LIVE REPORT
"D×D×J 2023 -TOKYO-" DEVILOOF / DEXCORE / JILUKA
2023.11.18 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer : 杉江 由紀 Photographer:Litchi
御三家が揃い踏み。DEVILOOF、DEXCORE、JILUKAという、V系メタルのシーンで活躍する同世代3バンドが集うイベント・ツアー"D×D×J"の千秋楽が、このたびは"D×D×J 2023 -TOKYO-"と題され、渋谷CLUB QUATTROにて盛況を博すことになった。
超満員となった会場の様子は、この3バンドに対する期待をそのまま物語っていたものと思われ、まずは一番手のDEXCOREが「18」で狼煙を上げた途端、瞬く間に客席フロアは放たれる爆音とシンクロしながら、そこに集った誰もが性別年齢国籍なども一切関係なく大いに盛り上がりだすこととなったのである。
なお、この日のDEXCOREは9月にYouTubeチャンネル"架神 from DEXCORE OFFICIAL CHANNEL"で公開されてバズった、2023年最大のヒット曲と言っていいYOASOBI「アイドル」のメタルコア化カバーを初めて生披露し、新たな可能性を供してくれたところも興味深かった。来年3月30日には、自らオーガナイズする"DEX FEST. -2024-"を名古屋 ダイアモンドホールにて開催することも決定したなか、DEXCOREのさらなる躍進に期待が持てるライヴ・アクトを彼らはここで呈してくれたのだ。
一方、2023年4月に堂々のメジャー・デビューを果たしたDEVILOOFがこの場で何を見せつけてくれたのかというと、それは逆境をものともしないド根性だったように思う。というのも、この日は愛朔(Gt)が体調不良のため欠席と相成り、彼らは本番10分前になってようやくセットリストが決定したという、なかなかに切羽詰まった状態であったようなのだ。
しかし、そんな窮地にあってもDEVILOOFは決して揺らぐことのない演奏ぶりで観衆たちを湧かせていくことになり、フロントマン 桂佑(Vo)も相変わらずのトリッキーさを湛えた歌いっぷりで攻めの姿勢を感じさせてくれた次第だ。急遽、助っ人として駆けつけてくれた竜弥(2016年まで在籍していたギタリスト)が終演後に公式Xへ投稿していた"自分がいた頃より格段にかっこよくなっててたまげた!!!!!!!!"というコメントが、ある意味ですべてを物語っていたかもしれない。
激しく、重く、美しく。V系メタルの真髄がそこにあるとするならば、今回トリを飾ってくれたJILUKAは、シーンの担い手として様々な経験をしながら確実に腕を磨き続けてきたバンドだと言えるはず。見た目の華やかさとは逆に、ライヴ・バンドとしてはむしろストイックなところがあるくらいだ。来年6月にポルトガルのリスボンで開催される"EVIL LIVE FESTIVAL 2024"への出演も決まっている彼らは、ここに来てさらなる進化を遂げているようにも見え、冒頭の「SUZAKU」から聴衆たちはJILUKAの生み出す音と視覚的表現の両方に、強く惹きつけられていくことになったのではなかろうか。
また、この夜は「VENΦM」でデス・ヴォイス・トレーナーとして名を馳せるMAHONEがゲスト参加するひと幕や、ラストの「BLVCK」では盟友の桂佑(DEVILOOF)と架神 -kagami-(DEXCORE/Vo)との共闘も。なお、このヴォーカル・セッションは本ツアーすべての会場で行われてきたようで、3バンドのコラボCDより名古屋ではトリのDEXCOREのコラボ曲、大阪ではトリのDEVILOOFのコラボ曲を披露するという"D×D×J"ならではの贅沢なひとときを味わわせてくれたのだった。
来年1月にはDEVILOOF主催の"DEVIFEST"、3月にはDEXCORE主催の"DEX FEST. -2024-"での御三家の共演も決まっており、さらにJILUKA主催の"MAD PIT FES"での激突も大いに楽しみである。ここでは最後に架神 -kagami-の残したこの言葉も付記しておきたい。
"今回のツアーでは全箇所で言ってますが、V系メタルはうちら3バンドがいるんで大丈夫です。安心してついて来てください! 振り向かずに俺たちは行きます!!"
三つ巴の邁進がここからさらに激化していくのは、間違いなさそうだ。
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