INTERVIEW
BRAHMAN × 激ロック × バイトル
2017.10.12UPDATE
2017年10月号掲載
Member:TOSHI-LOW(Vo)
Interviewer:松原 輝さん(ドリームバイト) インタビューサポート:吉羽 さおり Photo by 上溝 恭香
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-次は音楽についての質問です。僕自身は、BRAHMANのことを2011年の東日本大震災後の活動で知りました。東日本大震災があってから、BRAHMANでは日本語の曲が増えたと思います。震災後とそれ以前とではTOSHI-LOWさんにどのような心境の変化があったのでしょうか。
心境の変化ということでは、たくさんの変化がありすぎて。かつてない体験をするということと、自分が今まで作っていた自分像というか、自分のスタイル、自分がこういう感じで見られたいということと、まったく違うことをやり出した。復興支援もそうだし、MCをするということもそうだし。日本語になったかどうかじゃなくて、単純にもっと、素の自分に近いものに移っていったんだと思う。普段の生活では、俺は日本で暮らして日本語を喋っているから、もともとの自分に近いものに寄っていったんじゃないかなと、今自分で分析すればそう思うかな。
-TOSHI-LOWさんが震災後、"家族や周りの人を大切に"と言っていたのをよく覚えているんですが、ツアーなどで忙しいなか、TOSHI-LOWさんは家族との時間をどのように過ごしていますか。
逆に、家族とはどうやって過ごしてる?
-僕は、家族と必ず一緒になる時間が、夜にご飯を食べるときで。そういう時間は、よく喋ったりします。
喋るんだね。
-はい。弟がまだ中学生なので、今日はどういうことがあったかとかそういう話が多いです。あとは、家族全員でライヴに行くんです。同じことを一緒にしているので、うちはわりと家族で一緒にいる時間が多い方だと思います。
時間を共有できるっていうのは、すごくいいなと思う。俺は、時間を共有できないことも多いから、まず自分のやれることをやろうかなと思って。ご飯を作ることもそうだし、なるべく保育園の送り迎えをするとかね。俺自身は、あまり家族とベタベタするのが好きではない子供だったんだよ。親父と話すのも大嫌いだったし、家族とどこかに行くのも、小6くらいから"俺は行かない"、"ひとりで飯食うからいい"っていう感じだったのね。自分の子供がどっちかわからないけど、もし俺みたいに"うぜぇよ、親父"って言ったら、うざくする必要はないんじゃないかなって、思っている部分もある。まだわからないけどね。でもそれまでは、してほしいことがあればするし、自分のできることはやろうと思うんだけど、何をやったから親になるとは思ってないし、親が偉いとも思っていなくて。親は親で、子供は子供で、ひとりの人間だから、家族っていう単位でみんな一緒くたにする必要もないと思っていて。そういう考え方が、昔からある。だからって、冷たくするわけじゃないよ。だからこそ、一緒にいるときは楽しければいいし、一緒の時間は過ごしたいなと思うけど、子供もわがままだし、俺もわがままだから、ご飯食べていても、"いつまで喋ってるんだ、早く食えよ!"とかなっちゃうんだけど(笑)。難しいよね。まだ、俺は答えが出ないかな。
-では、次に曲作りについてうかがいます。BRAHMANは4人でイチから曲を作るんですよね。
パターンはいろいろあるかな。
-では、何を最優先にして曲を作るというのはありますか。
自分たち4人でしかできないこと。例えば、俺たちの曲をコピーできる人、弾ける人はたぶん何万人もいると思うけど、結局、その人たちはコピーじゃない? 俺たちは、自分たちで作り出す。で、自分たちの代わりに誰かができちゃうようなことはしない。自分たちだからこそできることはどんなことだろうと思って音楽を考えてる。
-それは曲を聴いていても、伝わってくるなと思ってます。
変な曲だろ?
-そんなことないです。
本当はヘンテコな曲だなと思うだろ(笑)。でもいいんだよ、自分たちにしかできないことを求めていった結果がそれだったら。あと、今カッコいいと思うものにとらわれない。
-あぁ、なるほど。
俺たちはバンドを20年以上やってるでしょ。そうすると、音楽の流行り廃りをたくさん見てきて。今カッコいい、今流行っているものっていうのは、時間が経てば廃っていって、一番ダサいものになる。だから、みんながわーっと乗っているものに、一番気をつけるかな。そのときは、それがカッコよく見えたりすることもあるけどね。流行に流されないようにいつも気をつけているかな、曲作りに関しては。
-だからこそ、BRAHMANにたくさんのファンがついているんだと思います。
今カッコよくないのに(笑)?
-僕の知り合いにも、何年も前からBRAHMANが好きで、子供ができたあとも子供とライヴに行っている人がいるんです。"今でも、BRAHMANが一番なんだ"って。
その人に、今日のバイト代でなんか奢ってやって。
-はい(笑)。
でもそうなんだよ。自分らしさであることや、自分であることを求めていれば、時代によって左右されないし。俺が今着ている黒い服が、今は流行ってなくて、今年の流行色は緑ですよって聞いたから、緑の服を買うとするじゃん。でも来年は青ですよ、その次は赤ですよとか、いちいちそういうものに左右はされないっていう。ずっと黒を着ていれば、黒の時代がくるからね。そのときに、カッコいいですねって言われても、"別に俺はいつも着ているよ"っていうのが、一番いいなっていう。