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INTERVIEW

Unlucky Morpheus

2025.06.03UPDATE

2025年06月号掲載

Unlucky Morpheus

Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) Jill(Vn) Hiroyuki Ogawa(Ba) FUMIYA(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

絢爛さの裏にあるストイックさこそがUnlucky Morpheusの強みなのだろう。夏に向けて始まる、ワンマン・ツアー"Unlucky Morpheus LIVE TOUR 2025 「桜花絢爛の陣」"は、shibuya CYCLONEでの"女性限定公演"や、吉祥寺CLUB SEATAでの"暴れん坊限定公演"を含むというが、全体としては和を意識した内容になっていくとのこと。予習材料としてはBlu-ray/CD『15th Anniversary Live Tour 2024 REINCARNATION Live at TOYOSU PIT』をぜひ!

-夏に向けて始まるワンマン・ツアー"桜花絢爛の陣(Unlucky Morpheus LIVE TOUR 2025 「桜花絢爛の陣」)"に先駆ける形で、このたびは『15th Anniversary Live Tour 2024 REINCARNATION Live at TOYOSU PIT』がBlu-rayおよびCDでリリースされることとなりました。今作のBlu-rayにはUnlucky Morpheusとしての演奏だけでなく、当日にO.A.として出演したUnholy Orpheusのライヴ映像も収録されており、とても見応えのある内容となっておりますね。

FUMIYA:あまりにも内容が濃すぎて、観てて疲れます(笑)。曲数も多いし、ドラマーとしては各曲での消費カロリーもすごく高いので、当日のことを思い出すと、本当に観てるだけで、疑似的にライヴを1本やったくらいに心身とも消耗しちゃうくらいなんですよ。それだけのすごいボリューム感なので、観る方にもきっと満足していただけるはずです。

Fuki:あのツアーはあんきも(Unlucky Morpheus)にとって15周年記念の場だったこともあり、ファイナルの豊洲では特効がバンド史上一番派手だったんですよ。そういう演出の面でもこの映像は見応えがありますし、実は私たちの衣装も初めてゼロから全て作っていただいたものだったので、音の部分はもちろんなんですけど、視覚的な面でも今回は過去最高のクオリティを誇る作品に仕上がりました。

-Unholy Orpheusの衣装が黒であるのに対し、あんきもが白主体の衣装をまとっている光景はとても新鮮ですよね。

Fuki:あんほり(Unholy Orpheus)のほうの黒い衣装もすごくカッコいいので、黒い衣装と白い衣装の対比の部分も楽しんでもらえると嬉しいですね。特に、あんきもでの白い衣装というのはたしかに珍しいですし、メタル・バンドというくくりでもあんまりいないんじゃないかと思うんですよ。ステージ自体が黒っぽい分、やっぱり白い衣装だと私たちの動きも映えるし、神々しい感じがするなと映像を観ていて改めて感じました。とにかくどちらもおすすめなので、一度で二度おいしい作品になってます。

仁耶:あんほりとあんきもの2部構成ライヴで曲がたくさん入ってるっていう意味でも、今回は特別な作品ですし、演出的に初めてやっていることがあるのも見どころなのは間違いないんですけど、それ以上にこれは僕等にとって今までやって来たツアーや、作ってきた映像作品たちも踏まえた上での、いろいろ積み重ねてきた集大成的な作品になっているような気がします。これまでやってきたこと一番いい形で反映して、それを凝縮することができた作品になっているんじゃないかと思いますね。

Ogawa:ライヴ作品自体はこれまでも結構出してきてますけど、ほんとに完成度の面では今作が一番でしょうね。ここまでの経験を活かしながら、ライヴ自体もすごくいいものにすることができたし、それをこうしてCDやBlu-rayとして形に残せたことも良かったです。最高傑作になりました。

Jill:私も今回のライヴではあんほりとあんきもの両方で演奏しているんですが、ステージでの演奏に対する姿勢がそれぞれのバンドによってだいぶ異なるため、その違いや対比を改めて映像作品として皆さんに観ていただけることがとても嬉しいです。当日のライヴに来ていただいた方については、そのときに客席で観ていた視点とは違うところで楽しめるところもあると思いますし、それぞれのソロのところではアップになっていて、場面によっては"あの日は上手側ばかり観ていたけど、下手側ではこんなふうになっていたんだ"というような発見もあるかもしれません。もちろん、当日ライヴにいらっしゃれなかったという皆さんに向けても、こうして素晴らしい1つの作品として届けられることをとても嬉しく思います。

-まさに私も現場には伺っていたのですけれど、Blu-rayを観て"こんなシーンがあったのか!"と初めて気付いたところがいくつかありました。

紫煉:あんほりはあんきもの6人中5人でやってるバンドですけど、やっぱりあんきもとはかなり違う表情のライヴをやっているので、今作を観てもらうときには2つのバンドの特徴を改めて感じてほしいですね。特に自分の場合はあんほりとあんきもではパートも違うから、やってるときの感覚も違うんですけど、映像として客観的に観てみても"ほぼ同じメンバーでやってるのに、まるで全く別個のバンドみたいだなぁ"って思えるところがあります。そこが自分でもすごく面白いです。この作品を通して、ファンのみんなにはあんきもというバンドのことをより深掘ってもらいたいですね。

-今思えば、紫煉さんお1人にお話を伺った前回取材時(※2025年3月号掲載)は、今作の編集作業が佳境を迎えていらしたのですよね。2バンド分のライヴをそれぞれ何台ものカメラで撮っていたとなると、それらをまとめていくのはさぞかし大変だったことでしょう。

紫煉:その大変さも、あんほりとあんきもだと、6人か5人の違いで映像編集は作業量がずいぶん変わってくるんだなっていうのは、初めての発見だったかな(笑)。いずれにしても、音を作ってくれているHiroさんや、映像を作ってくれる竹山(尚希)さんは、あんきもにとって長年一緒にやってるチームの一員みたいな存在なんで、細かくあれこれ言わなくてもこっちがどうしたいかって意思を汲んで作ってくれるから、2本分のライヴで長くて大変ってのはあったけど、今までよりさらにスムーズに作業が進んだ感じがありましたね。みんなで作品を仕上げていってる感覚がいつもより強くて、信頼して任せられたというのはすごくありがたかったです。

-これだけ完成度の高いライヴ映像やライヴ音源に触れますと、きっとファンの皆さんの胸中には自ずと、"また生のライヴも観たいな"という思いが溢れ出てくるのではないかと思われます。ちょうど、この6月7日から8月13日にかけては、最新シングル『SAKURA chevalier』の曲を披露する場となっていく、ワンマン・ツアー"桜花絢爛の陣"が始まっていくことになりますが、なんでもこちらは和を意識したツアーになっていくそうですね。

紫煉:もちろん、この間リリースした「SAKURA chevalier」が、和の雰囲気を持った曲だというのもあるんですけど、実は今回のツアー初日にやる神田明神ホールって、もともと2020年にやるはずだった場所なんですよ。

Fuki:そもそも、あんきもは2020年4月のちょうどコロナ禍が始まった時期に、『瀧夜叉姫』という和風曲を3曲入れたシングルを出したことがあって、その後5月から6月にかけては、"鮟肝単独公演 玄音参詣"ってツアーをやる予定があったんです。でも、それは全てキャンセルになって今に至ってしまっていたので、今回のツアーでは、リベンジ的な感じで、そのときにやるはずだった和な雰囲気のツアーを、和の装いでやっていこうと思っているんです。

紫煉:5年越しで実現することになりました。

Fuki:やっとコロナに仕返しできます(笑)。あんきもの曲は、ライヴでお客さんたちが掛け声を入れてくれることを前提に作っているものが多いから、ほんとにあの時期は声出しが禁止で、いろんな規制もあって、なかなか思うようにライヴができない状態でしたからね。しかも、神田明神ホールは神社の敷地内という特性もあって、キャパ制限等も厳しくて制限解除に対しても慎重な施設だったんですよ。ようやくそこで制限のないスタンディング・ライヴをやることが叶うのは本当に嬉しいです。チケットもソールド・アウトしまして、ありがたい限りですね。

-ちなみに、今回のツアーでは7月13日のshibuya CYCLONE公演が"女性限定"、そして8月2日の吉祥寺CLUB SEATA公演は"暴れん坊限定"になるのだとか。

Fuki:5年前にも"鮟肝単独公演 玄音参詣~暴れん坊の陣~"みたいなのは予定してましたし、去年は"女性限定"と"暴れん坊限定"を実際やったんですが("Unlucky Morpheus 15th Anniversary Live Tour「REINCARNATION」")、今年もまたやります。どっちも特別なライヴということで、チケット代もその2本だけ少し下げてあって、来てくれる人たちにとってのハードルを低めにしてあるんですよ。

-なるほど。では、まず"暴れん坊限定"について伺いたいです。これは具体的に"どこまでOK"なのですか??

紫煉:いわゆる暴れるタイプのメタル・バンド、メタルコアとかのバンドのライヴでやってるモッシュとかダイブとか、サーフとかは普通にしていいよっていう感じですね。ただ、ステージ・ダイブは俺が個人的にあんまり好きじゃないんでNGにさせてもらいます。

-パフォーマンスに支障が出てしまうと困りますものね。

紫煉:普通に機材とか心配っていうのもあるけど、練習してない人がそこに立つの? って思っちゃうんで。そこは俺の思想として(笑)。

仁耶:やっていいバンドもあるけど、あんきもではなしってことですね。っていうか、6人も立ってるんでまず上がれるスぺースもないと思います(笑)。

紫煉:でも、逆に言うとそれ以外は基本的に自由ですよ。人を傷つける可能性のあるスタッズの付いた服や靴で来るとか、故意に人に対して危害を加えるとか、そういうこと以外はね。メタルのライヴで起こるであろうことだったらなんでもありです。

-"暴れん坊限定"では普段あまり見られない光景を目にできそうですね。

紫煉:このところ、あんきものライヴでは客層もどんどん広がってきてて、老若男女が入り交じってますからね。そうなると、暴れるようなノリは程々にしてもらったほうが、みんなで楽しく観やすいっていうことになるんだと思うんですよ。当然それはそれでいいんだけど、これも僕個人の思想として、"メタルは暴れてなんぼ"と思ってる部分がどうしてもあるので、そんな欲求を俺もお客さんもお互いガッツリ発散しよう! ってのが"暴れん坊限定"なわけです。
実際去年初めてやってみて、"こんな暴れることに特化した自分の中のメタル魂を燃やせるライヴがあるんなら、普段のライヴはもっとショーとしてやっても全然いいな"と思えたところがあったし、あんきもにはメタルな曲もそうじゃない曲もいろいろあるからこそ、メリハリを付けたライヴをやる意味は大きいんじゃないかと考えています。