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LIVE REPORT

DEVILOOF

2021.09.17 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 内堀 文佳 Photo by 小山田祐介

下北沢LIVEHOLICのオープン6周年を記念して、6月から開催されてきたライヴ・イベント"LIVEHOLIC 6th Anniversary series"。そのうちのひとつとして行われた、DEVILOOFがこれまでにリリースした楽曲(アルバム収録全曲)を2日間に分けてすべて演奏したワンマン・ライヴ"~To the DYSTOPIA~"の1日目をレポートする。

場内BGMとフロアの明かりが消え、本日の主役が登場するのを今か今かと待っていると、来場者にフロアの端を空けるよう指示が出される。すると、桂佑(Vo)、幹太(Dr)、Ray(7strings/Vo)、愛朔(7strings)、太輝(Ba)のメンバー5人が観客のすぐ真横を歩いて入場。ファンは予想外の出来事に驚きながらも喜び、拍手で迎えたのだった。

しかし、1曲目の「拷訊惨獄」が始まると同時に、ライヴハウスはバンドのコンセプトである"悪魔的"なイメージを体現するかのように、地獄の如き灼熱に包まれた。天を裂き、地を割るような桂佑のスクリームやグロウルと、身体の奥底から震え上がらせるようなおどろおどろしい楽器隊の演奏に合わせ、フロアは一面振り乱された髪と高く掲げられた拳でいっぱいになり、続く「「開花」」、「Natural Born Killer」、「Doll Play」でもその荒波が鎮まることは一切なかった。

だが、彼らの魅力はそのブルータルさだけにとどまらない。和楽器の音色を取り入れた5曲目「アイシテクダサイ」では、先ほどまでの激しさとは打って変わって叙情的なRayのクリーン・ヴォーカルに、思わず聴き入る。

再びアクセル全開で畳み掛けられた「EGOIST」、「Murderous Impulse」では、まだ熱気が足りないと言わんばかりに、桂佑が観客を挑発的な眼差しで見渡す。"心の叫びを聞かせてくれ!"という煽りにオーディエンスも拍手やメロイック・サインで応えた。「HERO=MURDERER」のコーラスでも同様に突き上げられた拳の勢いを見ると、声を出すことが許される時世であれば、ステージ上に負けないぐらいの轟音がフロアからも響いていたであろうことは想像に難くない。

本編ラストを飾ったのは「流転」。愛朔が手拍子を先導する演歌パートが組み込まれていたり、桂佑とRayがそれぞれスクリームとクリーンで合唱したりと、先述の「アイシテクダサイ」よりもさらに和の要素やツイン・ヴォーカルの強みが前面に押し出され、今のDEVILOOFの強力な武器を象徴するようなこの曲は、この日の(いったんの)締めに実に相応しかった。

アンコール1発目の「Return Of The Curse」のイントロで指揮をとるように腕を振る桂佑に合わせ、フロアは再びヘドバンの海に。まだまだ首を休ませるつもりはないのか? と思うほどの怒濤のプレイには圧倒されるばかりだったが、拍子の変化や聴かせるサビで緩急をつけることを忘れないのが彼らの魅力だ。また、ここでMCを挟み、本編後に上手く捌けられなかったことや、先日出演した"有吉反省会"について触れたり、幹太をいじったりして笑いを誘い、そのルックスや音楽とのギャップでファンの心をさらにガッチリと掴む。

空気が和んだところで"懐かしいやつやります"と言って始まったのは、1stシングル『Ruin』より「Nightmare」。さらに勢いを加速させるように「ESCAPE」で追撃し、ついに本当に最後の曲「Ruin」へ。コロナ禍でさえなければ、間違いなくウォール・オブ・デスが発生していただろう。しかし、この日は最初から最後まで会場が一体となって、この状況下で許される方法だけで、平時にも引けを取らない量のエネルギーを放出したのだ。自由に暴れられるようになった暁にはこれがどう化けるのか、楽しみでしかない。


[Setlist]
1. 拷訊惨獄
2. 「開花」
3. Natural Born Killer
4. Doll Play
5. アイシテクダサイ
6. EGOIST
7. Murderous Impulse
8. HERO=MURDERER
9. 流転
En1. Return Of The Curse
En2. Nightmare
En3. ESCAPE
En4. Ruin

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