INTERVIEW
ACME × SILHOUETTE FROM THE SKYLIT
2022.08.08UPDATE
2022年08月号掲載
ACME:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)
SILHOUETTE FROM THE SKYLIT:SeshiroX(Vo) K.O.U(Dr)
インタビュアー:山口 哲生 Photo by 坂東美音
-出演数が多いと、どうしてもショーケースっぽくなってしまうところもありますからね。では、この機会に相手に聞いてみたかったことや、気になっていることはあります?
SeshiroX:やっぱりコロナ禍のライヴがどんな感じだったのかは気になりますね。ウチも良かったり悪かったりいろいろあったけど、どういうところが楽しめたのか、逆にしんどかったのか。
HAL:最初は無観客でライヴをやったんですよ。そのときは"怖っ!"って。煽りもないし、曲が終わったら"フゥー!"みたいなのもないから、"リハと何が違うんだ?"っていう。だからとりあえずカメラマンの人に向けて、こうやったりとか(と言いながら指を差す)。そのあとに少しずつ有観客にしていって。最初はキャパの半分で、声も出せない、動きもできない、レスポンスは拍手のみだったけど、誰もいないのより全然良かったし、キャパ半分だけどお客さんがいると安心しましたね。今まで結構助けられてたんだなって気づきました。
CHISA:やっぱりカメラに向かってやるっていうのは違和感しかなくて。でも、そのときはそのときで、何かやらなきゃっていう必死さはあったし、逆に何もしないっていう選択肢だけはなしだなと思っていて。それこそスタジオにiPhoneだけを置いてライヴするのもやってみたし、とにかくいろんなことをやってましたね。必死でした。
HAL:あと、ライヴ以外でもメンバーで配信を始めたりとか。それをやることによって、メンバー同士で会う機会も増えて、よりメンバーのことを知れたっていうのはあったかな。
CHISA:たしかにそうかもね。今まで配信とか全然してこなかったから、最初は全然うまくいかなかったんですよ。設定とか全然わかんないし、やろうと思っていた時間に全然できなかったり。
HAL:"声が聞こえてません"っていうコメント来たりとかね。
CHISA:そういうのを何回も経てっていう感じの活動でしたね。
-CHISAさんとしては、最初の無観客は怖かったですか?
CHISA:怖いというか、お客さんが前にいてライヴをしていたときって、別に演じなくても興奮したり、気持ちを作れたりしたんですけど、カメラの前だと想像するしかないんですよね。このレンズを通して、パソコンとかの前で観ている人のことを想像して歌ったりしゃべったりしなきゃいけないから、どうやって気持ちを作ろうかなって。目の前にいるのがスタッフの人なんで。
-スタッフの人が応えてくれたりしたら面白いですけどね。
RIKITO:そこはもう淡々と、しっかり仕事してくださってますから(笑)。
CHISA:自分の顔をアップで抜いてくれたりするじゃないですか。そこにめちゃくちゃ表情を作ってあげたいんだけど、やっぱ恥ずかしいんですよ(苦笑)。これが大きいライヴとかで、画面があって、そこに映ってて、みたいな感じだったらまだわかるんです。でも、そういうわけでもないし。
HAL:カメラを持っていなかったら、その人は知らないおじさんだもんね。
CHISA:そうだね(笑)。そこにニコって笑うのもちょっと恥ずかしいなって。でも、そういうものを届けないと、ただ演奏だけしてますっていう配信だと無機質になっちゃうよなとも思っていたんで、そこが難しかったですね。
-SILHOUETTEのおふたりは、コロナ禍のライヴに対してどう感じています?
K.O.U:俺はもう今言われたようなことと同じ感じですよ。俺らで無観客をやりましたけど、気持ちの持っていき方をどうするかっていう。俺はドラムなんで後ろに引っ込んでるけど、特にヴォーカルとか、前にいる楽器隊は感じてただろうし。俺でもどうしようと思ったぐらいだったんで。有観客だと、声は出せないにしろ反応はあるから、それがなくてカメラとスタッフさんだけっていうのは、無理に気持ちを作っている感じがして。どんなふうに見えてるんだろうなとか、空回ってんじゃねぇかなっていうのは、やっぱり考えますね。そこは難しいことには難しかったですけど、いい経験かなと思いました。
SeshiroX:俺はカメラに向かってやることに恥ずかしさはあまりなかったし、向こう側で楽しんでくれている人がいるんだという意識はすごくあったんで、そういう意味では楽しくやれたんですよ。ただ、終わったあとの"で、なんだったんだっけ?"みたいな充実感のなさ(苦笑)。要はレスポンスがないから、あっちに誰かがいると思って思いっきりボールは投げるんだけど、スン......って終わるっていう。だから、終わったあとの虚しさみたいなものがキツいな......って。今はSNSとかYouTubeのコメントとかで反応があるからあれですけど、その反応もバーチャルだから実感がないんですよね、結局。だから、正直何度かやったうえで、"配信だけ"っていうのはあんまりやりたくないなって、今はちょっと思っちゃってますね。
-なるほど。
SeshiroX:ただ、他のメンバーといろいろ話し合っていたときに、レスポンスを求めるようなライヴは難しいけど、それこそテレビ番組みたいなものとか、MVを観てもらうような感覚でやる配信ライヴだったら、ちょっと面白いかもねって。この先そういうことがもしあれば、そういう方向はあるのかもなと思ったりはしますけどね。あとはバラードだけやるとか。
-ただライヴをするのではなく、何かしらのコンセプトを設けるという。
SeshiroX:映像体験としてちゃんと楽しんでもらうっていう感じですね。いろんなアーティストがそういう形の配信をやっていたと思うけど、そういう方向性はありだよねって。ただまぁ、普段と同じ形のライヴをカメラに向かってやるのはちょっと違うかなって感じです。
K.O.U:うん。そもそも状況が違うんだから、配信でライヴと同じものを求めないほうがいいと思うんですよね。配信はそれとしてっていう。
HAL:別物っていう。
-では、ACME側から聞いてみたいことはあります?
HAL:ケンカしたときとかどうしてます?
CHISA:大事だよね、そういうの。
HAL:言っても長いもんね? バンドを続ける秘訣みたいなのは気になる。俺らの場合は、ケンカになりそうなマジメな話をするときは、メンバー全員手を繋いで話すっていう。そうすると本気で言ってんだなと思うし、手を繋いでると手が出せないから。
-あぁ、殴り合いにならないという(笑)。
K.O.U:いわゆるパッと見てわかるケンカみたいなのはあんまりないかも。
SeshiroX:うん。俺らは4人中3人が九州男児なんですよ。で、その3人は付き合いが長くて、ギター(Kiyo)が入ってから4~5年ぐらいかな。で、彼も含めてわりかしお互い......ギターはすぐ言っちゃうタイプか(笑)。俺とか他のメンバーは先回りするタイプというか、こう言ったらこう言うだろうなっていうのを考えるタイプなんで、あんまり言い合いみたいな感じにはならなくて。だから、"なんだよあいつ"って鬱憤が溜まることもあると思うんで、そこはみんなでシェアするっていうのは一応やってますけど。でも、解決はしてないんじゃないですかね(笑)。
ACME:(笑)
K.O.U:あと、言う前に考えます。今は言わないほうがいいんじゃないかなって。でもまぁ、そうなると溜まってきますよね(笑)。
SeshiroX:溜めがちなバンドかもしれない。
HAL:ウチは、"これが20代前半だったらうまくいかなかったね"ってメンバーと話したりするんですよ。全員個性の塊みたいなメンバーだから、白か黒かじゃないっていうか。永遠に赤っていう人もいるし。それもうまいことできてんのかな......どうだろう。急に誰かに"リハのあと、ちょっと時間ある?"って言われて、これ完全にやめるやつやんみたいな。
一同:ははははははは(笑)。
HAL:音楽性的にどうこうってことはないけど、バンドってやっぱり結局は人なのかなって思いますね。ジャンルとかも関係ないし、誰と一緒にやりたいかっていうのが一番大事な気がする。言ってもコロナ禍ってやっぱりピンチじゃないですか。こういうときだからこそ、よりそう思うし、今のところまだやっているし。(SILHOUETTEは)もうどれぐらいなの?
SeshiroX:(活動を本格化させてから)11~12年ぐらい。
HAL:ARTEMAが生きていたらちょっと先輩ぐらいか。まぁ、俺らが10年迎えられるかどうかはちょっとわからないけど。
-いやいや、迎えにいきましょうよ。20代前半だったらうまくいかなかったというお話がありましたけど、長い間一緒にいることで、人となりがわかっているから、"まぁ、あいつはそういうやつだよね"って許せるというか、そう思えることもあったりするんですか?
K.O.U:俺はそういうのあんまないすけどね。腹立ちます(笑)。でも、腹は立つけど、だからといって辞めろとかそういう話じゃなくて、普通に腹が立つっていう。
-そういうときもあるってことですよね。
SeshiroX:腹は立つけど、言ってもしょうがないときは言わないし、言ったほうがいいと思ったら言うし。でもやっぱり、俺はこいつ(K.O.U)とどっちがって言われたら、俺は諦めが早いほう(笑)。やっぱ長いとわかっちゃうところがあるんで。それはありますね。
-そろそろお時間となってきましたので、最後に意気込みをいただければと思います。ACMEはホストとして今回のイベントでどんなステージをしたいですか?
RIKITO:僕らとしてはアメリカから帰ってきて1発目の主催ライヴになるんですよ。
CHISA:1発目で、8月の日本でのライヴはこれが唯一なんで。
SeshiroX:いつ帰ってくるんですか?
将吾:(8月)2日です。
SeshiroX:いいなぁ。
CHISA:今よりもちょっとでもパワーアップして帰って来れたらと思ってますけど。
HAL:かぶれてるかもしれないですけどね、アメリカに。
CHISA:もしくはみんなちょっと太って帰ってきたりとか。
HAL:それは絶対ある!
将吾:階級が1個ぐらい上がって帰ってくる。
CHISA:バグるんですよ、ご飯の量が多いんで。
SeshiroX:羨ましい。僕らも海外好きなんで。
-以前ドイツとかに行かれてましたよね。
SeshiroX:そうですね。本当に少しだけ経験はあるんですけど、ライヴでアメリカとか行ってみたいですよね。レコーディングで行ったことはあるんですけど。
将吾:逆に羨ましい。
RIKITO:だからこそ、下手なライヴはできないですね。"そんなもんでアメリカ行けるんだ?"って思われたら、ねぇ?
将吾:それは恥ずかしい!
RIKITO:"これぐらいやってるからアメリカでツアーをやってるんだ"って思ってもらえるように......。
将吾:さっきから自分でめちゃくちゃハードル上げるやん(笑)。
SeshiroX:たしかに(笑)。
RIKITO:自分で追い込んでるから(笑)。
HAL:でも、アメリカに行ったあとに毎回陥ることがあって。去年もアメリカに行ったんですけど、向こうはマスクをしてはいるけど声は出せるんですよ。
将吾:モッシュもできるしね。
HAL:そう。しかも日本人より声がめちゃくちゃデカくて、ひとつひとつのジェスチャーに"フゥー!"って言ってくれるみたいな。だからもう、SEが鳴った瞬間に歓声が聞こえてきて、"売れたなー!"って。
ACME:(笑)
SeshiroX:それはなるね(笑)、絶対になる。
HAL:そういうライヴをやってきて、日本に帰ってきて、SEが流れたときに、"あれ......何も聴こえないな......あ、声出せないのか"って縮こまっちゃってる危険もあります。"あれ? つまんない......ですか?"みたいな。そういう僕たちを見てほしいですね。
-いやいや(苦笑)。SILHOUETTEのおふたりはいかがでしょうか。
SeshiroX:この組み合わせもこれで2回目なので、前回観てくれたお客さんも多いでしょうし、そこが楽しみですよね。そのときに良かったと思ってくれた人はもっと近づいてくれるだろうし、新しく観てくれる人もいるだろうし、前回"うーん......"ってなった人もいると思うんですけど、我々も今ツアー("BECAUSE OF YOU TOUR 2022")を回っていて(※取材は6月下旬)、新曲もいっぱいあるんで、そういうのを当てていきたいし。だから3度ぐらい美味しいなと思って楽しめたらいいんじゃないかなって。
K.O.U:さっきツーマンで絆が深まって、仲良くできるのが嬉しいって言いましたけど、僕はやっぱり対バンって、俺らのほうがカッコいいぞっていうのを見せる場でもあると思うんで、ACMEがアメリカから帰ってきてすげぇライヴをするのが楽しみだし、俺らも今回のツアーで少しは成長できたかなと思っているので、負けないぐらいのいいライヴをしたいなと考えています。
LIVE INFORMATION
"ACME 主催イベント「ザ・ラストワンショー 2022・シーズン3 再びACME汁祭り supported by 激ロック"
8月21日(日)shibuya CYCLONE
OPEN 17:30 / START 18:00
出演:ACME / SILHOUETTE FROM THE SKYLIT
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