INTERVIEW
ACME × SILHOUETTE FROM THE SKYLIT
2022.08.08UPDATE
2022年08月号掲載
今年に入ってから"ザ・ラストワンショー 2022"と題したツーマン・イベントを主催しているACME。3月に開催された"シーズン1"にはMAKE MY DAY、6月開催の"シーズン2"にはDaizyStripperを迎えて熱演を繰り広げてきたが、彼らが"シーズン3"に招聘したバンドは、SILHOUETTE FROM THE SKYLIT。"ザ・ラストワンショー 2022・シーズン3 再びACME汁祭り supported by 激ロック"と題し、8月21日にshibuya CYCLONEで行われることになった。イベントの開催を記念して、激ロックでは座談会を実施。"音楽性としては近しいものがある"と話す両バンドに、様々な話題について話してもらった。
ACME:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)
SILHOUETTE FROM THE SKYLIT:SeshiroX(Vo) K.O.U(Dr)
インタビュアー:山口 哲生 Photo by 坂東美音
"コロナ禍でもちょこちょこライヴしてたけど、あれはなかなかない体験だった"(SeshiroX)
-今回の座談会は8月21日にshibuya CYCLONEで開催される"ザ・ラストワンショー 2022・シーズン3 再びACME汁祭り supported by 激ロック"を記念して行っていまして。"再びACME汁祭り"というタイトルの通り、ACMEとSILHOUETTE FROM THE SKYLITは、昨年もツーマン("ACME LIVE 2021「ACME汁祭り」")をされていましたよね。
HAL:そうですね。私がARTEMAをやっていたころはしょっちゅう対バンをしていたんですけど、去年ようやくできた感じでした。
SeshiroX:本当はその前にやる予定があってオファーを貰っていたんですけど、コロナの諸々で流れてしまって。ようやくっていう感じでしたね、念願の。
HAL:僕の個人的な気持ちとしてあったのが、ACMEが始まってから界隈が変わったことで、対バンする相手もガラっと変わったんですけど、今までやってきたことは繋げていきたいなと思っていたんですよね。で、ACMEの活動も土台がしっかりできてきたから、昔の馴染みに"今私こういうバンドやってるんですよ"って紹介したくて(笑)。それでやろうと思っていたんですけど、コロナのことがあってようやくでき始めたという感じです。それは"シーズン1"のMAKE MY DAYもそうでしたし。
-SILHOUETTE(SILHOUETTE FROM THE SKYLIT)のおふたりとしては、最初に対バンしようというお話が来たときにどう思われました?
SeshiroX:HAL君がバンドをやっていることは知っていたし、ライヴに誘ってもらう前に俺は1回観てるんですよ。たぶん、"HAL祭り"("ヤマサキ春のHAL祭り2019")のとき。
HAL:そうだ。で、飲んだんだ。で、俺がリュックなくした(笑)。
一同:(笑)
SeshiroX:音源も聴かせてもらってたんですけど、サウンド的にはラウドな感じがすごく色濃かったし、HAL君が昔やっていたバンドよりもヘヴィというか、重くなってるなと思って。でも、英語が多いというよりは日本語も多くて、ポップな感じもあって。音楽的にはウチもそうなんですけど、重い感じに聴こえるんだけど結構歌モノみたいなところが近いのかなって感じて、面白いなと思いました。
K.O.U:僕は正直に言うと、HAL君がバンドをやっていたのは知っていたんですけど、どんなバンドなのかは存じ上げてなくて。SeshiroXから"こういう誘いが来たよ"っていうのを聞いて、HAL君の誘いならやろうかって。昔から仲良くしてもらってたから、やりましょうとふたつ返事でした。僕はもともとヴィジュアル系に壁とかはないんですけど、さっき話していたようなヘヴィで歌モノみたいなところは通ずるものがあるし、一緒にやりたいなと思いましたね。
-ACMEがオファーした理由も、HALさんとの繋がりはありつつ、自分たちが好きなバンドだったからというところもあるんですか?
将吾:そもそも俺は普通に聴いてましたからね。それもあって、前にHALさんがイベントやったときは、俺が好きなバンド特集みたいになってたんですよ(笑)。
HAL:SILHOUETTEは(将吾の)地元も近いしね。福岡だから。
CHISA:僕はACMEの前から将吾さんと一緒にバンドを組んでたんですけど、その当時から将吾さんがよく聴いているバンドっていう印象があって。そのときは対バンすることになるとは思っていなかったですけど、のちにHALさんと組むことになって、こういう機会が巡ってきて。なんか不思議だなって感じがしました。
-たしかにそうなりますよね。それこそ将吾さんとしては対バンしてみていかがでした?
将吾:いやー、なんかもう"対バンできたー!"みたいな感じだったんで(笑)。ただのキッズみたいになってたから、あんまり気の利いたことが言えないんですよね(笑)。なんならフロアで観たいぐらいの感じだったんで。
-将吾さんがそういう感じで高ぶることって結構珍しいですよね?
将吾:自分が聴いてきた音楽ってそんなに広くないんですよ。ラウド系の中でも、もちろん自分の中で好き嫌いはあるし。
HAL:(将吾は)前のバンドをやってたころから日本のラウド系とかが好きで、その中でもよく俺が対バンしていたあたりが好きだったから"じゃあ会わせてあげるわ"みたいな(笑)。
将吾:そもそもHALさんもそうなんだよ。ARTEMAのことは知ってたし、ARTEMAのドラムだから誘ったところもあったし。
-RIKITOさんはSILHOUETTEの音楽に関してどんな印象を持っていましたか?
RIKITO:僕が知ったきっかけは、将吾君とHALさんが、こういう音楽を聴くといいよとか、このバンドのこの曲がいいよって話している中でよく名前が出てきてたから、それで僕も興味を持って、調べて聴くようになったんですけど。
HAL:この子は今までラウド系とか全然通っていなかったから、カッコいいバンドを紹介してて。もともとはB'zとNICKELBACKの人だったから。
RIKITO:あとLINKIN PARKね。実際に(SILHOUETTEの)音源を聴いてみて、純粋にカッコいいなって思いましたね。ACMEのサウンドを進化していくために取り入れなきゃいけない部分がすごくあるバンドだなって。
-特にどの部分を意識して聴いていたんですか?
RIKITO:一番は音作りですかね。僕としては、楽曲に対してベース・ラインをどう持ってくるかとか、他のパートがこうなってるときに、ベース・ラインをどうやって組み立てているのかをまず聴く癖みたいなのがあったんですけど、ラウドの音楽を聴くようになってからは、サウンド的な部分に興味を持つようになったんですよね。こういうバンド・サウンドの中で、こういうベースが鳴っているとカッコいいんだなとか。そういう感覚になっていきました。
-先ほど"音楽性としては近しいものがある"というお話がありましたけど、CHISAさんとしてはSILHOUETTEの音楽をどう感じています?
CHISA:前回の対バンのときに、僕らがYouTube Liveをやっているところにゲストで来ていただいて、そのときに新しい曲のミュージック・ビデオも流していただいたんですけど。それは結構爽やかな感じだったりとか、あとは筋トレの曲でしたっけ?
SeshiroX:ありますね。
CHISA:筋トレができる曲(※2021年リリースの配信シングル「HIT IT HARD」)があったり、面白いこともしたりしていて。そういういろんな面があるところは、自分たちもそうだなって思いますね。ウチらもポップスっぽいものもあれば、メタルコアっぽいのもあるんで。そういう部分は、それこそライヴを観ていて感じました。ラウドって言うと、熱い感じのものばかり想像しちゃうんですけど、いろんな表情があるバンドだなって。
-ちなみに、"筋トレの曲"を作ろうって、どういう流れからそうなったんです?
SeshiroX:毎月新しいデモを上げて、ファンの子たちに聴いてもらおうっていうのをやっていて。曲をメインで作っているのがギターのKiyoなんですけど、送ってきたデモが......その当時、俺がNintendo Switchの"リングフィット(アドベンチャー)"で遊んでて。あれで流れてきそうな感じの曲やったんですよ。ピコピコしてて、ダンス・ビートで、みたいな。それがコロナ禍の始めぐらいのころだったんで、みんな運動不足だから、これで筋トレとかして、自撮りとかしてアップしてもらったら面白いんじゃね? と思って。そのしょうもないアイディアを、Kiyo君に"この曲、筋トレにしていい?"って聞いたら、"いいよ"って。"あ、いいんだ?"って(笑)。それで歌詞が筋トレのレクチャー・ソングになってるんですよ。この歌詞の通りにやればいいよっていう。よく覚えていていただいて。
CHISA:その印象がすごく強かったんで(笑)。
SeshiroX:(笑)この前の対バンのときもやったんですけど、こういうご時世だったから、一応やってほしいけど、スクワットぐらいやっておこうかとか、みたいな感じで。でも、楽曲の振り幅で言ったら、ウチらは重いのもある、おちゃらけるのもあるぐらいで、ACMEさんのほうがいろんなことやってるから。そこの幅の広さはヤバいと思います。真似できないというか、みなさんひとりひとりが持っている引き出しが多いから、そこは羨ましいなと思いますよね。
-ラウド・シーンは熱い感じのものを想像してしまうというお話がありましたが、柔軟性というか、いろんなことをやってもいいんじゃないかという発想は、バンドとして強かったりするんですか?
SeshiroX:強いよね?
K.O.U:うん。何やってもいいと思いますけどね。ラウド系とかっていう言葉で勝手に決めちゃってるだけで。なんかそれってやっていることをすごく限定的に印象づける言葉だから、あんまり僕は好きじゃないんですよ。もちろんラウド系は好きで聴いてたけど、そんなに限定する必要ないんじゃないかなって。ヴィジュアル系ならヴィジュアル系で、ただそういうメイクをしているだけなのに、言葉を聞いただけでイメージしちゃうし。だからもっと柔軟にやっていいと思いますけどね。
-個人的に、両バンドの楽曲共にエモの要素が強い印象があるんですが、将吾さんはコンポーザーとしてどう思います?
将吾:ギターのコード感とかもあると思うんですよね。テンションの入れ方とか。そういうのは自分が昔からカッコいいと思ってやっていたことと似たようなところがあったから、それがたぶんキッカケで聴き出したと思うんですよ。でも、本当にそんな深く考えていなくて。ただ好きで聴いてただけだから(笑)、エモがどうのとか考えたことなくて。
-フェイバリットが似ているってことなんですかね。ツボが似ているというか。
将吾:そうかもしれないですね。
-バンドでいうとどの辺だと思ったりします?
将吾:どこだろう......FUNERAL(FOR A FRIEND)とか?
SeshiroX:あぁ。この間遊びでコピバンしました(笑)。
将吾:俺も好きなんですけど(笑)、あとはFINCHとか。
HAL:いいとこ見つけたね(笑)。
将吾:今頭の中ですごい探してた(笑)。
SeshiroX:でも、だいたいそのあたりだよね。
将吾:その王様に行くとSTORY OF THE YEARとかになるのかな、とか。
SeshiroX:そのバンドたちって2000年代の頭ぐらいで。ウチらはもう10年ちょっとやっていて、昔はそういうのを意識してやっていたところもあったんですけど、特にギターですよね。そこにわかりやすく出やすいんですけど、やっぱりどんどん変わっていくから、リバイバル的にエモ来てるなって意識することもあれば、モダンなものをやろうよみたいな感じもあるんで、言っても最近はそこまで縛られている感じでもないし、ACMEさんも最近の曲を聴いていたら、そんな感じだろうなって(笑)。
将吾:うん。そうですね。
-HALさんとしては両バンドの共通項として感じているものというと?
HAL:ちょっとズレるかもしれないんですけど、ずっと考えていたのが......僕、もともとこのバンドを始めるまで、太麺が好きだったんです。
-ラーメンの話?
HAL:そう。でも、福岡であそこのラーメン美味しいよって、みんなで食べに行ったんですけど、福岡のラーメンって細麺なんですよね。あと、替え玉をする文化をそれまでよくわからなくて。でも、一緒に食べることによって、替え玉からが本番なんだなっていう。1杯目は地ならしで、替え玉のときにバリカタとか、自分の好みでいろいろ頼んで。そういう替え玉の国から来た人たちっていうのが共通点なのかなって。
RIKITO:......え?
HAL:あと、音楽で言うと......。
将吾:そう! そっちの話(笑)!
HAL:僕らの世代的に、やっぱりP.T.P.(Pay money To my Pain)の影響は大きいですよね。ヘヴィだし、メロディもカッコいいし、エモを感じるところがあったりするし。そこは共通で聴いているんじゃないかなと思って。
将吾:俺はP.T.P.を聴いて、日本のラウド・ロックを好きになった。
HAL:やっぱデカいよね。
SeshiroX:ね? そこはもうみんなあるよね。
HAL:でも、今ちょっと心配しているのが、僕らの設定は、高校生のときにTHE ORAL CIGARETTESを聴いてバンドを始めたってことになってるんですよ。でも、P.T.P.とか言うと年齢がバレるかもな......っていう。
-初耳(笑)。ちょっと気になったんですが、九州出身の方からすると、ラーメンは2杯目から本番なんですか?
K.O.U:そこは当然みたいなところありますね。
将吾:最初の1杯は自分の好みで出てこないんで。人数が多ければ多いほど。
CHISA:あぁ。待ってる間に硬さが変わっちゃうもんね。例えば4人で行ったとすると、4人ぶん揃えて出してくれるじゃないですか。その1杯目のバリカタと、替え玉で頼んだバリカタって全然硬さが違うんですよ。あと、お店が混んでたりすると、また変わったりとか。
将吾:だから1杯目は処理みたいなもんですよ。それが嫌なときのおすすめは、先にやわを頼む。やわはまた別の食感があるんで。で、硬いのが食いたかったら替え玉でバリカタを頼めば、そっちもそっちで楽しめるっていう。
SeshiroX:それが上級者です。俺はあんまりやわはいかないけど、硬さはその日の気分だったり、湿度とかを考えたりはしますね。しっとりしてる日は、ちょっと硬めにしてとか。あとはその日の客入りも重要だし。バリカタの上もあるんで、お店によっては。
-ハリガネとか、粉落としとかありますよね。
将吾:店によっては"1秒"とか。
-1秒......!
将吾:なかなかないですけどね。
SeshiroX:もう小麦ですよ。ちょっと蒸らした小麦。普通の人が食べたらお腹壊すと思います。
-なるほどなぁ。勉強になりました。話を戻しまして、昨年に引き続き2回目の開催ということは、やはり前回の手応えがかなり良かったんですか?
SeshiroX:めっちゃくちゃ良かったです。お客さんもノリがすごく良かったし。
HAL:すごく評判良かったです。またやってほしいって。
SeshiroX:声は出せない時期でしたけど、すごく表情豊かなお客さんが多くて。マスクしていてもリアクションが顔に出てるからわかるんですよ。あのあと、コロナ禍でもちょこちょこライヴしてましたけど、あれはなかなかない体験だったなって。めちゃくちゃ楽しかったですね。
K.O.U:あと、ツーマンっていうのがやっぱいいですよね。2バンドしかいないから。
-ツーマンって、観る側もいいなと思いますけど、やる側もそうなんですね。
K.O.U:いやぁ、もう絶対いいです。多いのが悪いわけじゃないけど、2バンドだと深まるというか。お互いの絆って言ったらくさいですけど(笑)、仲良くなれるし、お客さんももうひとバンドをよく観てくれるんで、そこはいいですね。
-そこはSeshiroXさんも同じ感覚ですか?
SeshiroX:俺は結構なんでもいいんですけど、ツーマンの良さみたいなところで言うと、セットもある程度長いんで、流れをちゃんと作れるじゃないですか。例えば、これが5、6曲だったら、初めましての人も多いし、相手のバンドもゴリゴリだし、じゃあ俺らもゴリゴリでいくかって、選択肢がかなり狭まるんで。それで言うとね、小1時間ぐらいあると、相手のお客さんにも俺らの全部を観てもらいやすいっていうのがあるからツーマンはいいですね。3マンだとまた微妙なんですよ(笑)。
将吾:ツーマンならではの良さはやっぱりありますね。イベントやと、深夜のパーキング・エリアのメニューなんですよ。ほとんど売り切れみたいな。
SeshiroX:(笑)カレーしかねぇやっていう。
将吾:しょうがねぇからこれ食うか......っていう(笑)。でも、(ツーマンでは)自分たちの出したいメニューを出せるから、そこはすごくいいですね。