MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

PassCode

2024.12.17 @Zepp DiverCity (TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:ヨシモリユウナ / 森好弘

10月より"PassCode ASIA TOUR 2024"と題し、北京を皮切りに、広州、上海、台北、ソウルを回ってきたPassCode。この集大成となる日本公演、東名阪のZeppツアーが12月17日のZepp DiverCity (TOKYO)からスタートした。ツアー開催のアナウンスで、自身のZeppツアー史上最大級の演出となると発表されていたが、ライヴでの南 菜生のMCによれば、ライヴハウスだからこその観客との距離感やエネルギーの交換を大事に積み重ねてきたグループの始まり以降のライヴと、映像、照明、特効等様々な演出とともにスケール感のあるPassCodeを見せた2022年の初の日本武道館("PassCode NIPPON BUDOKAN 2022")との、いいとこ取りのライヴだという。

Zeppのステージ上にもう1段高いステージを組んで、4人が大きなLEDヴィジョンを背負ったダイナミックなパフォーマンスや、海外ツアーでの経験も活かした、初めてPassCodeのライヴに触れる人にもキャッチーな映像作り等があり、また一方では迫力のあるバンド・セット、屈強なバンド・サウンドを率いた前のめりなパフォーマンスでも魅せる、これまでの経験値とエネルギーとを駆使してのステージだ。さらに加えれば、過去最長のセットリスト(東名阪で若干メニューも違う)。"あの曲もこの曲もやりたいと入れていったら、長くなっちゃいました"とメンバーはMCでかわいく伝えていたが、PassCodeの楽曲は、一曲一曲のカロリーが尋常でなく高いわけで、このツアーで2024年を駆け抜けるという渾身のライヴであることも伝わってくる。

ツアーのイントロダクションとなる映像から、まずはバンド・メンバーがそれぞれの位置につきPassCodeの4人──南 菜生、高嶋 楓、大上陽奈子、有馬えみりの4人が1段高いステージに立つ。逆光でシルエットとなっていたが、フロアを埋め尽くしたハッカー(※ファンの総称)の歓声とボルテージとが一気に上がった状態から、1曲目「WILLSHINE」へ突入した。MoooD Records移籍第1弾で9月にリリースしたばかりの曲だが、アンセミックなメロディと爽快な疾走感のキャッチーさで、曲の頭からハンドクラップや合いの手、そして大きなシンガロングでフロアを一体化する。

間髪入れずにライヴ鉄板曲が続き、ヴィジョンに"SING ALONG"、有馬えみりのシャウト・パートには"ABARERO"のフレーズを表示し、盛り上げていく「Club Kids Never Die」や、勢い良く噴射されるスモークと共にアグレッシヴにメロディを畳み掛ける「bite the bullet」で、観客を興奮のど真ん中へと連れていった。

アジア3ヶ国をツアーしてきて、"ただいま!"と改めて挨拶をすると、南 菜生は"Zepp DiverCityはPassCodeにとって特別なライヴハウス。その特別を更新していきたい。新曲で盛り上がる準備はできてる?"と、シングル『WILLSHINE』のカップリングである「Specter」へと突入。ギミックたっぷりの変化球の4人のヴォーカルが冴える、これもまたPassCodeという大暴れのラウド・チューンに、爽快に駆け上がっていくメロディに拳が上がる「Ray」等が続く。前半から息をつかせぬ曲が続くが、その曲のほとんどで声を張り上げ歌い、コールを上げる観客の力が凄まじい。

中盤メンバーがはけた間に流れたのは、この東京公演の翌日、12月18日にCDリリースとなったニュー・シングル「SKILLAWAKE」のMV。この時点でまだ世の中で流れていない、ライヴ会場での先行公開だ。映像後には、バンドのセッションがスタートし、MV内でも着用したブラックとホワイトの新衣装に身を包んだ4人が登場。改めて「SKILLAWAKE」が披露された。曲を筆頭にこのブロックは、エモーショナルな曲が並んだ。大合唱となった「Future's near by」や「TRICKSTER」、またオートチューンを外しクリーンなヴォーカルで歌い上げる「horoscope」は東京公演のみでの選曲だ。冒頭から激しい曲が続いたなかで、満天の星空を背景に歌うジェントルな歌がまた心に沁みる。観客は静かに身体を揺らして、歌を聴いているのが印象的だ。

普段ならばこのあたりの曲数でライヴを終えているが、この日はまだまだ終わらない。"2024年、最後の盛り上がりを見せてくれますか。Zepp DiverCity、疲れてんじゃねぇぞ!"の一声から、ハイパーなシャウトとメロディが会場を駆け抜ける「Freely」、スモークで真っ白のステージをど迫力のシャウトで晴らしていく「Lord of Light」、激しい煽りと全員が前のめりに感情をぶつけていくような「FLAVOR OF BLUE」へと、ステージ上もフロアもまだそのパワーがあったのかと思う程、声のボリュームを上げていった。そして、"来年もみんなともっともっと一緒にいたいけど、ついてきてくれる?"という言葉から始まった「rise in revolt」で、ラストまで全力でバンドのメンバーと共に駆け抜けていった。

PassCodeとしてはかなりレアなアンコールに突入すると、2022年のエイプリル・フール企画で誕生したPassCodeの妹分"ぱすこーど"によるラヴリーなナンバー「恋するチェリーときどき花粉症」を、初のバンド・セットで披露。"アンコールでこの曲予想できた人いる!?"というまさにサプライズ的な選曲でまたもやハッカーたちの心を掴んだ。このアンコールでは、一人一人がMCをし、たくさんのライヴをした充実した2024年を振り返りながら、2025年もこれ以上にみんなと会いたいと語る。そしてSNS等を通じて話題や流行となるアーティストもたくさんいるが、自分たちはやっぱりライヴという場が好きで大事なものだと力強く宣言。

この日の最後は、"ずっとずっとこの歌をみんなで歌っていたい"と"このまま居させてくれ 君と"、"このまま進んでゆけ ずっと"と高らかにフロアに呼び掛けるように歌う「It's you」と観客のWow Wowの大合唱で、晴れやかに、エモーショナルに締めくくった。レーベル移籍があり、リリースされたシングルが2作続けてアニメ作品のタイアップとなる、新たな動きがあった2024年となったが、PassCodeは変わらずファンの前で、ステージの上で、全力で歌い続けていく。始まりから変わらないその思いを大きく響かせるライヴとなった。

  • 1