LIVE REPORT
Unlucky Morpheus
2023.02.12 @渋谷ストリームホール
Writer : 杉江 由紀 Photographer:Litchi
解放感に満ちた咆哮、歓喜に溢れた歌声。それらが"戻ってきた"この夜、その空間は3年にもわたった抑圧から人々が解放される場となったのではないだろうか。
この夜、渋谷ストリームホールにて"あんきも"ことUnlucky Morpheusが開催したワンマン・ライヴ[Carry on "SINGING" to the sky]は、まさにこのライヴ・タイトルが示唆しているかのごとく、昨年末に川崎CLUB CITTA'で解禁された"声出し公演"の追加分となるもので、この場においては、あんきもをこよなく愛する"あんきまー"らの熱き魂から発される大きな声が氾濫する事態とあいなったのである。
"みんな、声をちょうだい! 今日は喉がかれるまで、声を出して歌って叫んで、楽しんでってください! 行くぞ!"(Fuki/Vo)
冒頭の「Unfinished」から「Top of the "M"」までの3曲で、いきなりトップ・スピードに達したバンド側のハイテンションなパフォーマンスぶりも相当なものではあったが、それらに呼応するように高く拳を振り上げ、曲の随所でかつてのように大きな声を響かせてみせたオーディエンスのアガりぶりはガチでハンパなく、その様子からは、いかに多くの人たちが、この失われていた自由を取り戻したことに対して心底からの歓びを感じているのか、ということがひしひしと伝わってきた。
そして、このライヴにあたっては事前にリーダー、紫煉(Gt/Scream)がイベンターの開設するサイトにて"『瀧夜叉姫』『Unfinished』声出し曲たちは未完成なのよ。/だから、完成版を俺も聴きたいし、みんなにも聴いてもらいたいのだ。"と記していたことからもわかる通り、川崎公演に続いたこの渋谷ストリームホールでの追加公演でも、前述した1曲目の「Unfinished」や5曲目で演奏された「瀧夜叉姫」をはじめとして、コロナ禍に生み出されたばかりに、ここに至るまでのライヴでは本来の姿で具現化されることが難しかった楽曲たちが、ようやく在るべきかたちをもって、演者側&観客側で共有されることになっていったという点が実に感慨深かったと言える。ステージ上で躍動するあんきもメンバーの6人が、いつも以上に楽しそうな笑顔を見せていたのは当然のことだった。
なお、この日はヴァイオリニスト、Jillの誕生日を5日後に控えたライヴだったということもあり、アンコールのMCではそのことを祝うくだりも挟まれることに。
"今日は特別な日ですよ。せっかくだから、みんなの声をJillへの誕生日プレゼントとして贈ってあげてください!"(Fuki)
ということで、アンコールの最後に演奏された「Carry on singing to the sky」は、本編に続いて2度目となるJillの流麗なヴァイオリン・ソロを受けて演奏がスタートする豪華な仕様となっており、ここではパガニーニの「カプリース第24番」を織り込んだクラシカルでドラマチックなサウンドが炸裂し、そこに観衆たちのシンガロングが重なるという、あんきもならではのコテコテで濃厚な世界が生まれていたと言っていい。
ところで。コテコテで濃厚と言えば、Unlucky Morpheusはこのたび日清焼そばU.F.O.とVTuber、常闇トワによるコラボ企画"日清焼そばU.F.O.×常闇トワ アクマ的濃い濃いうまい!キャンペーン"のために、新曲「U.F.O. - U Feel Overjoyed! -」を制作した。今年は記念すべき15周年を迎えることもあり、あんきもの神出鬼没にして奇想天外な活躍は、ここからさらに激化していくことになりそうな予感大!
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