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INTERVIEW

lynch.

2017.11.06UPDATE

2017年11月号掲載

lynch.

Member:葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 晁直(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-MV化されているリード・チューン「CREATURE」、そしてもう1曲の「BLØOD」。今作収録の新曲たちは、それぞれに異なる魅力を持っているだけでなく、いずれもがライヴ映えするアグレッシヴなタイプの楽曲たちです。また、詞の内容などを考慮しても、これらはすべて3月に開催されることが決まった幕張メッセ公演を意識、または前提とした作品になっていると言えそうですね。

葉月:今回はそういう作品を作ろうとした......というよりは作るべきだと考えてこうなった、と言った方が言葉のニュアンスとしては近いのかな。要は、このタイミングでlynch.が一番得する道を選んだつもりなんです。幕張を成功させたい! という強い気持ちが、この曲たちに繋がっていったということですよ。特に「CREATURE」は、よりその意味合いが表に出ていると思います。

-だとすると、今回のシングルを仕上げていく際に、曲調やサウンドメイクなどの部分で最もこだわったのはどのような点でしたか。

葉月:そこはもう聴いていただければわかるとおりで、ものすごい激しいところですよね。シャウトの率も多いですし。それでいて、「CREATURE」は歌詞もMVの内容にも奇妙な面が結構あるので、いわゆる化粧をしているバンドならではの匂いみたいなものが思い切り盛り込んであるんですね。単にメロディだけで勝負するわけでもなく、聴きやすいサウンドに寄るっていうのでもなく、もともとこのバンドに備わっている"やっぱり、lynch.ってこうだよね"という部分を打ち出してあるのと同時に、"lynch.、次はこう来たのか!"っていう驚きも感じてもらえるようなところを意図的に狙いました。

-玲央さんは、最初に原曲として上がってきた段階で、この新曲たちをどのように捉えられましたか。

玲央:まずは純粋に、ライヴ映えしそうな曲たちだなと感じました。結局、今回の場合は幕張に向けてここからどうアプローチしていくかと考えたときに、このシングルでlynch.のことを知ってくれたり、好きになってくれたりする人たちが、実際にライヴへ足を運んでくれるような作品にしていく必要があったわけですからね。それには、lynch.の一角だけを提示するようなものではなく、僕らの本質を表すものにしていきたいと葉月が考えているんだろうな、ということはすぐに汲み取れました。それが僕らなりの攻めの姿勢であり、幕張への道はごまかしのないまっすぐな道であるべきだ、という意志を明確に感じたんです。僕自身も、その姿勢に対して"いいじゃん!"ってすごく共感しました。

-Twitterからの情報によりますと。今シングルの制作過程ではリード・チューンを「CREATURE」にするのか、それとも「BLØOD」にするのかで、相当に熱い討議がバンド内およびスタッフ周りにて交わされていたのだとか。

葉月:そうなんですよ。順序としては最初に「BLØOD」ができて、僕からも"これがリードです"と書き添えて、みんなにファイル便でデータを送ったんですね(笑)。ところが、その2週間後くらいに「CREATURE」ができたとき、"あれ? もしかして、こっちがリードでもいいのかな?"という思いが自分の中に生まれたので、"どっちがいいですか?"という相談を、スタッフを含めたみんなにメールで送ってアンケートを取ってみたんです。そうしたら、「CREATURE」の方にしようという意見の方が多かったんですよ。具体的には、もちろん「BLØOD」もすごくいいんだけれど、lynch.的には「CREATURE」をリードにするという選択は新鮮だし、この曲のMVを観てみたいという声が多くて。正直、僕としては両方とも自信を持って作ったものですからどっちでも良かったし、それこそ"人気がある方"がより望ましかったので、最終的に「CREATURE」をリードとして選びました。

玲央:このテンポでこの世界観や曲調だと、映像を撮るときに監督さんがきっと遊べるだろうな、という読みも僕の中にはあったんですよね。あくまで、個人的な勘ですけど。しかも、現実にできあがったMVに対して"これまでで一番カッコいい"という感想を今回は多くいただけているので、とても嬉しいしありがたいです。

葉月:もっとも、晁直さんは当初「BLØOD」派でしたけどね(笑)。

晁直:まぁ、大きなカテゴリで言えば「CREATURE」と「BLØOD」は共通したものを持っているんじゃないですかね。でも、それぞれに個性や武器を持っている曲にもなっていますから、あとは好みの問題っていうのもあると思いますよ。

悠介:僕はどっちでも良かったです。前作(2017年5月リリースの『SINNERS-EP』)が全体的に歌を聴かせるような楽曲が多かった反動もあってなのか、両方とも攻めているなという感じがしたし、聴いてくれている人たちもlynch.に対してはこういうものを求めているんだろうなとも思ったし、僕がリスナーでもこういうシングルに対してはきっとドキドキするはずですからね。だから、今回のシングルはアレンジをしていてもすごく楽しかったです。

-では、ここからは各パートの見地から、今回のレコーディングにおいてみなさんがどんなことに留意されていたのかもお聞かせください。

晁直:エンジニアリングを元ギルガメッシュのЯyo君にやってもらうようになってから、音作りに関しては彼に任せちゃっている部分がわりとあるんですけど、押し出しが強いファットな音が自分としては今最もカッコいいと思える自分の中での流行り的な音なので、そこは前作から引き続いているところですね。

-曲調自体が激しいだけに、押し出し感の強い音がとてもマッチしていると思います。

晁直:そうですね、はい。まぁ、また飽きたら変えるとは思いますけど(笑)。

-対して、今回のベースは......。

葉月:僕です。

-なんと。葉月君が自ら弾くのは、久しぶりのことですね。(※2005年~2010年にかけてベーシストの正式メンバーが不在だった間、レコーディングではすべて葉月がベースを弾いていた)

葉月:前回の『SINNERS-EP』で、あれだけのメンツ(※サポート・ベーシストとしてJ(LUNA SEA)、人時(ex-黒夢)、安井義博(OUTRAGE)、T$UYO$HI(The BONEZ/Pay money To my Pain)、YUKKE(MUCC)の5人が参加した)に揃ってもらったことを考えるとですね、僕のルーツやlynch.というバンドの特性を考えると、もうあれ以上のメンツって無いんですよ(苦笑)。だからもう、今回は誰かに助けてもらうのではなくて、自分でやることにしました。もともと、普通に自分で弾いていたわけですし、ファンの人の中にも自分のベースを聴きたいって言ってくれる人たちがいたから、じゃあやろうかなと。

-ここはせっかくですから、ヘヴィな音が好きな激ロック読者に向けて、ベーシスト葉月の立場から、lynch.のように痺れるくらい激烈な音を生み出すコツというものを解説していたただけると嬉しいです。

葉月:いろんなケースがあるとは思いますけど、今回のレコーディングに関して言えば"ベーシストとして目立ちたい"みたいな気持ちは一切捨てることが、この音に近づくうえでの早道ですね(笑)

-なんとも興味深いお言葉です。

葉月:ベース単体で聴くときには、ゴリゴリガリガリいっている音の方がカッコいいんですけど、全体に混じったときには、ベースはギターの支えとして考えた方がいいというか、特にユニゾン・フレーズはベースとギターで合わせてひとつの楽器くらいに捉えた方がいいと思います。だから、今回の音でいうと人の耳につきやすいベースの中域部分は異常なくらいカットしてあるんですよ。EQ(イコライザー)をみると、見事にVの字になっていますから。そこまでした方が、ベースとしての効果は断然高まります。自分を抑えて縁の下の力持ちに徹した方が、結果的にはそれがすべてベーシストにもバンドにも、利益として返ってくるはずです。