INTERVIEW
JILUKA
2018.09.11UPDATE
2018年09月号掲載
Member:Ricko(Vo) Sena(Gt) Boogie(Ba) Zyean(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
いかようにも変化(へんげ)し、JILUKAは自らの好物をあれもこれもと摂取しながら、すべてを血肉としてきたのではなかろうか。彼らにとって初のフル・アルバムとなる『Metamorphose』は、実に多彩な音楽要素を孕むロック・アルバムへと仕上がった。JILUKAはただのヴィジュアル系バンドでもなければ、ただのヘヴィ・ロック・バンドでもなく、ただのメタル・バンドなわけでもない。音楽表現をしていくことにおいて、徹底した美学と卓越した方法論、それに加えての高度なスキルを身につけることを着実に実現していく集団なのである。ジェントコアからR&Bまでを好き放題に食らい尽くす、JILUKAの貪欲さは今ここから本領を発揮していく!
-JILUKAにとって初のフル・アルバムとなる『Metamorphose』が完成したわけですが、今作を制作していくにあたり、バンド内ではそもそもどのようなヴィジョンを持っていらしたのでしょうか?
Sena:日頃から話し合いはわりとよくしているバンドなので、特に初のフル・アルバムだからといって、構えたかたちで臨んだというところはなかったんですよね。ただ、日々ライヴをやっていくなかで"もっとこんな曲が欲しい"とか、次のJILUKAに向けたインスピレーションはいろいろと湧いていたので、それに沿いながら普通に曲作りをしていくということをまずはやっていきました。あくまでも、いつもどおりの自然体なかたちでやっていきたかったんですよ。
-しかしながら、今作のアルバム・タイトルは"Metamorphose"となっておりますよね。これは"変化"や"変身"を意味する言葉でもありますので、その"いつもどおりの自然体なかたち"という言葉とはかなり矛盾が出てくることになりませんか?
Sena:そこについては、ここまでのライヴを通して自分たちが感じてきた変化という意味での言葉が"Metamorphose"なんですよ。そして、その変化は自分たちにとっては変わろうと思って変わったのではなくて、バンドとしての自然な変化なので"変化ありき"でこの作品を作っていたわけではない、ということですね。
-そういうことでしたか。だとすると、その"ライヴを通して感じてきた変化"とは具体的にどのようなことになるのでしょう? ぜひ、各パートの見地から教えてください。まずはZyeanさんお願いします。
Zyean:大きな変化としては、このバンドを始めたころよりも、ライヴに来てくれてるお客さんたちとの一体感がどんどん増しているなということを感じてますね。僕らにとってそれはとても大きいものですし、重視しているところでもあるんですよ。そこを高めていきたいなという思いは、結果としてこの『Metamorphose』の中にも結構出たなと思います。
-リズム・アレンジをしていくうえでも、その件は何かしら影響しましたか?
Zyean:いや、そこはあまりなかったです。ライヴに関しては、そのときの状況などによってまた別に考えているので、音源は音源として自分がやりたいことを素直にやりました。
-では、Boogieさんとしてはいかがですか?
Boogie:やっぱり、このところ僕たちの存在を知ってくれることになった人の数や、実際にライヴに足を運んでくれる人たちの数が増えてきていることで、楽曲の中でのコール&レスポンスの部分とかが、より生きてくるようになったところはあると思うんですよ。そういう意味で、ライヴでやるときに盛り上がりそうだなという気持ちを持ちながら曲を作ったり、お客さんたちみんながもっと楽しみながら熱くなれるようなアレンジを意識したりすることは、今回のアルバムで増えてきたところがありますね。
-ヴォーカリストの観点からすると、Rickoさんとしては『Metamorphose』を作っていくにあたりどんなことを意識されていたのでしょうね?
Ricko:まずは、楽しく歌うということを意識していました。このところやっているライヴ自体が、いつも楽しいわけですからね。できればレコーディングもそこに少し近づけたかったんですよ。だから、前までレコーディングではこの音域まで声を出すにはどうしたらいいかとか、この曲ではこういう声を出そう、みたいなことを細かく考えながら歌うことが多かったんですけど、最近はSenaが曲にメロディをつけた段階で"ここはこうやったらもっと歌いやすいんじゃないかな"とか、自分なりに解釈し直してから歌うことが増えてきたので、より気持ちよくライヴに近い感覚でレコーディングすることができるようになりました。ほんと、作っていて楽しかったです。
-メイン・コンポーザーであるSenaさんとしては、ライヴを経て変化してきたJILUKAのどんなところをレコーディングで生かせたと感じていらっしゃいますか?
Sena:日々のライヴに限らず、練習やリハーサルでも常に僕らは"もっとフロアと一体化するにはどうしたらいいのか"ということを追求しているんですよ。バンド側からただ一方通行的に発信するだけではなくて、相手側からバンドへ向けたベクトルというのも欲しているところが強いので、今回のアルバムでもプレイヤー側である僕らとオーディエンスとのぶつかり合い、みたいなことをイメージしながら作っていったところがありましたね。よりその現象が起きやすくなるような要素を、それぞれの曲や音に詰め込んでいくことになったと言えます。
-なるほど。ちなみに、今作『Metamorphose』におけるリード・チューンというのはどちらの曲になりますか?
Sena:バンドとしては特に設けてはいないんですよ。何しろ、僕らはどれもリード・チューンにできるくらいの自信を持って作っていますから。でも、今回は「Mephisto」のMVを撮っているので、まずはそれがみなさんの目に触れる機会が多いかもしれません。