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INTERVIEW

DEVILOOF

2023.04.14UPDATE

2023年05月号掲載

DEVILOOF

Member:Ray(7strings/Vo) 太輝(Ba)

Interviewer:杉江 由紀

忖度、手加減の類などはあるはずもない。昨今、V系メタル御三家と呼ばれシーンを騒がせてきているDEXCORE、JILUKA、そしてDEVILOOF。このたび、その3バンドの中でも突出して圧倒的破壊力のあるサウンドを身上とするDEVILOOFが、日本のみならず世界をも視野に入れたなかでEP『DAMNED』を4月19日にリリースし、堂々のメジャー・デビューを果たすことになったのである。デスコア、スラミング、ブルデス、グラインドコアなどディープなヘヴィ・ミュージックを貪欲に呑み込みながらも、それらすべてをきっちりとDEVILOOFの音像にしてアウトプットしてみせる彼らのドラマチックな新章が、今ここから始まっていくのだ。

-ある意味これは意外な展開だと感じているのですけれど、DEVILOOFはここに来て堂々のメジャー・デビューをすることとなりました。今やジャンルを問わず"わざわざメジャー・デビュー"という選択肢をとるアーティストは減少傾向にあるなかで、DEVILOOFがあえてこの決断をされた理由についてまずは教えていただけますでしょうか。

太輝:たしかに、今の時代というのはロックでもヒップホップでもいろんな人たちが事務所やレコード会社に所属せず、自分たちでレーベルを立ち上げたりして音楽活動している例がたくさんありますから、僕らもそういうかたちでやっていくことはいくらでも可能だと思うんですよ。でも、だからこそあえてこの時代にメジャーのレーベルと契約することによって、そこから"どういう化学反応が生まれるのか"ということを自分たち自身で試してみたいっていう気持ちがまず第一にありまして。そこはやっぱり、DEVILOOFがメタルのシーンの中でもかなりニッチなところにいるバンドであるということも大きいんです。

-なるほど。DEVILOOFはメタルのシーンとV系のシーンのちょうど狭間に陣取りながら、独自のスタンスを確立してきたバンドですものね。

太輝:まだちょっといろんなことの予測がつかないだけに、誰よりも自分たちが"メジャーのレーベルと手を組んだDEVILOOFの未来"を見てみたいと思っているし、そこに対して大きな期待をかけているんですよね。そして、今回メーカー側からお声掛けをいただいたときに、徳間(ジャパンコミュニケーションズ)のスタッフさんたちがすごくバンドファーストにあらゆる物事を考えてくださっていたこともわかったので、その点でも"この人たちとだったら、ちゃんとタッグ組んで面白いことをやっていけそうだな"という気持ちになり、こうしてメジャー・デビューをするという話に至りました。

Ray:僕もメジャー・デビューの件については前向きに捉えていましたね。

-かくして、このたびDEVILOOFは4月19日にメジャー進出第1弾音源となるEP『DAMNED』を発表することになりますが、YouTube公式チャンネルの告知動画では今作をもってDEVILOOFは"新章"へと突入していくことも示唆されております。また、公式資料には"HEAVY MUSICの頂点へ"というフレーズがあることを考えると、ここからのDEVILOOFは野望を胸に次なるフェーズへと臨んでいくことになるわけですね。

太輝:むしろ、今はひたすら野望しか持ってないです(笑)。

-その大いなる野望を託すリード・チューンとして、いち早く「Damn」のMVが先行公開されておりましたし、「False Self」もいずれ公開となるそうですが、この2曲はそれぞれにかなり対照的なカラーを持った楽曲に仕上がっている印象があります。もちろん、EP『DAMNED』で聴ける全5曲はどれも異なるベクトルを持った楽曲たちではありますけれど、ゴリゴリにヘヴィな「Damn」とメロディックな美しい響きを持つ「False Self」を2大リード・チューンにしているところも、まさにDEVILOOFならではのアプローチですね。

Ray:「Damn」はDEVILOOFのヘヴィなところを凝縮した楽曲の最新型ですし、今このヴィジュアル系メタル・シーンの中で言うとDEXCORE、JILUKA、DEVILOOFの3バンドがかなり強い存在感を持っていると思うんですけど、その3バンドの中でも僕らが他にない武器として持っているものが僕と桂佑のツイン・ヴォーカルになるので、そこを前面に出した曲になっているのが「False Self」なんじゃないかと思ってます。

-Rayさんがおっしゃられた、その"DEXCORE、JILUKA、DEVILOOFの3バンド"という言葉。これは現状のシーンを語るうえでとても重要なポイントになってくるように感じます。外野はつい御三家的な扱いをしてしまいがちなところがあるものの、バンド側からしても"一緒くたにされても困る"的な感覚はなかったのですね。

太輝:いや、今はそういうのはないですね。昨年の夏にはDEXCORE、JILUKA、DEVILOOFの3バンドで東名阪ツアー"D×D×J"というのをやったことがありまして、そのときにはコラボCDとして『DDJ COLLABORATION [2022 LIMITED]』という音源も出したんですが、それを記念してYouTubeに3人のヴォーカリストの対談というのも上げたりしたんですよ。で、その対談の内容でも話題に出ていたのが、お互いに活動を始めた6~7年前の当時は、彼らも僕らのことをあまり良く思っていなかったらしいんですね。そして、僕らも彼らのことを良くは思ってなかったです(笑)。

-そこは敵対心がバチバチしていたのでしょう。

太輝:同族嫌悪があったんだと思います。バチバチした気持ちが9、仲良くしたい気持ちも1くらいはあったかなっていう感じでした。あの頃は"なんとか出し抜いてやろう!"っていうことばっかり考えてました(笑)。でも、時が経つにつれてそこはだんだんと変わっていったんです。

-変わっていった理由はどんなところにあったのでしょうか。

太輝:現実問題として、バンドのシーンというのは確実に盛り下がってきてるところがありますし、ヴィジュアル系だろうとメタルだろうと確実に演者側の人口もライヴに来てくれる側の人口も減ってますからね。それに気づいた時点で、今ここで僕らがやるべきことはお客さんの獲り合いじゃなく、むしろ3バンドで一緒にお客さんたちを育てて増やしていこう! という前向きな方向に考え方が切り替わったんです。

-シーンを護っていくためには闘っている場合ではない、というくらいの危機感がそこにはあったのですね。

太輝:だから、今はもうヘンな敵対心とかはないです(笑)。

Ray:僕も敵視する気持ちはなくなりました(笑)。今も変わらずライバルではあるんですけど、3バンドでシーンを上向きにさせていきたいという同じ気持ちを持っていると思いますし、実際に会うとそういう話もよくしてますね。

-きっと、そうした意味からも今回のEP『DAMNED』はシーンに一石を投じることになっていくはずです。なお、ここには2大リード・チューンを含む計5曲が収録されておりますが、この選曲をどのように絞り込んでいかれたのかもぜひ教えてください。

太輝:話は少し遡るんですが、僕らは結成して半年の段階で『PURGE』という1st EPを2016年夏に出してるんですよ。これはヴィジュアル系バンドがメロディのない本物のデスコアをやったらどうなるか、ということをかたちにしたものだったんですね。そして、そこから2021年12月に3rdフル・アルバム『DYSTOPIA』を出した時点で、僕らとしては6年近くかけてようやくDEVILOOFなりのブルータルなところに特化したエクストリーム・メタルというものの完成形を作り上げることができた、という実感を持てたんです。ある種、あそこでひとつ"やりきった"という感覚にもなったんですね。

-そうなると、次の一手をどう打つか? が非常に重要となってくるわけですよね。

太輝:そうなんです。それ以降もデスコア一辺倒、ブルータル一辺倒となると僕らとしてもあまり面白くないなという気持ちがありまして、メイン・コンポーザーであるヴォーカルの桂佑もそこから今後のDEVILOOFというものを探っていったなかで、次はエクストリーム・ミューシックに電子音をガッツリ足してみようか、というアイディアが生まれていったんです。あとは、そこに桂佑のルーツであるハードコアの要素も加えていくことで新しいDEVILOOFの音を作っていくことになったんですよ。ちなみに、そうしたアプローチから生まれた最初の曲が「Damn」でした。

-「Damn」が生まれる背景にはそのような経緯があったのですね。

太輝:そういう意味もあって、今回「Damn」は絶対にマストでありリードになることが決まっていた曲でした。つまり、「Damn」がこのEPの核としてまずあったわけです。結果的に、EPタイトルも「Damn」の曲タイトルから"DAMNED"が導き出されていくことになりました。

-太輝さんがベーシストとして「Damn」の音を作っていく際に、特に留意されていたのはどのようなことになりますか。

太輝:正直、ベース自体で目立つようなことをしようっていうことはそもそもあんまり考えてなかったです。

-お言葉ながら、7弦フレットレスを使っているという時点で十二分に目立っているとは思いますけれどもね(笑)。

太輝:あれはまぁ、見た目重視なんで(笑)。ただ、今回はレコーディング前の段階でMV撮影の打ち合わせをしたときに、「Damn」の詞の世界に対する理解が深まったところがあったんですね。桂佑君と監督さんがこの曲のストーリーについての話をしている様子から、僕とドラムの幹太の間で視界が急にパーンと開けたんですよ。それで、アレンジについても"こういう方向で行けばええんや!"っていうことが明確にわかったので、音だけにこだわるのではなくて、そこに付随するストーリーというものも大事にしながらアレンジやプレイをしていくことになりました。

-「Damn」のベース・ラインはヘヴィさの部分を突き詰めた音に仕上がっていると感じるのですが、7弦フレットレスを使ってこの音を出していくうえで大切だったのはどのようなことですか。

太輝:ユニゾンのフレーズとかでしたら、昔は高音弦を使ったりしてたんですけどね。今回はユニゾンもなるべく低いところでしていくようにしました。例えば、海外のデスコア・バンドの人たちの動画なんかを観てると、ユニゾン・パートでも1フレットから5フレットまでがずーっと動いてないんですよね(笑)。そのへんを参考にしつつ、僕は7弦なんで1フレットから6フレットあたりまでしかあえて動かしてません。

-Rayさんが「Damn」のギター録りをされていく際、こだわられたのはどのようなことだったでしょうか。

Ray:全体的に「Damn」はかなり力強さのある曲なので、ギターの弾き方は正確さもキープしつつ、気持ちちょっと粗めに弾いてます。特にギター・ソロは躍動感を出したかったからダイナミックにいきましたし、そこ以外も緩急があるギターを心掛けましたね。激しい中でも抑揚がある、というふうに弾いていきました。

-相方ギタリストである愛朔さんとのツイン・アンサンブルについては、どのような構築の仕方をされていくことになったのでしょうか。

Ray:「Damn」に限らず、今回の『DAMNED』の曲たちはどれもそこに関しては深く考えて作っていないかもしれないです。こう言うと聞こえが悪くなってしまいそうですけど(笑)、愛朔も僕も"これがいいと思ったこと"をやっているだけですね。でも、そこには譲り合いもあるんですよ。

-これだけ威圧感のある音を出しているDEVILOOFから、まさか"譲り合い"という言葉が出てくるとは思っていませんでした(笑)。

Ray:あはは(笑)。

太輝:でも、実は各パート間でいい意味での譲り合いはあるんですよ。

Ray:例え自分の解釈とは違う音やフレーズを自分以外のメンバーが出してきたとしても、そこで"あぁ、そういう考え方もあるんや。面白いな"ってなれば、全然そのまま"それで行こう!"ってなることも結構ありますからね。

-譲り合いというか、それだけメンバー個々が尊重し合っていらっしゃるのですね。

Ray:そういうことかもしれません。

太輝:そこは曲によっても違っていて、それこそ「Damn」の場合は幹ちゃん(幹太)のつけたドラム・フレーズを桂佑君が何回も手直しをしてましたし、作曲者のヴィジョンが完全に固まっているときはそこをかたちにできるようにメンバーが努力するし、場合によってはお互い話し合ったり議論したりしながら詰めていく、ということをわりと臨機応変にやっていると思います。