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LIVE REPORT

THE LAST ANTHEMS TOUR

2024.05.29 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:naoto iwabuchi

11年ぶりに集結し"3WAYスプリット・アルバム"『THE LAST ANTHEMS』をリリースしたlocofrank、HAWAIIAN6、dustbox。4月25日渋谷Spotify O-WESTからスタートした"THE LAST ANTHEMS TOUR"が、各地を巡って再び東京へ帰還。5月29日Zepp DiverCityでファイナルを迎えた(※6月14日には金沢で追加公演あり)。このファイナル公演の出演順は、初日のSpotify O-WEST公演時にくじ引きで決定しており、HAWAIIAN6、dustbox、そしてlocofrankがトリを飾る。それまでのようなライヴができなかったり、先が見えず暗いニュースが続いたりしたコロナ禍の数年を経て、徐々に日常が戻り、ライヴハウスにも人が戻ってきたなか、仲間内で持っている最強のカード(『THE LAST ANTHEMS』)を出したら面白いんじゃないか。3バンドが再集結したきっかけについて、そのようにインタビュー(※2024年4月号掲載)で語っていたが、フロアには、恐らくは前回、11年前の"locofrank HAWAIIAN6 dustbox ZEPP TOUR 2013"にも参加していただろう熱い観客がひしめく。もちろん、これ以外にも共にツアーや共演はしているが、この『THE ANTHEMS』、『THE LAST ANTHEMS』は特別なものだという、その熱量が会場を覆っている感覚だ。

"THE LAST ANTHEMS"の大きなバックドロップを背に登場したのはHAWAIIAN6。"東京、帰ってきたぜ。楽しい夜にしよう。遠慮すんじゃねぇぞ"とまずHATANO(Dr)が威勢良く声を上げると『THE ANTHEMS』収録の「In The Deep Forest」で大合唱を起こし、そこに『THE LAST ANTHEMS』収録の「No Age」が続く。怒濤のビートに哀愁のメロディとコーラスが絡み、後半のシャウトで馬力を上げ駆け抜ける「No Age」のパワーは凄まじく、早くも爆発的なライヴ曲となっている。中盤では、『THE LAST ANTHEMS』からの「Ballad Of The Setting Sun」を披露。YUTA(Vo/Gt)がゆっくりとギターを奏で歌うイントロをフロアは聴き入り、バンドが入ってビートが加速すると拳が上がった。そこに「TINY SOUL」、「PROMISE」が連投され、観客はもみくちゃになって声を張り上げる。"このツアーがやれて良かった"とHATANOは語る。

コロナ禍で、バンドにとっても観客みんなにとっても苦しい時期があったと振り返りながら、"この先何が待っているかわからないけどやってみよう、ライヴハウスに帰って来る、と願いを込めて今回の『THE LAST ANTHEMS』を作った"と言い、"この何年間で仲間が空に行ってしまってもいて。やりたいことがあれば、今やれよって言われている気がする。今日、目いっぱい幸せになってくれ。その1分の1を繰り返していくんだ"と続ける。"ずっと青春なんだよ"という熱い言葉から「ETERNAL WISH,TWINKLE STAR」、「The Ocean」と続いた後半は会場一体で大合唱が起こる。ラスト「I BELIEVE」では、YUTAがマイクから外れ、観客のシンガロングを盛り上げ、GURE(Ba)はフロアのほうへと飛び出すようにプレイで盛り上げる。全身全霊のプレイがドラマチックでエモーショナルなステージだ。

続くdustboxは、「Riot」で勢い良くスタートした。イントロのギター・リフで観客の体温が上がるのを感じ、大きなジャンプでフロアがうねりを帯びていく。HAWAIIAN6ですっかり身体がほぐれているからか、シンガロングなども大きい。「Try My Luck」や「Not Over」など、ライヴ定番の曲が並んだ最初のブロックに、『THE LAST ANTHEMS』収録の「Contrast」が据えられた。イントロ・パートでコールが起こり、SUGA(Vo/Gt)のハイトーンが冴えるサビのメロディにも観客が自然とコーラスを重ねていく。HAWAIIAN6もそうだが、『THE LAST ANTHEMS』の曲が、すでに定番のようにライヴに馴染んでいる。

"ファイナルということで、緊張するんですよ。裏でもみんな緊張してる"とJOJI(Ba/Vo)は言う。また"楽しいと時間が過ぎるのが早いじゃないですか、今、その状態"だとも語る。中盤では『THE LAST ANTHEMS』収録の「Curse」、「Daybreak」、前作の「Still Believing」が並ぶ。"今、大きな不安や迷いの中にいる人も乗り越えられる、夜明けは来るというメッセージを込めた"(SUGA)という言葉を添えて、ブライトな歌とアンサンブルで聴かせた「Daybreak」では、ラストにJOJIが段ボールとあずき(?)で波の効果音を実演。"今の波が一番緊張した"と言い、せっかくだからと再び会場に波音を響かせた。
JOJIはMCで、ツアー中に毎回打ち上げをしながら、バンドそれぞれが抱えていることをぶちまけられたと語る。それを持ち帰ってきての今がある、仕上がってますよと、盟友たちとの熱い時間を経てさらにバンドが強力になっていることを告げた。続く曲は、今日という日にもぴったりの最新曲「To All My Friends」。そしてここからは、最後の仕上げとばかりにキラーチューン連投で観客の汗を搾り取っていった。

"待たせたな"と登場し、"これで最後やぞ、東京"という木下正行(Ba/Vo)の言葉で「START」へ突入し、観客を一気に興奮の真っ只中へ連れて行ったのはlocofrank。さらに、「Mountain range」から『THE LAST ANTHEMS』で1曲目を飾る「if」へという、バンドのグルーヴや重厚感のあるアンサンブルが冴えるこの2曲から、さらに森 勇介(Gt/Cho)のパワフルなギター・リフと横川慎太郎(Dr)のキレのいいドラムでぐっと熱が高まる「Hate to lose」で、会場は灼熱と化していった。木下は、初日に(今日の出順の)くじ引きをして3番目を引いて、メンバーに謝ったそうだが、"3バンドとも、一本一本のライヴを命燃やしてやってきて。むちゃくちゃ楽しかった"とツアーを振り返る。

キャリア20年以上のバンドたちが、3バンド1パッケージでツアーをする機会はそうないだろう。まだコロナ禍のときにHATANOから今回の話が出て、木下いわく、"40過ぎの俺たちでキャピキャピしながら始まった"という。その高揚感は、ライヴごとに確実に高まっていったのだろう。ステージ上の3人は、トリを飾るに相応しいタフさ、スケール感や包容力で観客を掴んでいる。強力なライヴ・チューンへと昇華された「Ephemeral Magic」、ドラマチックな「voyage」から気持ち良く加速していく「Grab Again」へと、迫力あるサウンドに、観客が全身でぶつかっていく。その互いの熱さが凄まじい。「See You」や「reason」と最近のものから定番曲までアンセミックな曲が続き、ラストに据えたのは『THE LAST ANTHEMS』収録の「Reborn」。"大丈夫、仲間がいる、ひとりじゃないんだ"というメッセージがこもったこの曲は、新しいlocofrankのアンセムでありながら、『THE LAST ANTHEMS』での9人を体現する曲にも感じられた。観客の大合唱もひと際晴れやかでエモーショナルだ。"これにて『THE LAST ANTHEMS』、終幕。またライヴハウスで会おうぜ"(木下)。その言葉と共に、11年ぶりの、3バンドによる充実したツアーは締めくくられた。

[Setlist]
■HAWAIIAN6
1. In The Deep Forest
2. No Age
3. Super Sonic
4. MAGIC
5. THE LIGHTNING
6. Haze
7. Ballad Of The Setting Sun
8. TINY SOUL
9. PROMISE
10. ETERNAL WISH,TWINKLE STAR
11. The Ocean
12. Burn
13. I BELIEVE

■dustbox
1. Riot
2. Try My Luck
3. Contrast
4. Not Over
5. Emotions
6. Resistance
7. Curse
8. Still Believing
9. Daybreak
10. To All My Friends
11. Here Comes A Miracle
12. Hurdle Race
13. Jupiter

■locofrank
1. START
2. Mountain range
3. if
4. Hate to lose
5. Ephemeral Magic
6. share
7. voyage
8. Grab Again
9. across time
10. Returning
11. See You
12. reason
13. Reborn

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