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INTERVIEW

DEXCORE

2020.10.05UPDATE

DEXCORE

Member:架神-kagami-(Vo) 梦斗-yumeto-(Gt) 澄-to-ru-(Ba) 伶司-reizi-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

DEXCOREという名は造語であり、ここには右の心臓という意味が込められているのだという。つまり、DEXCOREは自らの生み出す音楽が、聴き手にとっての"もうひとつの心臓"と言えるほど大事なものになってほしいとの真摯な想いで、常に音楽と向き合っているわけだ。そんな彼らが今1stフル・アルバムとして世に送り出したのは、"[METEMPSYCHOSIS.]"と冠された大作となる。Ryo(Crystal Lake)がフィーチャリング参加した、激ロック読者にこそ聴いてほしい楽曲「Cibus」を含む今作で、DEXCOREが呈示してみせているもの。それは彼らの内包する音楽への貪欲な熱情と愛情、そして、そこから生まれる可能性たちにほかならない。


"ここからDEXCOREのことを知ってくれる人たちに向けてのものでもあるんです"


-このたび、DEXCOREは1stフル・アルバム『[METEMPSYCHOSIS.]』を発表することになりました。ただ、みなさんが以前激ロックに登場してくださったのは2018年11月のことでしたので、そこから現在に至るまでにはメンバー編成も変わっております。まずはここで、この2年の間の出来事を少しおさらいしていただいてもよろしいですか?

架神:大きな変化としては昨年の5月にギターの梦斗が加入して、今年に入ってからは7月にドラムの伶司が加入したっていう出来事がありましたね。

-梦斗さんがDEXCOREに加入された経緯とは、どのようなものだったのですか?

梦斗:もっと自分の表現がたくさんできる場所を探したいなと思っていたとき、DEXCOREがギタリストを募集しているというのを知って、"ここしかない!"となりまして。それが昨年2月くらいで、応募してからすぐに連絡があって、話してスタジオに入ったりしたんですが、すぐ意気投合して加入することになって5月末には初ライヴだったので、慌ただしかったですが、流れとしてはすごくスムーズだったんですよ。

-梦斗さんを迎え入れたメンバー側からすると、彼の加入によって、バンド・サウンドの変化という面ではどのような効果を期待されたのかも教えてください。

架神:すべてです。理屈とか以前に、直感で"こいつだ"と感じたところがありましたから。応募してくれたときに貰った演奏動画を観たときから、すでに光ってるものがあったんです。

澄:梦斗とだったら、DEXCOREをもっといいバンドにしていけるだろうなという予感は、僕も漠然とですけど感じてましたね。

-では、梦斗さんがDEXCOREの一員となった際に改めて何か感じたことがあれば、それについてもぜひお聞かせいただけますか?

梦斗:バンドにとってギタリストが変わる、メンバーが変わるっていうことは、音も見栄えもいろんなことが変わることを意味するわけじゃないですか。だから、使命感はすごくありました。自分が入ることによって、DEXCOREを進化させたいっていう気持ちが最初から強かったんです。ギターに関しては、架神から"好きなように弾いてくれ"という言葉を貰っていたので僕としては嬉しかったんですけど、と同時に、とにかく"新生DEXCOREとして誰もに早く認められるようにならなければ"という気持ちでいっぱいでしたね。

-なるほど。その後、伶司さんが加入されてDEXCOREは現体制となりましたが、なんでも、その加入劇にもドラマがあったそうですね。

架神:というか、ドラマーに関しては、そもそも募集はしてなかったんです(苦笑)。

伶司:募集はしてなかったですけど、前任のドラマーが脱けたのは知ってましたし、ちょうど自分自身もバンドを探してて、V系メタルコアだったら自分の力を最も生かせるなという自信もあったので、自分から「Brain Washing」(2018年リリースのシングル表題曲)の演奏動画を送ったんです。そしたらすぐにみんなで、スタジオで合わせることになって、その場で加入することになりました。

-つまり、伶司さんは押しかけ女房ならぬ、押しかけドラマーであったと(笑)。

伶司:たしかにそんな感じでしたね(笑)。

架神:でも、最初に「Brain Washing」の演奏動画を梦斗と観たときは、正直なことを言うとちょっと感動しちゃってね(笑)。

澄:僕も動画を観てすぐ、"この人材は逃しちゃいけないな"って感じました。そして、実際にスタジオに入ってみたときにはその予感が確信に変わったんです。

梦斗:そうそう。"あぁ、この人だ!"ってすぐ思いました。運命を感じたっていうことだったんじゃないかな。

-かくして、DEXCOREはそこからこの短期間で、1stフル・アルバムとなる『[METEMPSYCHOSIS.]』を完成させたことになるわけですが、なんと今作は全4タイプでの発売となり、書き下ろしの新曲たち計17曲で構成されているDisc 1("-EXTRA-"、"-RED-"、"-BLUE-"収録)、既存曲のリテイクを16曲収めたDisc 2("-EXTRA-"、"-RED-"収録)、さらに別の既存曲リテイクが2曲収録されているDisc 3("-WHITE-"収録)が同時に発表されるのだとか。このようなスタイルをとったのは、やはり1stフル・アルバムを出すタイミングで、既存曲も、現体制のDEXCOREの音として再提示しておきたかったということになるのでしょうか。

架神:いや、そこまで難しく考えてたわけではないです。とにかく、せっかくの1stフル・アルバムですからね。どうせ出すならとんでもないものを出してやろうと思って、アルバムは"昔の曲も録り直したい"って僕から切り出したんですよ。昔の自分の声があんまり好きじゃないから、単純に録り直したいっていうのもありましたけど、何より最初だからこそ、聴き手を圧倒したかったんです。

-とはいえ、新曲たちも含めてこれだけの曲数をレコーディングするのは、バンド側にとっても圧倒的な作業量だったのではありません?

架神:それは実際そうでしたね(笑)。ただ、やっぱり勝負をかけるなら今だという感覚はあったので、別に作業量の多さは苦ではなかったです。要するに、今回のアルバムは、以前からDEXCOREのことを知ってくれている人たちに向けての作品でもありますけど、ここからDEXCOREのことを知ってくれる人たちに向けてのものでもあるので。結局、様々な需要に応じた4タイプを用意したのも、いろんな人たちに楽しんでもらえるようにというのを考えたうえでのことなんです。

梦斗:それと、これは結果論ではあるんですけど。今年はコロナの影響でライヴ活動が思うようにできなくなっていた面はあるものの、そのぶんDEXCOREとしてはこのアルバムに向けての作業に集中できていたのも事実なので。ライヴができなかったのは残念だった一方、その悔しさややりきれなさを制作作業で発散させていきながら、アルバムのクオリティをより高めるっていうことができたんじゃないかと思います。

-ネガティヴな出来事をもうまく変換し、DEXCOREはこの1stフル・アルバム『[METEMPSYCHOSIS.]』を完成させたわけですね。

梦斗:それこそ、新曲盤のDisc 1に入ってる「Cibus」なんかは6月に入って架神が作ってきた曲なので、本当に最新曲ですし。このアルバムには最新のDEXCOREが詰まってます。

-なお、その「Cibus」は、Crystal LakeのRyo(Vo)さんがフィーチャリング参加されておりますので、当然激ロック読者層へは相当に訴求力の高い1曲でもあると思うのですが。そもそもDEXCOREは、2018年に渋谷GARRET udagawaにて開催された"THE ROAD TO TRUE NORTH 2018"に出演したことがあり、そのときの縁が今回Ryoさんのレコーディング参加へと繋がったのだそうですね。

架神:あれはまだ梦斗が入る前のことではあったんですが、昔からCrystal Lakeはリスペクトしているバンドですし、あの"THE ROAD TO TRUE NORTH 2018"は野望を持って臨んだものでもあったので、そこで認められて出演することができたっていう事実は、自分にとってすごく大きかったんですよ。どうしてもヴィジュアル系っていうだけで、他ジャンルのイベントに出ると"ナメられてるな"と感じることが結構ありますからね。そういうのを払拭したくて応募したし、乗り込んだつもりだったんです。ただ、実際あの場のステージに立ったら足はガクガクでしたね(苦笑)。

澄:気負いすぎたせいか、僕もすごく緊張しちゃいましたね(笑)。いやー、あれはほんとすごくいい経験になりました。

架神:そのときのライヴがきっかけで気に入ってもらえて、以降はCrystal Lakeのライヴにちょくちょく遊びに行かせてもらうようになったんですよ。さらに、今回はアルバムの制作をしていくなかで超自信のある曲ができて、"これはRyoさんに一緒に歌ってもらいたい"と思ったので、すぐ連絡させていただきました。もう、何しろ今回は絶対ヤバいアルバムにするって決めてましたからね。とことんヤバいのにするなら、僕が一番リスペクトしているヴォーカリストであるRyoさんに、DEXCORE初のフィーチャリングをお願いするしかないと思って。

-その願いが見事に叶ったというのが素敵ですね。

架神:はい、すごく光栄ですし、幸せです。

-よろしければ、レコーディングの際のエピソードもご披露いただけますか?

架神:"Ryoさんに歌ってもらうパートはここ"っていうのは、曲作りをしていた段階から自分の頭の中に浮かんでいたんですよ。具体的にはブレイクダウンの部分なので、この「Cibus」ではそこをお任せしました。ただのフィーチャリングっていうだけじゃなく、Ryoさんの良さを、100パーセントこの曲の中で打ち出したいという気持ちが強かったんですよね。ちょっと偉そうな言い方にはなっちゃいましたけど、あくまでリスペクトの念を前提にしたうえで、「Cibus」では"Crystal Lake Ryo"のヤバいところを、聴き手に余すところなく伝えたくて。

-では架神さんご自身は、「Cibus」でのヴォーカリゼーションについては、どのようなスタンスで具現化していくことになられたのでしょうか?

架神:自分としては聴いてくれるみんなをびっくりさせたいっていう一心でしたね。

梦斗:Ryoさんがヴィジュアル系のバンドとフィーチャリングするっていうこと自体が、あまりないじゃないですか。これはひとつの快挙だと思いますし、僕らの出している音そのものも"ほんとにヴィジュアル系なの?"とか、"ヴィジュアル系にこういう人たちもいるんだ"っていうものになっているので。今回の『[METEMPSYCHOSIS.]』を聴いてもらって、ヴィジュアル系のシーンへのイメージを覆すことができたらいいなと僕らとしては考えてますね。

-ならば、あえてこの質問もさせてください。これだけ研ぎ澄ました音たちを作り上げているとなると、中には"この音を出すならメイクする必要はないんじゃないか?"という意見を出してくる人も、おそらくいると思うのですよ。DEXCOREが、そうした人々に向けて返す言葉はどんなものになりますか?

梦斗:あー、それたまにあるパターンです。

架神:俺たちとしては "放っといてくれ" ですね(笑)。

澄&伶司:(笑)

梦斗:ジャンルとしてどうこうとか、そういうことはどうでもいいんですよ。僕らとしては好きな音を好きな格好で好きに表現してるっていうだけなんです。