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INTERVIEW

DEVILOOF

2023.04.14UPDATE

2023年05月号掲載

DEVILOOF

Member:Ray(7strings/Vo) 太輝(Ba)

Interviewer:杉江 由紀

そりゃもう、当然"してやったり"な気持ちはありますよ


-そうした「Damn」がこのEPの核だとすると、今作ではその核を中心にして各楽曲が派生していくことになったのだと思いますが、そこから今回の5曲を揃えていく際にはどのような経緯を辿っていくことになったのかも教えてください。

太輝:より新しい色をもっと取り入れていきたいということもあって、前の『DYSTOPIA』までは9割くらい桂佑君の作曲だったんですけど、今回はRayや僕も曲を作っていくことになりました。その結果として生まれたのが今回の5曲だったんです。

-そうなりますと、今回はそれぞれに制作段階からこれまでとは違う感覚を持ちながら作品と向き合っていくことになられたのでしょうね。

太輝:『DYSTOPIA』のときはスラミング・デス・メタルやブルデスとニッチなメタル、2ndフル・アルバム『鬼』のときは和とか、これまではコンセプトありきで曲を作っていくことが多かったんですけど、今回はとにかく出てきた曲たちの中から完成度の高いものを入れていこうという姿勢だったので、制作に関しては何から何まで今までとは違いました。

-その影響なのでしょうか。太輝さんが作曲されている「The Blackened Sun」は、BPM的に言えば速くてスラッシーである一方、Bメロあたりには絶妙なロックンロール感が漂う新鮮な仕上がりで、曲展開に意外性がありとても面白い曲になっていますね。

太輝:これは80年代のスラッシュ・メタルをイメージして作った曲なんです。特にあのメイン・リフは古き良き時代の雰囲気を意識してますね。もちろん、ただそれをそのまま焼き直すだけだとつまらないんで、そこに無理やり電子音を入れたりもしました(笑)。

-だいぶ斬新ですし、この音の質感はDEVILOOFとしても画期的ですね。

太輝:メタル自体がもう50年以上の歴史がある音楽で、様式美的なものもすでに構築されすぎてますから、これからの若い人たちはもうそれを崩していくしかないような気もするんですよ。ただし、そこをどう美しく崩していくかというところには可能性がまだまだあると思いますし、メタル以外のところからもアイディアを引っ張ってきたりしながら、それをすべてガッチャンコしたらここではこういう曲になりました、っていうことなんです。

-Rayさんは太輝さんから「The Blackened Sun」を提示されたとき、どのような印象を持たれました?

Ray:METALLICAとかMEGADETHとか好きな人からしたら、これはたまらんリフやな! と思いました。実は、DEVILOOFのお客さんって結構年齢層が広いんで、新しいお客さんたちからすると新鮮で"今までこういうの聴いたことない"ってなるでしょうし、昔からずっとメタルが好きっていう人たちにとっては"待ってました"っていうタイプの曲になってると思います。

-今年はMEGADETHが来日し、METALLICAも新譜発表とレジェンド組が大活躍しているなかだけに、彼らに対するリスペクトも含みながら新世代のバンドとして意欲的に音を生み出しているDEVILOOFのスタンスは実に素晴らしいです。

Ray:たぶんこの「The Blackened Sun」は根本的にメタルが好き、っていう方であれば年齢問わず受け入れられやすい曲になっていると思いますね。

-そんなRayさんは今作中で「Afterlife」 とインスト曲「Terpsichore」を作られていますけれど、EPにインストを入れたのはやはりギタリストとしてのこだわりですか?

Ray:いや、僕のこだわりというわけではないんですよ。これについては太輝さんから説明してもらったほうがいいかもしれないです。

太輝:基本的に、エクストリーム・メタルのバンドってだいたいはヴォーカルが一番目立つっていうのがあると思うんですよ。あとは超絶技巧のすごいドラマーがいるとか、JILUKAのSenaさんみたいなタイプのギタリストがいると、そこも間違いなく目立つと思うんですけど、DEVILOOFの場合は全曲ギター・ソロが入ってるわけでもないですしね。そうなると、ここは楽器隊のメンバーをフィーチャーする曲も欲しいなと思い今回は僕からRay君に"インストを作ってほしい"とお願いしました。

-そういうことでしたか。その際、曲の空気感などについてもオーダーは何かしら出されたのですか?

太輝:ほぼRay君にお任せだったよね?

Ray:そうですね。曲名の"Terpsichore"というのは踊りの神様のことを意味しているんですが、これはギター1本でも成り立つような曲にしたいな、というところから作り始めました。そして、気がついたらサビがああいう和のメロディになっていたんですよね。DEVILOOFはここまでずっと最強最速を追求してきたバンドですし、普段だとギター・ソロも速いところに重点を置いたものが圧倒的に多いので、ここでは速いだけではなく聴かせる部分というのも大事にしながら、ギターではなくピアノでメロディを作りつつ今までにはなかった運指でギターのプレイをしていくことになりました。弾くのは難しかったですけど、そのぶんとてもいいものができたなと感じてます。

太輝:予想してた数倍はすごいインストが出てきたんで、半ば無茶ぶりで頼んだ僕としてもこれは嬉しかったですね(笑)。

-Rayさんの作られているもう1曲の「Afterlife」については、テンポこそ速いですがサビではメジャー展開していくところが印象的な仕上がりとなっております。ギター・ソロもメロディックな響きになっていますけれど、この曲についてはどのような狙いを持って作られたのでしょうか。

Ray:DEVILOOFの既存曲を見渡したときに、ライヴで1曲まるまるお客さんたちと一体になって楽しめるような曲というのが、僕の中では「DESTINATION」(2017年リリースの1stフル・アルバム『Devil's Proof』収録)くらいしかないような気がするということに今回ちょっと気づきまして、この曲に関しては演者も楽しめると同時にお客さんも全員が楽しめるような曲を作ってみよう、というところから「Afterlife」を生みだすことになりました。やっぱり、メジャー・デビューする以上は今までなかなか手の届かなかったフェスとかにもいずれは出ていきたいですし、そういうシチュエーションでやったときに映えるDEVILOOFの曲、というものをここでひとつ作ってみたかったんですよ。

-実際、このサビのメジャー・コード展開はライヴで聴いたら相当アガるかと思います。

Ray:速いフレーズとかデスコアの要素、そういうDEVILOOFらしさもちゃんと大事にしつつ、ワンコーラス聴いたら2番もすぐわかる、みたいな感じの曲が欲しかったんです。みんなが一緒に歌えるようなギャング・コーラスの部分もあるので、そこはお客さんたちと盛り上がりたいと思ってますし、ループする部分ではダイブとかがフロアで起きたら面白いだろうなぁ、ってこの曲はひとりでニヤニヤしながら作ってましたね。もし、第三者に見られてたら頭オカシイやつだと思われてたかもしれないです(笑)。

-今からライヴが楽しみですねぇ。

Ray:ほんと、この曲もすごく自信があるんで今後のライヴでは定番にしていきたいなと思ってます。

-なお、その「Afterlife」の歌詞を書かれているのは太輝さんです。今作での歌詞の割り振りはどのように決められたのですか?

太輝:基本的にはいつも桂佑君が書いてはいるんですけども、特に決まりのようなものはないです。ただ、僕が自分で曲を書いた「The Blackened Sun」なんかは頭の中で曲が鳴ったときにもう歌も同時に鳴っていたので、これはそのまま自分で歌詞も書いてしまおうとなりました。そして、今回「Afterlife」の詞を僕が書いたのは桂佑君がずっと「Damn」に命を捧げながら曲だけじゃなく歌詞も書いてる状態だったからですね。大げさじゃなく、桂佑君は「Damn」の詞を1年半ぐらいかけて途轍もない思い入れを持ちながら作り上げていましたから、できるだけその作業に全力で集中してほしいなということもあり、僕が「Afterlife」の詞を書いたっていう部分もありました。

-「Afterlife」の詞の方向性についてはどのように固めていかれたのでしょう。

太輝:Ray君のほうから"こういう曲を作りたいんや"っていう話は常々聞いてたので、僕としても"だったらこういう詞がいいかな"とか"こんなコーラスを入れたら面白そうだな"というイメージに沿って書いていきましたね。歌詞はとても書きやすかったです。

-さて。ここまでいろいろとうかがって参りましたが、今作『DAMNED』のラストを飾るのは、桂佑さんとRayさんとのツイン・ヴォーカルが最大の聴きどころとなる「False Self」です。DEVILOOFならではの魅力がここにも溢れていますが、Rayさんご自身はギタリストとしての立場とヴォーカリストとしての立場のバランスをどのように取りながら両立されているのでしょうか。

Ray:曲ができた当初から「False Self」はサビを僕が歌うことになってたので、作曲者である桂佑の意向を踏まえながらこれは歌っていきましたね。とはいえ、ライヴでギターと両立させていくとなると最近はあんまり歌う機会ってなかったし、いつもわりとよく動くステージングをしているので、ある程度はペース配分を計算しながら息切れしないようにやっていく必要が出てくるでしょうね。そこはここから勉強していく必要があるのかなと思ってます。もっとも、あんまり計算しすぎてもそれはそれでライヴとして面白くないんで、自分のことを虐めながらギリギリのところを攻めていきたいと思います(笑)。

太輝:「False Self」はギター・ソロ前にちょっとベース・ソロ的なメロディも弾いてるんですけど、あそこまで作り込んだメロディのベース・フレーズというのは今まで弾いたことがなかったので、この曲は僕にとっても勉強になるところが多い曲になりました。

-いずれにしても、EP『DAMNED』はDEVILOOFにとって最高の新章スタートを飾る作品となったようですね。リリース直後に4月29日に渋谷CLUB QUATTROで開催される"DEVILOOF ONE MAN LIVE「RUIN」"も含めて、ここからの動きがとても楽しみでなりません。

太輝:本当にこの『DAMNED』は僕らにとって始まりの作品なので、ここからどういう音楽性でやっていくかというのはまだ自分たち自身でも見えていないところがたくさんあるんですよ。でも、3年後なり5年後なり時間が経ってから以前『DYSTOPIA』を出したときのように、やがて"これが今のDEVILOOFとしての完成形だ"と思えるものができたとき、振り返ってみたら"あの『DAMNED』があったからこそ、今があるんやな"と言えるような作品になっていってほしい、と自分たち自身で思ってます。

-しかも、現時点でYouTubeのコメント欄やSNS上では国内外から"DEVILOOF、よくやってくれた!"、"DEVILOOFはこの音でメジャーに行くんだ!"的な称賛コメントが相次いでいるようですしね。DEVILOOF側からしてみると、すでに"してやったり"なのではありませんか?

太輝:いやー、どうなんでしょう(笑)。Ray君、どうです?

Ray:そりゃもう、当然"してやったり"な気持ちはありますよ。僕らがキャッチーになってメジャー・デビューするわけないやろ! っていうことですね(笑)。