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INTERVIEW

JILUKA

2021.09.14UPDATE

JILUKA

メンバー:Ricko(Vo) Sena(Gt) Boogie(Ba) Zyean(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

ひとつの軸で繋がった長い物語ではあるものの、昨年10月に発表されたミニ・アルバム『Xtopia』と、今このタイミングで発表される"Divided Album"『IDOLA』は、きっとJILUKAにとっての新たなる未来を描いたものでもあるのだろう。メイン・コンポーザーであるSenaがこのたび語ってくれた、"『Xtopia』と『IDOLA』はお互いがパラレル・ワールドでもあって、言うなれば『IDOLA』は『Xtopia』のときに選択されなかったもうひとつの世界でもある"という言葉の意味。それは、ここから12月5日まで続いていくという全国ツアー"THE SYNERGY"の中においても、非常に重要なファクターとなっていくに違いない。


ライヴで出しているような音をレコーディングでも意識した


-昨年10月に発表された『Xtopia』以来となる、新しい音源『IDOLA』を"Divided Album"としてここに完成させたJILUKAですが、今思うと前作(『Xtopia』)についてのインタビューでは"ここからがJILUKAにとって第3期の始まりである"といった旨の発言がSenaさんからあったと記憶しております。だとすると、その次作にあたる『IDOLA』を、バンドとしてはいかなる意識を持ったうえで制作していったことになるのかを、まずは教えてください。

Sena:実を言うと、僕の中で今回の『IDOLA』は前作『Xtopia』とあわせて、"ひとつの作品"になっているんですよ。もともとひとつだったものを分けて出したので、それで今回はあえてミニ・アルバムではなく"Divided Album"と自称しているんです。

-ただ、期間としては前作から1年弱の時間が経っておりますのでね。単純に分割した後編がここに出てきたという以上に、今回の『IDOLA』では、よりバンドとして進化した音を具現化できたのも事実ではないかと思います。サウンドの面において、JILUKAが今回より強化したいと考えていたのはどのような面だったのでしょう。

Sena:ちょっと抽象的な表現にはなってしまうんですが、サウンド面では音の立体感や奥行きみたいなところをもっと表現したいなと思ってました。

-ドラマーのZyeanさんが、今作『IDOLA』の中で、バンド・サウンドに明確な立体感や奥行きを醸し出していくにあたり、必要としたアプローチはどんなことでしたか。

Zyean:今回のレコーディングではサウンドメイク面でいろいろこだわりました。ライヴで出しているような生の音に近い感じをイメージしながら、臨場感を前面に押し出していくようにしたんですよ。だから、いい意味で加工しすぎないというのが大事でしたね。なるべくリアルタイムな演奏に近い音をパッケージするように、そこはかなり意識しながら録りました。ジャストなテンポの厳密さはもちろんですが、それよりもさらに生のグルーヴを捉えていくようにしたところもあります。

Sena:音を作り込みすぎず、録れた音をそのまま鮮度の高い状態で音源にするっていうことを、今回はとても大事にしたんですよ。

Zyean:曲をあらかじめよく聴き込んで、今回はいつも以上になるべく少ないテイク数で録るようにもしました。

-さすがJILUKAです。結局、そのような録り方は個々のプレイヤーの演奏スキルや信頼性が高いからこそ、実現できたことでもあるのでしょうね。では、ベーシストであるBoogieさんの場合この『IDOLA』を制作していく際、立体感や奥行きのある音を具現化すべく留意されたのはどのようなことだったのですか。

Boogie:やっぱり、今ってレコーディング技術は上がっていて、ソフトとかの性能もすごく良くなっているので、ベースをラインで録ってから、その音をPC上でアンプから出しているかのようにシミュレーターで再現する、みたいなことも簡単にできるんですけどね。でも、やっぱりそうやって作った音っていうのは、生のアンプをちゃんと通した音をマイキングして録った音には勝てない、と僕は思っているんですよ。それと同時に、奥行きやライヴに近い音の拡がりや臨場感を出すという面でも、今回は録り方にこだわりまして、その点でもアンプからの音の出し方はSenaと一緒にいろいろ試行錯誤しました。具体的には、ベースを2本に分けて録っていくことにしたんです。

-2本それぞれのベースについては、どのような色分けをされたのですか?

Boogie:マイクを2本立てて、1本はベースとしての芯の部分の音を録って、もう1本は空間的な音というか低音の揺れなど、ライヴのフロアで聴けるような圧をできるだけ再現できるようにしていったんですよ。まぁ、実際の作業的にはなかなか手間もかかって大変っちゃ大変だったんですが、やるだけの価値はものすごくありました。むしろ、1回このやり方を経験しちゃうともうこれはちょっと抜け出せないかなと(笑)。個人的には、他の人にもマジでオススメしたいです。

-昨今はDTMでいくらでも音楽が作れてしまうだけに、生のバンドが発する生音ならではのリアリティを追求されているこの姿勢には、どこか貴重さを感じてしまいますよ。

Boogie:もちろん、今はDTMで作られている音楽もたくさんあって、それがたくさん流行っているし、それはそれで素晴らしいものも多いと感じるんですけど、僕らのバンドの良さとしてはライヴ・バンドとしての面も大きいので、今回はそこを音源でもできる限り聴いている人たちに伝えたかったんです。さっきZyeanも言っていたみたいに、今後はまさにバンドとしての生々しい音の揺れの部分が、作品制作における重要なポイントになってくるんだろうな、ということを今回のレコーディングでは確信できました。

-そもそも、今回のレコーディングを始めるにあたって、"立体感や奥行き"という言葉を最初に呈示したのはSenaさんだったそうですが、ご本人のギター録りでは、今回どのような手法をとられていくことになったのかも教えていただけますか。

Sena:ライヴで出しているような音をレコーディングでも意識すること、というのがまずは大きかったです。アンプを鳴らす、スピーカーから空気を揺らす、というようなイメージを持ちながらレコーディングしていくようにしました。

-一方、フレーズ構築の部分ではどのようなことに留意されましたか? それぞれの楽曲によりテイストは違いますが、今作でも全編にわたってSenaさんならではの緻密且つ流麗なギター・フレーズが満載となっている印象です。

Sena:自分の場合はプログラミング関係もすべてやっているので、ギターのフレーズに関してはそことのかねあいも考えながら決めていった感じですね。全体的なバランスを考えながら押し引きも考えて、意図的に少しギターの音を減らすアプローチを取っているところもあるんです。ギタリスト個人としての視点と、コンポーザーとして全体を見渡す視点のふたつを同時に使い分けていく機会が、このところはより増えてきました。


今作『IDOLA』では前作『Xtopia』以上に攻撃的な描写が増えた


-そして、これだけバンド・サウンドの完成度がより高まってくると、その中で歌っていくヴォーカリストもまた、進化していくことが要求されたのではないかと思うのですが、今作『IDOLA』のレコーディングにおいて、Rickoさんが歌っていく際に重視されていたのはどのようなことでしょう。

Ricko:さっき、Boogieが今はDTM全盛の時代みたいなことを言ってましたし、歌もいろいろ綺麗に録ったりできるのは事実だと思うんですが、やっぱりヴォーカリストとしてはそのときの感情とか、気持ちを率直に歌で表現したかったです。それはパソコン上の操作では作り出せないものだと思いますし、立体感を出すという意味では歌を何本か重ねているところもあるとはいえ、基本的な部分ではもう気持ち一発! 感情一発! で僕は歌っております(笑)。

-もちろん並々ならぬ気迫も歌から感じられますが、今作でのRickoさんは発声方法のバリエーションもさらに増えていらっしゃいませんか。各曲を聴いていて、さらに表情豊かなヴォーカリゼイションが具現化されているな、と感じるのですよね。

Ricko:あぁ、そうですね。楽器隊の出している音に負けないような歌や、みんなの音により合うような歌を追求していくと、声の出し方も必然的に増えていくことになるというか。自分としては喉もひとつの楽器だと思っているので、新しい曲が増えていくごとに歌や発声のバリエーションも増えていくのは、自然なことなんですよ。

-なるほど。また、今作『IDOLA』では前作『Xtopia』と比較して、英語詞で歌われている場面が増えているように感じるのですが、両者が"もともとひとつだったものを分けて出した"作品であるのだとすると、そこに詞の面での違いが生まれたのはなぜだったのかもぜひ知りたいです。

Sena:大きな理由としては、今作『IDOLA』では前作『Xtopia』以上に攻撃的な描写が増えたからですね。劇的なディストピアを描いている曲が多いので、その内容に合ったRickoのシャウト/ヴォーカルを存分に聴きたいなと思い、それには英語詞のほうが適しているだろうという判断をしたんです。

-今思うと初期のJILUKAも英語詞の曲がずいぶんと多かったですけれど、ここに来て改めて英語詞の楽曲たちの比率が増えたとき、Rickoさんが歌う側として大切にされたのはどのようなことでしたか。

Ricko:シャウトの声質、それも太さは特に重要でしたね。さらなる太さや奥行きを出すために重ねて録ったところもあるんですけど、まずは1本の歌だけでも成り立つものであることが大前提でしたし、1本の歌に命を吹き込むべく心と身体の奥底から湧き上がるようなシャウトを、強い信念を持って出していくようにしました。

-魂の咆哮のごときシャウトが体現されているわけですね。

Ricko:レコーディングのときに、ブースで歌ってる俺の背景には、たぶんめちゃめちゃ大きな炎が熱く燃え盛ってたと思いますよ。

-今作中には"Ablaze"=炎上という曲も収録されているくらいで、歌そのものが大炎上の勢いがあったということなのかもしれません。

Ricko:いやまさに(笑)!

Sena:そっか、Ablazeしてたんだね(笑)。

-なお、「Ablaze」については、Divided Album『IDOLA』では通常盤には「Ablaze」、そして初回盤に「Ablaze (extended ver.)」が収録されておりますよね。このたび、両者が生まれることになった経緯についても教えていただきたいです。

Sena:トゥルー・エンドとバッド・エンドの違いみたいなもので、これは両方ともが真の姿なんですよね。実質的には、「Ablaze」をタイトル通りにエクステンドしたものが「Ablaze (extended ver.)」で、もとの世界を望む最終局面での感情の高ぶりを、別演出によるアプローチで表現しています。そして、この曲は詞の面で自分の心を燃やしながら生きることで光を輝かせて闇を照らすんだ、みたいな今の時代だからこそのメッセージ性を込めたものにもなっていますね。