INTERVIEW
JILUKA
2021.09.14UPDATE
Member:Ricko(Vo) Sena(Gt) Boogie(Ba) Zyean(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
-承知いたしました。せっかくですので、ここからは各曲についてさらにふれていっていただこうかと思うのですが、今作には「PRG : KRM」というオープニングSEと途中に「PRG : ODL」 というインタールードが収録されておりますよね。サイズとしてはミニ・アルバムではありますが、今回のDivided Album『IDOLA』をこのような構成にされた理由についても、少し解説をいただけますと嬉しいです。
Sena:前作『Xtopia』との関連性を示唆する意味で、この『IDOLA』はそこに重なるものであるということを表すうえでも、骨組みは一緒の構成にしたかったんです。つまり、『Xtopia』と『IDOLA』はお互いがパラレル・ワールドでもあって、言うなれば『IDOLA』は『Xtopia』のときに選択されなかったもうひとつの世界でもあるんですよ。
-そうしたなか、『IDOLA』では実質的な1曲目でありMVも制作されている「KUMARI」が、ひと際の強い存在感を放っている曲になっておりますが、こちらは今作中におけるリード・チューンとして捉えてもよろしいのでしょうか?
Sena:これは現状や外に向けての強力な突破力を持ったものとして作りたかった曲なので、その意味ではリード曲として捉えていただいても過言ではないのかなと思います。ただ、自分たちの感覚からすればすべてがリード・チューン同然であるのも事実ですね。
-ちなみに、「KUMARI」について各メンバーから見たキラーポイントがどんなところにあるのか、ということもコメントしていただけますと幸いです。
Zyean:この曲は変拍子も入ってますし、テンポ・チェンジもするので、音数の多い複雑な曲になっているというところが前面に出た曲になってます。今までも複雑なタイプの曲はあったんですけど、意外と変拍子のものはなかったし、テンポもここまで1曲の中で変わっていたものはなかったので、ここまでプログレッシヴな構成というのはJILUKAとしては初なんですよ。それだけに、この曲は叩くのに頭を結構使いました。一瞬でも気を抜いたり、思考が止まって脳死したりすると、曲に着いていけなくなります(笑)。そのくらい、聴き応えのある曲だと思いますね。
Boogie:聴いてもらえればわかると思うんですけど、この「KUMARI」は疾走感のある曲ではあるんですけど、Aメロのメイン・リフとかは重く聴かせたかったんですよ。速く弾こうとすると普通はロー感が削がれていきがちなんですが、ここではその両立しにくいところを、音作りや弾き方でちゃんと出せるように意識していきました。さっきも話したことなんですけど、アタック感のある音と低音の2本を両方録って交ぜることで、理想的なライヴ感のある音を作ることができたので、良かったです。
Sena:僕はこれまでも、"運動量のあるギター・プレイ"を心掛けているという話を、いろんなところでしてきているんですけど、この「KUMARI」はそこに尽きるかもしれないすね。聴くとまずは派手にやってる部分に耳がいくとは思うんですが、実はサビの後ろで鳴ってるコード・ワークとかですごく工夫をしているところも多くて、歌詞や物語に合わせてヴォイシングのチョイスもしてるんですよ。
Ricko:僕は、この歌詞の物語をストーリーテラー的な視点で歌っていくようにしましたね。ド頭から、声にならないような声といいますか。ただのシャウトじゃない声を入れているんですけど、それとは逆にサビでは突き抜けるような歌い方もしていて、ハモに関しては今まであんまりやったことないオクターヴ下で歌ったところもあるんですよ。だから、この曲はいろんな楽しみ方ができるんじゃないかなって思います。変拍子の感覚をどう捉えるかっていうのもわりと人それぞれだったりするだろうし。
Zyean:そういう意味でいくと、この「KUMARI」を聴くときは、メトロノームのアプリとかを使いながら聴くとさらに面白いと思いますよ。新しい発見がそれぞれの人によってたぶんできると思うので、良かったらやってみてください。
-新しい発見と言えば、今作では「BaLa-DeDa」という楽曲も非常に斬新な曲として聴こえました。こちらはもともと何をモチーフにして生まれたものだったのですか?
Sena:これはEDMの中でもトラップと呼ばれているものとメタルをいかに掛け合わせるか、という発想から生まれたものですね。ギター的には停滞感や、深く抉り込むような音を出していくようにしてます。
Zyean:今回の中だと、俺はこの曲で一番苦戦しました。メタル要素だけの曲の場合は、それこそ音数とか速さを打ち出すみたいなことが多いんですけど、この曲の場合はいかに音を抜いていくかというのが肝心だったので、試行錯誤は結構しました。でも、事前にそれっぽいアーティストの曲もいろいろ聴きつつ最終的には自分で噛み砕きながら、おいしいところをピックアップして応用したリズムを作れたので、良かったです。
Boogie:全体的に縦ノリの曲だし、ライヴでやったりするときには、ファンのみんなも跳びながら楽しんでくれるような曲だと思うので、そういうハネの利いたリズム感は僕も弾いていくうえで意識してましたね。細かい刻みをパチっと切って、バス・ドラムやギターのフレーズと縦のラインをスッキリ揃えるようにしていきました。
-「BaLa-DeDa」は、日本語と英語が絶妙に入り交じった歌詞になっているところも特徴のひとつですが、こちらは遊び心が生かされたものでもありますよね。
Ricko:そうそう、この曲にはSenaラップも入ってますしね!
Sena:これ、ラッパー Senaとシャウト&クリーン・ヴォーカル Rickoが共存してる構図になってるんですよ。
-なんと! いわゆる2MC状態なわけですね。
Sena:結局、THE BEATLESでもQUEENでもレジェンド・バンドとされている方々って、メンバーが自分のパート以外のところでも、コーラスとかで積極的に活躍されてたりするじゃないですか。パートの垣根を超えてしまうあの姿勢を、温故知新な感じで自分たちもやってみたいなと思い、今回はRickoの許可を得たうえで挑戦させてもらいました(笑)。
Ricko:Zyeanも、実は今回「Eclipse」で、コーラスで参加してるんだよね。
Zyean:ハイトーン・コーラスを一部やってます。
-そんなドラマチックな躍動チューン「Eclipse」、さらには6月に先行で発表されていた「SUZAKU」も含めた今作には、偶像や幻想を意味するという"IDOLA"というタイトルが冠されました。ここにはどのような意図を託されたのでしょうか。
Sena:僕は幻想という意味合いに着目してここに"IDOLA"と付けました。ヴァーチャル・ワールド、IDOLAの世界がここには詰まっている、ということですね。
-かくして、JILUKAは現在この『IDOLA』を引っさげての12月5日まで続く全国ツアー"THE SYNERGY"をすでに始めていらっしゃいます。おそらくこれは、自らの心を燃やしながら光り輝くことで闇を照らす旅路となっていくのでしょうね。
Sena:僕らの存在とか、このツアーで生まれていくであろう出会いとか、そういうものをすべて繋げていくことで、ひとつの相乗効果を生み出していこうよっていうのが、"THE SYNERGY"っていうツアー・タイトルに込めた気持ちです。
Zyean:まぁ、相変わらずのご時世が続いているというのはあるんですが、まずは初日を無事に終えることができましたし(※取材は9月上旬)。『IDOLA』の世界をライヴの場でステージとフロアとで共有しながら、大きく育てていきたいと思ってます。あとは、最後まで無事に開催できることを願うばかりですね。
Boogie:毎回これは思っていることなんですけど、今回の『IDOLA』もツアーの場で本当の意味で完成していくことになると思うんですよね。特に、今回は物語性の強い作品でもあるので、各地で『IDOLA』の世界をみんなに楽しんでもらいながら、JILUKAとして次のステージに向かっていきたいです。
Ricko:コロナ禍が始まって以来、たくさんいろんな感情を経験してきましたけど、とにかく今回のツアーでその感情たちはすべて吹っ飛ばしてやろうかと思ってます!