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LIVE REPORT

DEXCORE

2021.07.03 @高田馬場AREA

Writer 杉江 由紀 Photo by 荒川れいこ(zoisite)

可能性しか感じられない、躍動と躍進の一夜だった。
DEXCOREにとって、会 -kai-(Ba)が今春に加入してから初であった今回の東京でのワンマンは、あらゆる意味でこれからの未来に向けた大きな節目になったと言えるだろう。

昨年9月に1stにして貫録満載なフル・アルバム『[METEMPSYCHOSIS.]』をリリースし、その中(※-WHITE-を除く)に「Cibus (feat. Ryo Kinoshita from Crystal Lake)」が収録されていたことでも話題となった彼らは、現在まさに急成長中の最注目株バンド。

その証拠に、今回のライヴ会場となった高田馬場AREAはこのコロナ禍にもかかわらず、なかなかの盛況ぶりで、そればかりか昨年12月にSHIBUYA CYCLONEにてワンマンが行われたときよりも、さらに男性オーディエンスの比率が増えていた印象が強かった。いわゆるバンギャル層のみならず、メタルコア好きな層にもウケているというのは、もちろん彼らの音がそれだけ研ぎ澄まされたものであるからにほかならない。

ただ、今宵のライヴに限って言えば、どうやら不測の事態が発生してしまった場面がいくつかあったようで、本編前半戦1曲目の「NEW ERA」の導入部でトラブルが起きたほか、2曲目の「HEY!! Cockroaches.」では、勢い余った梦斗 -yumeto-(Gt)が伶司 -reizi-のドラム・セットに衝突して、シンバル類などが倒れる、という波乱の一幕も勃発。いきなりワンマンのオープニングでこのような難局を迎えてしまうと、演者側はそこからメンタルの面で持ち直すのがとても難しいはずだが......さすがは尾張名古屋の生んだ剛毅なる傑物バンド DEXCOREだけあって、5曲目として演奏された5月発表のデジタル・シングル曲「Red eye」以降は、主に架神 -kagami-が、表現力の高いヴォーカリゼイションとフロントマンとしての才覚をもって、場を牽引していくかたちにより、彼らは本来のポテンシャルを発揮していくことになっていったのだった。

そして、8曲目の「BREATH」では、会が涙腺崩壊するほど感情移入しながら演奏したというバラードで、DEXCOREの激しいだけではない繊細な一面もじっくりと披露してみせたうえ、次なる「magnet」では再び美旋律と殺伐とした空気感が不思議と同居する世界を展開し、彼らは今回のワンマンでライヴ・バンドとしての懐の深さをも呈示してくれたと言っていい。

また、先だって発表されたばかりのデジタル・シングル曲「Self-Hatred」については、楽曲の高い完成度とサウンドの持つ迫力やスケール感があいまって、今回のライヴを観ながら"いつかこの曲をホール・クラスやアリーナ・クラスの会場でも聴いてみたい!"という思いに駆られてしまったのだが、このままDEXCOREが成長を重ねていくことができればそれも決して夢ではないのでは?

ちなみに、本編ラストの「Naked」では、架神の盟友である澪(NAZARE/Vo)がサプライズ・ゲストとして登場。それに触発されたのか、これに続いてのアンコールで勢いはさらに加速。結果的に大ラスの「Brain Washing」が終わる頃には場内に居合わせた誰もがDEXCOREの本領、というものを相当に感じられていたことと確信する。
この躍動と躍進の一夜を経て、DEXCOREが向かっていく未来。そこにはきっと、可能性しか存在しないはずだ。

[Setlist]
1. NEW ERA
2. HEY!! Cockroaches.
3. Imitation
4. Cibus
5. Red eye
6. 「t.c.b.t.s」
7. Demise
8. BREATH
9. magnet
10. Self-Hatred
11. the Ground
12. Scribble
13. Naked feat. 澪 (NAZARE)
En1. DRAGOUT.
En2. Hunger
En3. Coward
En4. The Sky is Crying
En5. DON'T BE AFRAID
En6. Brain Washing

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