DISC REVIEW
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新境地到達。現世のカオスな闇を轟音で体現し、もともとラウド・チューンを得意とするACMEとしてもより先鋭的な音を集約した「ウルフヘズナル」。愛と慈しみに溢れた歌詞を、柔らかでノスタルジーを漂わせたチルみ満載のバラードとして響かせている「黄昏」。これらはかなり対照的な2曲となるが、いずれにしてもACMEとしては"まだ開けたことのなかった引き出しを開けた"ことで、この2曲が生まれることになったのだという。また、今作は8月25日にTOWER RECORDS渋谷店 9階屋上 野外イベントスペースでフリー・ライヴを開催することを念頭に作ったものでもあるとのこと。真夏の野外に放たれる激音は大層に乙であろうし、夕暮れ時に聴く美旋律のエモさもまた格別なはず。2023年、日本の夏を締めくくるのはACMEのこの一撃だ。 杉江 由紀