INTERVIEW
lynch.
2017.05.29UPDATE
2017年06月号掲載
Member:葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 晁直(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-そしてYUKKEさんが参加した「SORROW feat. YUKKE」は、悠介さんの曲ですね。これはYUKKEさんとふたりで録っていったということですが、どんなふうに進めていったのですか。
悠介:これは、エンジニアとディレクションをミヤさん(MUCC)がやってくれたんです。
-そうなんですか。
悠介:ミヤさんがいろいろ機材を持参してくれて。"俺だったらこういうふうにするけど、どう?"っていう、ミヤさんのアイディアも入っているんです。あとは、歌詞のことも聞かれたりしましたね、"ここはどういう歌詞が乗るの?"って。ただそのときは、まだ歌詞をもらっていなかったので、たぶんタイトルを連想させる言葉がくると思いますよとは言って。"じゃあ、悠介を信じるわ"っていう(笑)。そういうふうに歌詞の意味も考慮しながら、"この音は入れない方がいい"とかっていうのもアドバイスしてくれたので、勉強になりましたね。違う人の現場を見ているような感じがして。
-MUCCがそういった手法でやっているんでしょうね。
悠介:息を呑むような感じでしたけどね、僕は(笑)。すごいオーラが出ていたので、口を挟めなかったというか。YUKKEさんに関しても、"なるほど、こういうアレンジをするんだな、こういうふうに攻めてくるんだな"という勉強にもなったし。あとは、自分がこういうふうにしてほしいなと思っていたことも、こちらが言わずともそうしてくれたので、すごくよかったですね。
-特に「SORROW feat. YUKKE」は、歌が聞こえてくるサウンドにもなりましたしね。
悠介:そこが一番、意識していましたね。さすがだなと思いました。
-メロウなメロディ、歌が立った曲で、作品を締めくくる曲にもなっています。心の内を吐露する内容でもありますが、この歌心やサウンドのムードは歌詞を書く際にも活かしているんですか。
葉月:悠介君の曲はいつも、曲から受けたイメージだけで書き始めるんですけど。今回は明徳の事件があったので、自然とそっちの方向になって、ここは彼の気持ちになって書かせていただきました。ちょっと不思議な気持ちになりましたね。
-ファンに語り掛けるような歌でもありますね。ここまでダイレクトな思いを歌として伝えることは、なかったように思うんです。
葉月:最後の方はそうですね、だいぶわかりやすいです。サビとかは抽象的だったりするんですけど、やっぱり曲に乗せて歌うと、心に入りますし。Twitterとかでもこういうことは言えるんですけど、やっぱり曲に乗せるのがいいなと思いましたね。
このクロスオーバーしたすごいベーシストたちを、他のバンドは呼べるかなと思った
-こうして作品が完成して、ツアーも決定しましたが、lynch.としてこれからどう進んでいくのか、改めて聞かせてください。
葉月:ベースがああいう脱退の仕方をして、大いなるダメージを受けて、マイナスになったんですけど。そのマイナスをとにかくプラスにしなきゃいけないとずっと考えていて。今回、ベーシストもこうして5人揃い、ライヴでは4人のサポート・ベーシストにお願いしていて。とにかく、ベースがいないということを、お客さんに楽しんでもらいたいという思いがあったので、まず『SINNERS-EP』ができて。その準備が整ったところだから。これが出て、やっとそのプラスに転じることができるのかなっていうのはありますね。その先はまだちょっと、どうするかわからないですけど。
-このマイナスをプラスに転じることは、単に活動を休んでいたところからスタートするのとは、全然違ったパワーを使いますよね。
葉月:昔みたいに僕がベースを弾いて、音源を出してもよかったんですけど、それではただのマイナスだから、それじゃダメだなと思って。逆に、これだけインパクトのあることをやれば、みんな喜んでくれるかもなっていうのを自分でも感じたので。それはパワーも使いましたけど、モチベーションにもなりましたし、結構ワクワクしながらやっていましたね。
-えぇ、この1枚が確実にバンドの強みになりますからね。
葉月:このメンツを、他のバンドは呼べるかなっていう。ものすごくクロスオーバーしているし、すごいベーシストばかりだから。
-lynch.ならではだと思います。lynch.が持っているもともとの幅ってこういうことだなっていう人選で、それをひとつひとつ突き詰めた形をこの6曲に落とし込んでいるので。初めて手に取った方が、lynch.というバンドを知るのにもわかりやすいかもしれないなとも思いましたし。
玲央:あぁ、なるほど。
-すごく尖ったものにもなっていると思います。その作品に、"SINNERS=罪人"というタイトルを冠したのは?
葉月:あの事件があったからというのは、否めないですね。別に僕らが犯罪者というわけではないんですけど、事件を受けていろいろ考えて。僕らはこれまで、いろんなバンドの解散が相次いだときに、ファンの人に"俺らは終わらないから"ってずっと言っていたんです。その約束を破ったことになってしまったことにも、罪の意識はあるし。正直、インパクトあるなとも思ったし。今回の件も忘れないようにという意味もありつつ、形あるものにあえて名づけてやるという意思表示でもあって。今も悲しんでいる子たちはいっぱいいると思うので、その傷口に塩を塗るようで申し訳ないタイトルだなとも思ったんですけど。だけど、これを超える言葉が僕の中になかったんです。