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LIVE REPORT

DOLL$ FESTA

2018.07.29 @CLUB CITTA'川崎

Writer 宮久保 仁貴

Fuki Communeなどの活動で知られるヘヴィ・メタル・シンガー Fuki(Vo)、そしてGacharic Spinのメンバーが集結した奇跡のガールズ・メタル・プロジェクト、DOLL$BOXX。昨年2017年に復活および新作『high $pec』をリリースするやいなや、EX THEATER ROPPONGI、TOKYO DOME CITY HALL、Zepp Tokyoでのワンマン公演を行い、飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女たちが、7月29日"メタルの聖地"CLUB CITTA'川崎にて主催ライヴ"DOLL$ FESTA"を開催した。今回DOLL$BOXXの呼び掛けに応じたのは、Gacharic Spin、Fuki Commune、Unlucky Morpheus、寺田リックスピンと、いずれも彼女たちに所縁の深い"ツワモノ"だらけ。超満員のCLUB CITTA'にて、これから繰り広げられる熱演に負けじと、ファンの熱い視線がステージに突き刺さっていた。

この日のトップバッターは、Fukiが率いるFuki Commune。真紅の衣装を身に纏い、その姿はさながら勝利の女神を思わせる。彼女のバックを務めるのはMao(Key)、ISAO(Gt)、長谷川 淳(Ba)、下田武男(Dr)の万全の布陣であり、ゴリゴリのパワー・メタル・チューン「Strength」や、キラー・チューン「輝く夜へようこそ!」などを披露し、初っ端から畳み掛けてきた。また、ライヴ中盤では新曲「Bloody Rain」も披露、MaoとISAOの掛け合いが光り、哀愁たっぷりなネオ・クラシカル・フレーズに思わず琴線を揺さぶられる。MCではFukiから"この冬のどこかで、Fuki Communeの新しいアルバムが出る気が......します!"と、今後が楽しみな発言もあり、オーディエンスの期待はさらに高まっていく。終盤では、シンガロング曲「月が満ちる前に」を披露。ステージもオーディエンスも熱狂のうちにライヴの幕を下ろした。

2番手はSHOW-YAのフロントマン 寺田恵子とGacharic Spinの混合バンド"寺田リックスピン"だ。SHOW-YAの「限界LOVERS」のリミックスがSEとして流れ、メンバーが登場! 「Lock On!!」、「私は嵐」と、Gacharic SpinとSHOW-YAの名曲たちがプレイされ、寺田恵子のパワフルな歌唱にガチャピン(Gacharic Spin)メンバーの正確無比なプレイが重なっていく。また、SHOW-YAのライヴでもあまり披露されていない「地下水道の月」がプレイされたり、Gacharic Spinの「年齢不詳の魔女になりたい」の中盤で聖飢魔IIの「蝋人形の館」のアレンジが入ったりと、非常にレアなセットリストで本編が進行した。MCでは直近で誕生日を迎えた寺田を祝うべく、誕生日ケーキが登場するサプライズが! そんな彼女たちは続けて、AC/DCのカバー「Whole Lotta Rosie」やGacharic Spinの「ダンガンビート」、そしてSHOW-YAの金字塔「限界LOVERS」とキラー・チューンを続けてプレイ。この日で寺田リックスピンのライヴは最後だと言われているが、寺田いわく"SNSで広げていただければ、声が大きければ......再結成はあるか......な?"とのこと。これだけの大きな盛り上がりを残しておいて、望まないオーディエンスがいるであろうか? 少なくとも、この日ステージを見届けたオーディエンスは再結成を望んでいるに違いないだろう。

本編も早や中盤戦、3番手で登場したのは同人メタル・シーンで圧倒的人気を誇り、Fukiが所属する"あんきも"ことUnlucky Morpheus。Fuki Communeのときとは一転してゴシック衣装を身に纏い、疾走感溢れる慟哭のメロディック・メタル・チューンを展開していく。この日は、腱鞘炎によりライヴでのギター演奏を控えていた紫煉(Gt)の復帰戦でもあり、仁耶(Gt)とJill(Vn)が加わったトリプル編成でバンドは音の渦を巻き起こしていった。彼らが今年3月にリリースしたニュー・シングルから攻撃力高めの「CADAVER」や「REVADAC」も披露され、オーディエンスによる数多のメロイック・サインが会場内を彩る。小川洋行(Ba)とFUMIYA(Dr)のリズム隊の土台の強さもこのグループの魅力に違いない。かたや「imagimak」のアコースティック・バージョンも披露し、絶妙なライヴ運びでオーディエンスを魅了していく。"世代交代――ヘヴィ・メタルの次世代を私たちが担っていこう!"とFukiがMCでも発言したとおり、今年で結成10周年を迎える"あんきも"の脂の乗りっぷりは名実共に間違いない。ライヴ終盤はJillの劇的なヴァイオリン・ソロから「Black Pentagram」、「殺戮のミセリア」と畳み掛け、彼らはハイクオリティな"次世代メタル"の爪痕をオーディエンスにくっきり残していった。

本編もいよいよ佳境、4番手はGacharic Spinのお出ましだ。楽器隊は本日2度目の出演となるが、疲労の色をまったく見せずに「Never say never」、「赤裸ライアー」とアップテンポなナンバーで場内のテンションをグイグイ引き上げていく。F チョッパー KOGA(Ba)の小気味よくバキバキ鳴るスラップと、はな(Vo/Dr)のダイナミック且つ小物の光るドラミング、TOMO-ZO(Gt)の暴れ馬の如きギター、オレオレオナ(Vo/Key)の煌びやかさと静謐を兼ね備えたキーボード、まい(Performer 1号)の華やかなダンス......全パートが超絶技巧を随所に取り入れつつも、ぶつかり合わずに調和しているのはさすがと言うべきか。また、メンバー全員が放つ太陽の如き眩しい笑顔やアグレッシヴなパフォーマンスに、こちらも思わず奮い立たされる。四つ打ちノリが小気味よい「Redline」にアゲアゲなミドル・テンポの「ハンティングサマー」で場内の一体感が高まっていくなか、曲中でまいが一瞬裏にはけ、背中にキーボードを背負って再登場! すかさずオレオレオナがそのキーボードを弾き倒す豪快なパフォーマンスを披露する! ガチャピンが視覚的にも音的にも真のパフォーマーであることを再確認させる一瞬だった。"ライヴが大好きな私たちとみんなで、この曲!"とKOGAが言い放ち、終盤は「ゴー!ライバー」と「BROKEN LOVER」を続けてプレイ! ガチャピンのポジティヴなオーラにオーディエンスの表情も思わずほころんでしまう。場内全体が圧倒的な幸福感に包まれていくなか、Gacharic Spinはライヴの幕を下ろした。

長丁場の"DOLL$ FESTA"もいよいよ終幕に近づいていく。この日最後の出番を務めるのは、主催者のDOLL$BOXXだ。先ほどまでのムードとは一気に変わって、クールなオーラが会場を包み込む。昨年の復活後、数々の大舞台でのプレイを経た彼女たちの表情はどこか誇らしげで、自信に満ち溢れていた。「Loud Twin Stars」、「Sub-liminal」と疾走感溢れるナンバーで攻めつつ、「Dragonet」でしっかり歌を聴かせ、オーディエンスの琴線を揺さぶっていく。MCでは、この日ソールド・アウトしたことがFukiの口から告げられ、"次があるとしたら......もっと広い会場でやらなければいけないね"とさらにオーディエンスの期待感を高めていった。続いては「ロールプレイング・ライフ」、「おもちゃの兵隊」と初期の名曲群もプレイ。扇情的なメロディにFukiとはな、オレオレオナのコーラスが重なって、極上のハーモニーが場内を彩っていく。Fukiから"復活を遂げてからのDOLL$BOXXの活動も、このシーズンは終了となります"と非常に寂しいMCが話された。ただ、"もちろん、去年復活できたのは応援を続けてくれたみんながいてくれたからです。また、次の始まりまでそれぞれの活動を続けていきたいと思います"と、これからの未来に向けた話もあり、オーディエンスから割れんばかりの歓声が巻き起こる。ライヴもいよいよ終盤戦。"跳べ!"とFukiの煽りから「Take My Chance」、「Shout Down」をプレイ! 曲中の情感たっぷりのエモーショナルなスクリームに、ハートを撃ち抜かれそうになってしまう。そして、スラッシュ・ビートを多用したエクストリームな「KARAKURI TOWN」、ギターのアグレッシヴなフル・ピッキングが特徴的な「世界はきっと愛を知ってるんだ」をプレイし、本編が終了した。

アンコールでは、はなとTOMO-ZOが疲れにより帰宅してしまうハプニングが! ただ、そんな窮地を救うべく、JUDAS PRIESTの「The Hellion」のイントロと共に、たまたまライヴを観に来ていた盟友のMETALLIC SPINのノーズ(Dr)とカワイ・トモーゾ(Gt)がステージに現れた。また、Fuki CommuneからISAO、寺田リックスピンから寺田恵子、Unlucky Morpheusから仁耶が参戦し、MICHAEL SCHENKER GROUPの「Armed And Ready」のセッションが始まった。最強のメタル・アンセムをメタル・ヒーローたちがメタルの聖地で共演する。これほどオイシイ演出があるだろうか? この日最大のオーディエンスの歓声に包まれ、"DOLL$ FESTA"ならびにDOLL$BOXXの第2シーズンの活動が終了した。

今回をもって、いったんDOLL$BOXXとしての活動は止まってしまうが、オーディエンスも出演者も忘れられない、奇跡的な1日があったことは間違いない事実だ。また、Fuki、Gacharic Spin各々が個々の活動でさらにパワーアップし、再び集結することは決して遠くない未来のはず。そう思わせる伝説的な1日に違いなかった。

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