MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Unlucky Morpheus

2022.04.26UPDATE

2022年04月号掲載

Unlucky Morpheus

Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) Hiroyuki Ogawa(Ba) FUMIYA(Dr) Jill(Vn)

Interviewer:荒金 良介

2021年10月1日に史上最大規模のワンマン・ライヴを豊洲PITで行い、大成功に収めた"あんきも"ことUnlucky Morpheus。コロナ禍に屈せず、精力的に活動するバンドがニュー・アルバム『evolution』をここに完成! 今作はヴァイオリン奏者擁する希有なバンド・スタイルを存分に生かし、華やかでキャッチー、何よりポップ性をグッと高めた幅広い曲調が揃っている。常にいい意味でこちらの予想を裏切り、進化を遂げていくあんきもサウンドについて、メンバー6人に話を訊いた。


いろんな曲があるけど、全部得意なことをやっている


-前アルバム『Unfinished』(2020年リリース)は"美と暴虐"を掲げたエクストリームな1枚でしたが、今作はものすごくキャッチーで聴きやすくなりましたね。

紫煉:その通りです(笑)。

Fuki:前作はお客さんからすると、暴虐要素が強かったのかなと。あんきもはキャッチーなメロスピという印象があると思うから。

紫煉:前作があんきもらしいと思った人もいるだろうし、東方Projectから聴いてくれている人には、THEメロスピこそがあんきもらしいと思う人もいますからね。エクストリームな要素は、最近のあんきもっぽいという感覚じゃないかな。

-今作でキャッチーな方向に舵を切ったのは?

紫煉:前作のあとにすぐ制作に着手して、2020年の7~8月にはレコーディングをやっているんですよ。前作はエクストリーム要素をかなり強くしたので、さて次はどうしようかなと。それで、当初アルバム2枚同時発売というのを考えて、ひとつはキャッチーな今作、もうひとつはさらにエクストリームなものを出そうと考えました。今作では、Fukiの歌が全体を引っ張るような感覚で作りました。

-では、エクストリーム盤は今作のあとに控えているんですか?

Fuki:はい、年内に出せたらいいなと。

紫煉:2枚同時で出すつもりだったけど、今作の曲のほうが早く作れたので、まずは1枚出すことにしました。

-あんきもが持っている要素を2枚に分けようと思った理由は?

紫煉:同じような作品を続けて出したくないから。あと、前作は自分がギターを弾く量を減らす意向もありましたからね。で、手に負担をかけずにうまく弾くコツも掴めてきたので、今作は普通にギターを弾いてます。

-今作を作り終えた感触からひとりずつ教えてもらえますか?

Fuki:歌ものアルバムということで、色彩豊かに歌い分けることもできたので、レコーディングは楽しかったですね。

小川:俺的にはあんきもの王道ですね。だから、いろんな曲があるけど、全部得意なことをやっているなと。

Fuki:あんきもの歴史に古くから関わっている小川君としてはね。

小川:前作のほうがあまりやってこなかったことだから。今回はファンも喜んでくれるんじゃないかと。

仁耶:僕も同じ印象というか。歌を中心にしているのは昔のあんきもっぽいし......和風だったり、中近東だったりなニュアンスもありますけど、歌ものと速弾きはあんきもの本線かなと思っています。

FUMIYA:今作は一貫してキャッチーですよね。その中でメロスピ、アニソン、バラードとタイプが分かれているから。僕はよく言うんですけど、メタルの界隈だけのバンドではいたくなくて(笑)。パイを増やすためには、より広い層に訴え掛けるものが必要だし。その意味で今作は適しているし、日本人好みのメロディがたくさん詰まっているから。この先、広げるためにもいい作品ができたなと。

紫煉:今作だけ聴くと、メタル寄りのJロック・バンドと呼んでもいいくらい(笑)。

Fuki:陽キャのアルバムだよね(笑)。ジャケットもアルバムでは初めて実写で、ヴォーカルの顔がジャケットになっているのもJロックっぽいなと思います。

-Jillさんはいかがですか?

Jill:逆に私は最後に参加したメンバーで、あんきもの暴虐の部分ばかりを見てきたから(笑)。今回はキャッチーな曲も多いし、初めてあんきもに触れる方にも耳に入りやすい曲が多いなと。あと、ヴァイオリンとしては和や中近東っぽいもの、ヨーロピアンやゴシックとか、いろんな要素があって、演奏しても楽しかったです。

-メタル好き以外にもアピールするポピュラリティの高い作品ですよね。

紫煉:もともと自分の目標はいい音楽を作ることがポイントで、メタルのフィールドでトップを取りたいみたいな意識はなくて。得意なものがメタルというだけで、その中にいろんな音楽を取り込んでいきたいんですよ。例えばX JAPANもメタルやパンクとか好きなものを取り入れて、X JAPANはX JAPANの音楽をやっている感じだから。あんきももあんきもの音楽をやっているという。そういう意識は、今作に限らずありますけどね。

Fuki:あんきもは結成した当初から作品を出すたびに"あんきもっぽくなくなった"と言われて。ファンの方が思うあんきも像はまちまちで、それはいろんなジャンルが混ざっているからなんでしょうね。

-ヴァイオリン奏者を含む6人編成として、今作はアンサンブルも適材適所であり、引き算によって、楽曲のポップ性を引き立たせることに集中したサウンド・メイクになってますよね?

紫煉:そうですね。そうした押し引きは意識しました。基本的にメロスピは押し押しで作る音楽で、好きだからそうしているんですけど。押し引きの落差をつけたほうが、それぞれのパートも目立ちますからね。今回、ヴァイオリンのパートは意図的に増やしてます。それがあんきもの特徴なので、それを音でも表現したいなと。以前はヴァイオリンがバッキングのままということもあったけど、主旋を取ったり、ソロも盛り込んでたりしますからね。

-「アマリリス」は今作の中でもアニソン的な位置づけのナンバーで、最初に聴いたときはFukiさんの歌声!? と思うほどでした。

Fuki:これだけ爽やかで、かわいらしい曲はあんきもにはなかったので。アニソン好きな人に寄り添うと、ああいう歌う方になりました。今回の中ではレコーディングは一番楽しかったかもしれない。

紫煉:俺はもともとそういう音楽も好きで、栗林みな実さんも好きで、アニソン・シンガーでロック寄りのジャンルみたいな。あんきもで、そういう引き出しは開けてなかったから。

小川:実はこういう曲も得意だよね、とは思った。

仁耶:ギターはタイトに弾こうと心掛けて、明るいなかでどれだけヘヴィに行けるかなと。

-こうしたポップな曲調はヴァイオリンがよりいっそう映えますね。

Jill:イントロからヴァイオリンが入っているのでヴァイオリンが生きる曲だと思います。あと、サビでヴォーカルと追いかけっこしたり、落ちサビでも目立つので聴かせどころは多いかなと感じますね。