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INTERVIEW

lynch.

2025.09.24UPDATE

2025年10月号掲載

lynch.

Member:葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 明徳(Ba) 晁直(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

東京ガーデンシアター公演に向けて一緒に突き進んでいけるような曲で、誰がどっからどう聴いても"これはlynch.だよね"って感じる曲


-楽器隊の皆さんは「BRINGER」でどんなプレイを心掛けられましたか。

晁直:前作『GREEDY DEAD SOULS / UNDERNEATH THE SKIN』に入れた新曲「GOD ONLY KNOWS」のときは、貰ったデモを丸々コピーして叩いたんですよ。だけど、「BRINGER」は要所要所を自分なりに変えて叩きました。特に理由はないんですけど(笑)、ちょっとだけ"好きにやってみよう"と思ったからですかね。少し脚色をした感じです。

明徳:僕は個人的にこの曲のプレ・イントロがすごい好きですね。この曲も前回ツアーの真っ最中に録り始めたので、ライヴ・モードで録ることができたのは良かったです。東京ガーデンシアター公演に向けた曲っていうのもあったので、"デカい会場が似合いそうな曲だな"ってイメージしながら弾くことができました。

悠介:この曲では自分の色をそんなには出してないです。デモの段階ですでに完成度の高い感じになっていたので、サビのところのアレンジを少し変えたり、間奏にギター・ソロを入れたり、あとはイントロのギターの音色を少し練ったくらいです。あまりゴチャゴチャさせるとむしろ曲が死んでしまうと思ったので、ここでは"5人でやってますよ"という分かりやすいバンド感を優先させました。もちろん、ガーデンシアターでやることを意識したところもあります。

玲央:位置付け的には、今回の「BRINGER」は(日本)武道館(["THE FATAL HOUR HAS COME" AT 日本武道館])のときの「ALLIVE」(2020年配信リリースのシングル)に近いところにいる曲なんです。その話は予め葉月から聞いてましたし、今年は20周年という節目でもあるので、この曲のギターに関しては今まで自分が弾いてきたlynch.の楽曲たちをセルフオマージュするような感じで、いろんな曲に入っていたフレーズを詰め込んでちりばめてみました。

-この曲の音に王道らしさを感じるのはそのためだったのですね。

玲央:そこを感じてもらえたなら良かったです。普段だったら"これは前にやっちゃってるからやめておこう"となるところを、"あえてやったら面白いのでは?"という遊び心を活かしながら、サビや間奏にもいろいろ入れてあるので。中には、"悠介さん、こういうディレイ・フレーズ弾いてたよなぁ"と思い出しながら僕が弾いてるところもあります。といっても、それは分からない程度のミックスになってるんで隠し味ですけどね。分離のいいイヤホンとかヘッドフォンでよく聴いたら、たぶん"これは!"ってなると思います。ほんと、この曲はだいぶ遊ばせてもらいました(笑)。

-明確なテーマありきで作られた楽曲であるということは、葉月さんからすると詞を書く上での迷い等はきっとなかったのでしょうね。

葉月:内容は深く考えずとも自然とこうなりました。考えたのは、英語の部分を翻訳しながらメロディに当てはめていったところくらいですかね。そして、この詞に対しては今までと明確に見てる視点が違うなっていうことを自分で感じてます。MVの監督にも言われたんですよ。"終わりがあるっていうことを意識するようになってるね"って。

- "あとどれだけ歌えるだろう? あなたに会えるだろう?"のくだりは、特にその要素が顕著です。

葉月:悲観してるわけではないんです。そこに向かっていってるのは事実だし、残りの時間も限られてるはずで、だからこそ与えられてる時間をできるだけいいものにしたいっていうことなんです。自分の中では年々その気持ちが強くなってるんでしょうね。

-かねてよりlynch.は黒や闇のイメージを纏ってきたバンドである一方、この楽曲の中では"I'M THE BRINGER OF LIGHT"と力強く歌われています。「BRINGER」について語る上では、この点も重要なキーになってきそうです。

葉月:これまでも光を掴みにいくっていう姿勢の歌詞は書いてきているんです。そこから生まれるエネルギーは恐らくファンの人に光となって届いてるはずなので、それで"I'M THE BRINGER OF LIGHT"という言葉をここでは使いました。昔からよく言われるんですよ。この曲でも実際"奏でよう この闇を"とも歌ってるんだけど、"闇というモチーフはよく使うけど、中身はめちゃくちゃ光属性だよね"って。

-人前に立って歌い、メッセージを発信していくには、きっと光の力が必要なのだと思います。

葉月:ダークな人間だから闇を歌うというわけではなくて、僕にとっての闇は重要なモチーフであるということです。そして、lynch.というバンドは光をもたらす側だと思うので、今回「BRINGER」という曲を作りました。

-そんな「BRINGER」を含むDisc.3はどれもこれもライヴで主戦力になっているものばかりですので、結果として今回の『THE AVOIDED SUN / SHADOWS』は実に聴き応えのある作品となりましたね。また、10月24日からは "TOUR'25「THE AVOIDED SHADOWS」"が始まりますので、今作をリアルに体感することもできそうです。

葉月:今度のツアーの内容に関しては、ちょっと今まだ悩み中なんですよ。以前、『THE AVOIDED SUN』の曲を中心にやる日、『SHADOWS』の曲を中心にやる日、みたいな括りでライヴをやったことはあるんですけど、2枚を軸にしてセトリを組むっていうのはやったことないので、ちょっとこれから考えます。

-そのツアーが12月6日の名古屋 DIAMOND HALL公演まで続いた後、20周年プロジェクトの総決算として行われるのが、先程も話題に出ました東京ガーデンシアターでの"lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT「ALL THIS WE'LL GIVE YOU」"です。ちなみに、こちらに向けてのヴィジョンもぜひお聞かせください。ライヴのタイトルとして冠せられている言葉は、今作のDisc.3に収録されている「ALL THIS I'LL GIVE YOU」を踏まえたものなんですよね。

葉月:「BRINGER」の歌詞の"ALL THIS WE WILL GIVE YOU"でも一人称は"WE"で歌ってるんですけど、我々5人から皆さんへの気持ちをここには込めてます。東京ガーデンシアターっていうのはアリーナクラスの会場ですし、20周年の最後でもありますから。これをしっかり成功させてステップ・アップしたいという思いはすごく強いんです。当然そこからまた先に繋がっていくはずですから、とにかくたくさんの人たちに観てほしいです。来てくれる皆さんには最高の夜を約束します。ということで、今回チケットが安いんですよっていうこともお伝えしておきましょう(笑)。

-何種類かのチケットがある中で、一般指定席の5,500円が破格の設定ですね。

葉月:コロナ禍から相対的にチケット代って上がっちゃったじゃないですか。"ライヴ行きたいけど、高いよな"って足が遠のいてる人たちは、ぜひこの機会に観てほしいですね。

玲央:ここまで続いてきた"20th ANNIVERSARY PROJECT"は12月28日の東京ガーデンシアター公演で完結するんですけど、この記念企画をやる意味というのは何よりも"次に繋げていきたい"からなんですよ。大きな節目のライヴを観てもらうことで"これからのlynch.を応援していきたい"って皆さんに思ってもらえるようなパフォーマンスをしていきたいですし、これまで携わってきてくださっている方たちに"そうそう。こういうlynch.のライヴを観たかったんだよ!"と感じていただけるような感謝の意味合いと、自分たちのこれまでとこれからを集約させたようなライヴをしたいと思います。