INTERVIEW
Unlucky Morpheus
2025.06.03UPDATE
2025年06月号掲載
Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) Jill(Vn) Hiroyuki Ogawa(Ba) FUMIYA(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
あんきもだからこそ到達できる、より深い領域に踏み込んでいきたい
-ここは各メンバーからも"暴れん坊限定ライヴ"についての見解をいただきたいです。
FUMIYA:ドラムを叩いてるときは常に暴れてるんで、自分の場合は普段も"暴れん坊限定"もそんなに変わらないです(笑)。ただ、僕も紫煉さんと同じでメタルって反骨精神を持った音楽だと思うから、基本的にオーディエンスには暴れていてほしいなという考えを持ってはいるので、去年やったときは、"本来ライヴで見たかったのはこんな景色だったな"と再確認したところがありました。海外のメタル・フェスの映像とかで見るようなあの雰囲気って、特に国産のメロディック・メタルの界隈で見ることはまずないので、1人のメタルヘッズとして、"こういう光景をもっと見たいな"と思ったのは事実です。だから、今年もまたやれるのは楽しみですね。ずっと続けていきたいです。
Jill:私自身はライヴハウスで、キッズとして暴れた経験っていうのはないんですね。でも、去年回ったツアーの中で私にとって最も印象的だったライヴの1つは、"暴れん坊限定"の日だったと言っても過言ではないと思っています。話には聞いたことがありましたけど、実際に体験してみると思っていた以上に楽しくて、"これはまた絶対やりたいな"と感じたんです。だから、今年もやれることになってとても嬉しいですね。
-すでにやみつきになりつつあるのかもしれませんね(笑)。
Jill:私にとっては、"暴れん坊限定"をやったことが、ある種のターニング・ポイントになったのは間違いないですね。普段お客様の前で演奏するにあたっては、自分のテクニックをどこまで最大限に発揮できるのか? というのが永遠の課題なんですが、"暴れん坊限定"の場合は、こんな言い方をするのもあれなんですけど、もしテクニックの部分で100パーセントじゃなかったとしても、それより"勢いのほうが大事だよね"と思いつつ臨んだ部分があったんですよ。そして、実際にお客さんたちが暴れている姿を見ながら、自分もいつもよりアグレッシヴなパフォーマンスをすることになったんですが、どうやらいい感じに力が抜けたのか、最も難易度が高くていつも多少の緊張感を持ちながら演奏している部分を、100パーセントのいい感じで弾けてしまったんです(笑)。
そこで"リラックスして演奏するって大事なんだな"ということに当たり前ですが改めて気付いて以来、他のクラシックとかの舞台でもステージに対する臨み方がちょっと変わりました。
-フロントに立つFukiさんは、"暴れん坊限定ライヴ"の最前線と対峙される立場でもあると思いますが、このライヴについてはどのような見解をお持ちですか。
Fuki:私は意識とか思想的な部分で臨み方が他のライヴと違うということは特にないですね。違いがあるとすれば、"暴れん坊限定"では、衣装が動きやすさを重視したちょっとラフめなものになることくらいでしょうか。フロント間に立つ人間としては、吉祥寺CLUB SEATAもそろそろあんきもにとっては狭い空間になってきていると思うので、今後はもっと広い会場で"暴れん坊限定"ができるようになればいいなと考えてます。あとは、将来的にはゾーニングもですかね。
-といいますと?
Fuki:私は高校生の頃とかに自分が観客としてライヴに行っていたので、暴れて楽しむっていう発想はもともと持っているんですけど、あんきもファンは老若男女いろんな方がいますし、ライヴでのそれぞれにとっての居心地の良さとか、楽しみ方ってやっぱり違うと思うんですよ。それこそコロナ禍も挟んで、中には"むしろあの時期は距離が取れて良かった"、"椅子があって快適だった"って感じる方もいますしね。バンドとしては暴れん坊は暴れん坊で大歓迎なんだよ! っていう姿勢も提示していく一方で、例えば今後はオールスタンディングでも後ろの方だけは椅子があるよとか、"女性限定ライヴ"をやるとか、いろんな人たちが楽しめるような空間作りを心掛けていけたらいいなと思ってるんです。あと、"暴れん坊限定"に関しては"怪我だけしないでね"っていうのが大事ですね。
-自分の身は自分でしっかりと守りつつ、誰かが大変そうなときは助けてあげる等、自衛と互助の心を持って参加していただけると理想かもしれません。
仁耶:僕はコンサートみたいな落ち着いたタイプのライヴも好きなんですが、ああやって"暴れん坊限定"をやってみるとその楽しさもすごく感じるんですよ。かといって、別にあんきもは暴力を推奨しているわけではないので(笑)、もしモッシュとかダイブで危ないぶつかり方をしたときなんかは、お互いに"ごめんね"って声を掛け合うような、気遣いがあるといいんじゃないかと思います。去年もみんなで同じ意識を持ちながら、大事に至ることなくそれでいてすごく盛り上がるライヴができたので、今年はさらにもう一段階みんなで上に行けるといいなと。
Ogawa:僕もライヴに行って暴れるっていうのはやったことない人間なんですけど、"暴れん坊限定ライヴ"をやってみて感じたのは、今も話に出ててた目的意識の強さだったんですよね。それぞれが好き勝手に暴れるんではなくて、みんながチームワークみたいなものを持って、一丸となって"暴れん坊限定ライヴ"の空間を作ってるっていう感覚を、すごく感じたんですよ。相乗効果でこっちにとってもすごくいいライヴになったし、今年もああいう空間をまたみんなと生み出せたらいいなと思ってます。
紫煉:思いっきりやりつつ、事故がないようにっていうそれだけですね。それに、今回のツアー自体は和というテーマもあるんで、そっちと見比べてもらって違いを楽しむってこともしてもらえたら、さらに面白いんじゃないかと思います。
-"女性限定ライヴ"のほうも興味深いのですが、こちらも別の意味でどこか独特な空気感だったりするのでしょうか。
Fuki:あんきもは女性ヴォーカルのバンドにしては女性ファンも多いほうだと思うんですけど、こういうライヴは女性同士で"一緒に行かない?"って誘いやすいところがあるみたいですね。普段のライヴや"暴れん坊"のほうにも来てくれる女性もたくさんいるんですが、中には、"行ってみたいけどメタルって怖そう"というイメージを持っている方もいると思うので、特にビギナーの方にはおすすめです。そして、"女性限定"もやるたびにお客さんの数が増えていまして、歓声もすごく大きいんですよ。なぜなら、皆さん的にも"続けてほしい"と思ってるから。そういうお客さん側の強い情熱を歓声から感じるんです。"女友達を連れて来るからまたやってください!"っていう声も多いですね。
Jill:"女性限定ライヴ"というものを設けることは、あんきもというバンドの在り方を伝える1つの手段として、大切なものになってきているんじゃないかと思います。この日は女たちだけで盛り上げるぞ! という強い気合を皆さんからすごく感じます。
Fuki:みんな当事者意識が強いんですよね。自分たちがこのライヴを作っているんだという意思を持って参加してくれているんです。
仁耶:しかも、女性限定の日は圧倒的に女性メンバーの人気が高いです(笑)。
-FukiさんとJillさんが憧れの対象なのだと思いますよ。
Fuki:きっとあれはJillさんのクラシック・コンサートに行かれるような感覚なんでしょうね。中にはすごくおめかしをして来てくれている女性ファンの方もいらっしゃいますしね。皆さんがお互いどんなファッションなのかというのを楽しみにしながら参加してくださっている方たちも、結構いるみたいです(笑)。
-さて。そうした"女性限定ライヴ"もありつつで、8月13日に"桜花絢爛の陣"はZepp Shinjuku (TOKYO)にて千秋楽を迎えます。ライヴ・バンド、Unlucky Morpheusとして、今皆さんがより強化していきたいと考えていらっしゃるのはどのようなところでしょうか。
FUMIYA:"Unlucky Morpheus 15th Anniversary Live Tour「REINCARNATION」"で、自分としては究極のところまで行けたので、今度のツアーではそれをいかに継続していけるかですね。自分との闘いを続けるだけです。
Jill:まだ考えは固まっていないものの、今回は和がテーマのツアーで衣装も和風なので、パフォーマンスや見せ方の部分でも、そういう要素を取り入れていくことになるかもしれませんが、とにかく常に最高のものを皆さんにお届けする姿勢は変えずに臨んでいきたいと思います。
Fuki:去年のツアーは断続的に5ヶ月くらいにわたったんですが、今年は2ヶ月で10公演なので、なんならちょっと物足りなさを感じてしまいそうなんですよね。恐らく、あっという間にファイナルなんだと思います。そして、今回は初めて福岡でもやることになっていて、しかもソールド・アウトしてるんですよ。私はそれもすごく嬉しくて、あんきもはなかなか本州を出ないバンドと思われがちではあるんですが、これをきっかけにまた次のツアーでも福岡が入ったり、もっと行ける場所が増えたり、という形で広がりを見せていくことになったらいいなと思ってます。あんきもにとって意味のある2ヶ月、濃厚な2ヶ月を過ごした上で、このツアーを成功させます。というか成功します!
仁耶:コロナ禍を経て、様々な状況でのライヴ活動を続けながら、去年のツアーでようやく完成形に辿り着いた感覚があったんですけど、今年はその経験を踏まえながらよりパーフェクトなライヴを目指していきたいです。楽しみにしててください。
Ogawa:去年の15周年ですごくいいツアーができたし、『15th Anniversary Live Tour 2024 REINCARNATION Live at TOYOSU PIT』の出来にも満足してる分、今度のツアーはそこを超えていかなきゃいけないんですよね。そう簡単にはいかないかもしれませんが、そこに挑戦していきたいと思ってます。
紫煉:今回のツアーで新曲として増えるのは、「SAKURA chevalier」と、新曲じゃないけど録り直しをした「落花流水 (re-recording)」の2曲なんですけどね。でも、セットリストとしては前回のツアーとは結構違う内容にしようと思ってるんですよ。そのなかで、一曲一曲と自分たちがどう向き合って、そこからどう演奏していくのか? を高めていきたいと考えてます。一人一人の演奏家としても、6人の塊としても、あんきもだからこそ到達できるより深い領域に踏み込んでいきたいです。
RELEASE INFORMATION
Unlucky Morpheus
ライヴBlu-ray
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TOUR INFORMATION
"Unlucky Morpheus LIVE TOUR 2025 「桜花絢爛の陣」"
6月15日(日)福岡 DRUM Be-1
6月21日(土)NAGANO CLUB JUNK BOX
7月5日(土)HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
7月13日(日)SHIBUYA CYCLONE ※女性限定公演
7月21日(月・祝)名古屋 ElectricLadyLand
7月26日(土)GORILLA HALL OSAKA
8月2日(土)吉祥寺CLUB SEATA(O.A.:Unholy Orpheus) ※暴れん坊限定公演
8月9日(土)仙台 Rensa
8月13日(水)Zepp Shinjuku (TOKYO)
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