LIVE REPORT
ACME
2023.01.14 @SHIBUYA CYCLONE
Writer : 山口 哲生 Photographer:RINA ASUKAI
2021年に引き続き、2022年もUSツアーを行い、国内では"ザ・ラストワンショー"と題したツーマン・シリーズを始動させるなど、充実の1年を過ごしたACME。彼らの2023年は、昨年11月からスタートさせた国内ツアー"ACME Live Tour 2022 IN JAPAN"のツアー・ファイナル公演から始まった。そして、このライヴからついにオーディエンスの声出しが解禁! オープニングSEが鳴ったその瞬間から、フロアの熱気が凄まじく上がっていく。4人も笑顔でステージに姿を現し、日本では久々の光景を心から喜んでいるようだった。
そんなライヴの1曲目を飾ったのは「Resisted temptation」。超重量級サウンドを凄まじい勢いで疾駆させていくこの曲は、昨年11月に発表された3年ぶりとなるフル・アルバムのタイトル・トラックだ。同アルバムは、彼らがコロナ禍以降も一切止まることなく歩み続けた足跡をパッケージしたものなのだが、その経験は確実に4人が放つ音に表れていて、その強烈すぎるまでにビルド・アップされた音塊に、ただただ激しく興奮させられた。
そこからも「Come Back to You」、「ROTTEN ORANGE」を畳み掛けてフロアのヘッドバンギングを激しく誘発したり、「絶唱謳歌」、「WONDERFUL WORLD」、「WALK」といったアンセム・ナンバーを連打したりと、4人はのびのびと楽しそうに爆音を轟かせ、オーディエンスはそれを全身で楽しむという最高の景色が繰り広げられていく。個人的なハイライトは、"ちょっとチルめにいきます"という前置きから始まった「Enchanted」。RIKITO(Ba)とHAL(Dr)によるリズム隊のグルーヴィな演奏や、将吾が要所で聴かせる圧のあるギター・サウンドは、迫力はありながらも心地よくフロアを揺らすものになっていて、改めてライヴで体感する彼らの音楽がもたらしてくれる高揚感や、プレイヤーとしてのスキルをまざまざと感じさせられた。
また、今回のツアーでは、最終日に新曲を解禁することを初日にアナウンスしていたACME。その予告通り、2月14日にリリースされる新曲「洗 脳」が披露された。"みんな気づいてないだけで、もうすでに洗脳されている"と、実は本ツアーのオープニングSEとして使用していた楽曲だったという粋な演出で楽しませてくれたのだが、楽曲としてもかなり面白いものに仕上がっていた。
ACMEはこれまでもエレクトロ・サウンドを取り入れた楽曲を発表していて、一聴した感じでは、「洗 脳」もその類いに含まれる。しかし、この日も披露された「Kagaribi」のような、いわゆるエレクトリーモ的なものとはまた別のベクトルで、アッパーではありつつも浮遊感が心地よく、それでいてダブステップ/ブロステップ的なワブル・ベースも飛び出しつつと、情報量はかなり多め。彼らの中でもかなり攻めの1曲になると思うのだが、ただ突拍子もないことをしてみたかったというわけでは決してない。この日のセットリストとしては、「洗 脳」から「RISING SUN」、「Heaven's Door」といったヘヴィ・ナンバーに繋げていく流れになっていて、そこにまるで違和感がなかったところは、その証左でもあるだろう。
このバンドのひと筋縄ではいかないところが見事に凝縮された1曲を持って、5月には6周年を記念したショート・ツアーの開催も決定。サークルモッシュが発生した「テバナシライダー」でアンコールを締めくくるなか、"これからもうなんの心配いりません、安心してついてきてください!"と、CHISA(Vo)はフロアに向かってまっすぐに叫んでいたが、その言葉通り、2023年も彼らの活動から目が離せない1年になりそうな予感に溢れたステージだった。
[Setlist]
1. Resisted temptation
2. Come Back to You
3. ROTTEN ORANGE
4. 洗 脳
5. RISING SUN
6. Heaven's Door
7. Enchanted
8. CALL MY NAME
9. GIFT10. RE:
11. 絶唱謳歌
12. WONDERFUL WORLD
13. WALK
14. Kagaribi
15. SENKOU
16. マグロ解体チェーンソー
17. テバナシライダー
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