてると思うんですけど。そういうことを想起させられる物語を作ってるつんく♂さんは天才やなと思いました。シリアスさなしで、でもポップでしっかり響いてくるって最高ですね。
-そうですね。
赤飯:押し付けがましさとか説明くささとかがないんですよ。それでもちゃんと根幹で伝えたい部分が、簡単な言葉で伝わってくるというのが本当すごいなと思って。
-今回こうしてカバー・アルバムを作ってみて、曲づくりのインスピレーションというのはだいぶ貰えた感じですか。
赤飯:たぶん、このアルバムがなかったら、今後のオリジナルの制作に進めてなかったかなという気持ちになってますね。このカバー・アルバムがあったおかげで、改めて曲作りはこうすればいいんだなというのは整理できました。発見もできましたし。めちゃくちゃやって良かったなと思います。
-今後の新作への期待感も増しました。このあと、久々のワンマン・ライヴもありますので、ライヴの話も聞かせてください。
赤飯:4月4日にメジャー・デビュー4周年企画で、初のリクエスト・ライヴ"オメコンベストテン とちょっと 2022"をやって、5月にカバー・アルバムのライヴ("オメでたカバー劇場~大阪座~"、"オメでたカバー劇場~東京座~")をやります。4月のリクエスト・ライヴは、ランキング通りにやろうと思っているので。普段とは全然違うセットリストになるから、どんなセットリストになってもお前ら文句言うなよ! お前らが決めたやつやからな!! っていう責任丸投げセットリストになってます(笑)。5月の"オメでたカバー劇場"は、人の曲しかやらない、自分たちの曲絶対やらないというライヴにしようと思ってますね。なおかつ、昭和レトロ感や懐かしさをもっとわかりやすく体感していただきたいということで、今回は東京がダンスホール新世紀で大阪が味園ユニバースと、キャバレーちっくなところでやることにしました。といっても、ゴリっとしたところをなくすつもりはないので、そこをきちんと消化しながらも、さらにやりたいことが明確になっているバンドを観ておくんなましというところです。