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INTERVIEW

ACME

2025.11.14UPDATE

2025年11月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

ヤバくて激熱なパーティー・ロック・チューン、ここに爆誕。ACMEが宴会シーズンに向けて放つシングル「Y.A.B.A!」は、痛快なハジけ方とキレキレな轟音ぶりを両立させた逸品だ。しかも、マスタリング・エンジニアはAC/DC、KISS、METALLICA、SLIPKNOT等を手掛けるTed Jensen。加えて、Music Bar ROCKAHOLIC-Shinjuku-や海外ツアー先でのハプニングをリアルに描いた笑える歌詞もやたらとクオリティが高い。Let's party with ACME!

-驚きました。ACMEの最新シングル「Y.A.B.A!」(読み:ワイエービーエー)は、2024年5月に発表された4thアルバム『PARTY METAL ANTHEM』よりもさらに"PARTY"していませんか(笑)。

CHISA:たしかに(笑)。前回のシングル「Modern day witch hunt」(2025年4月リリース)が結構シリアスな内容だったのもあって、それとのギャップもあるからよりそう感じるのかもですね。

RIKITO:それに、原曲は別に"PARTY"してたわけじゃなくて、僕は純粋に"この曲すごくいいな!"っていう印象だったんですよ。だから、まさかここまでパーティー感の出た曲になるとは思ってませんでした。特に歌詞の内容を見てびっくりしましたもん。パーティーというかパーというかパッパラパー(笑)。

HAL:でも、パーティー感があるとは言ってもこういう経験ってわりと誰でもあるんじゃないですかね。つい飲みすぎちゃって終電、なんて身近な話だと思いますよ?

将吾:うん、全然あるね。

-なおかつ、「Y.A.B.A!」はハジけた詞の内容もさることながら、展開も多くサウンド面でもアゲアゲ且つ爆盛りな仕上がりです。よくここまでいろいろ詰め込みましたね。

HAL:僕がデモを作った段階だと、実はこの完成形の中で言うサビはなかったんですよ。

CHISA:最初は完成形のBメロがサビっぽい役割になってたよね。

将吾:あと、ラップの部分も初めのうちはなかったと思う。

CHISA:全体的に当初はもう少し洋楽チックだったし。

HAL:そうそう。だけど、やっぱりサビらしいサビがあったほうがいいなと思って付け足してこの形になりました。というかね、もともと僕はちょっと勘違いしてたんです。この曲は「Modern day witch hunt」のときに一緒に入れるもんだと思って作り出してたから、"どうせカップリングだしな"ってちょっと適当にやってたんですよ。

将吾:適当とかどうせって言うと言葉がちょっとアレだけど(笑)、あんまり狙わないで自由に作ってたってことでしょ?

HAL:そういうこと。細かいこと考えずにノリで行っちゃえ! みたいな。

将吾:それにサビとかラップを足していったことで、曲としてはもっと分かりやすくなったよね。キャッチーになったと思います。

-それだけ場面転換が多いこともあり、この「Y.A.B.A!」ではCHISAさんのヴォーカリゼイションも多岐にわたっている印象です。

CHISA:歌うのはちょっと大変でしたね(笑)。どう歌っていけばいいか、というのを原曲を作ったHALさんに相談しながら試行錯誤しつつレコーディングしていった感じです。

HAL:まぁ、難しいタイプの曲だとは思うんですよ。それでも、CHISAは必ずレコーディングで想像を超えて来てくれるんで。唯一、僕が譲れなかったポイントはサビの最初の"アーイ/すいません"のところくらいです(笑)。最初は"すみません"って歌ってたんだけど、そこは"すいません"にしてって。

将吾:"すいません"のほうが赤い服が見えてくる感じになるもんね。

-お笑い芸人 ですよ。の"あーいとぅいまてーん"を意識されたということですか?

HAL:ニュアンス的にその雰囲気を入れたかったんですよ(笑)。

CHISA:逆に僕から提案したところもあって、"瀬戸際 never give up"のあたりはファルセットを使って流れるように歌う感じでいいよってHALさんは言ってたんだけど、熱く歌ったほうが面白いんじゃないかな? と思ってそこは変えて歌いました。

-歌の雰囲気も詞の内容も「Y.A.B.A!」は本当に楽しい仕上がりで、ここに来ての突き抜け感は実に痛快です。

CHISA:タイミング的に言うと、この曲は『PARTY METAL ANTHEM』を作り終わった後に「Modern day witch hunt」と同じ時期にできたものでしたからね。当時のHALさんは"普通に激しい感じなのは、もうしばらくいいかなぁ"って言ってて、そこからポップ寄りな方向に進化したのがこの曲だったんだと思います。

-ただ、「Y.A.B.A!」の音像そのものを取り沙汰すると歪み方や尖り方は相変わらずというか、特にギターの音はいい意味でかなりエグいですね。ちなみに、将吾さんは前作「Modern day witch hunt」についてのインタビュー(※2025年5月号掲載)にて"重たい音楽の中でも、やっぱり「これが新しいよね」っていう部分は絶対入れたい"と語っていらっしゃいましたが、今回もそうした部分は意識されていたことになりますか。

将吾:レコーディング時期そのものは「Modern day witch hunt」と一緒でしたけど、その時点で何ヶ月か先を予想して作ってはいました。

-さすがです。未来予測まですることができるだなんて。

将吾:一応キー設定とか、ブレイクダウンの位置とかね。途中にちょっと変な転調を入れてるのも、自分なりに先を見越してやったところなんですよ。

CHISA:今その答え合わせしてみて、どう?

将吾:これが本当に正解だったかどうかはよく分かんないけど、でも思ってたより現実のほうは進んでなかった。まだ俺たちには、追い付かれてはいないと思う。

HAL:そっかー。「Y.A.B.A!」は未来にいるんだね(笑)。

-では、HALさんがドラマーとして「Y.A.B.A!」のレコーディングで重視されていたのはどのようなことでしたか。

HAL:やっぱり、これはパーティー・ソングなんでね。四つ打ち感は強く出したかったです。なので、普通に録ったドラムの音にプラスしてサンプリングしたキックの音も鳴らしてるんですよ。エンジニアさんにも、四つ打ち感を出してくださいってお願いしました。それも、僕が意識してたのはいわゆるEDMとかの四つ打ちではなくて、日本のアニソン的な四つ打ちですね。そういう感覚の曲にしたかったんで、詞もここんとこ英詞が多かったけどあえて日本語にしたんですよ。

-日本のアニソンを意識されることになったきっかけはなんだったのでしょうか。

HAL:今って、インバウンドの観光客がめちゃくちゃたくさん日本に来てるじゃないですか。ちょっと前までは"洋楽っぽいものを作りたい"みたいなことをいろいろ考えてたけど、この状況をよくよく考えたら"向こうが日本に注目してるってことは、日本らしい部分に特化してみてもいいのでは?"って思ったんですよ。

将吾:イントロのリフからして日本っぽいもんね。

-そうしたなかにあって、ベーシストとしてのRIKITOさんは「Y.A.B.A!」でどのようなプレイをしていきたいとお考えでしたか。

RIKITO:それこそ、イントロのところは普通に指で弾くのではなくスラップでやってますね。これはHALさんの要望に応えた形です。

HAL:この曲って全体的に音数がすごく多いんですけど、僕としてはベースにもそことケンカしてもらいたかったんですよ。"バチバチに得意なのブチかましちゃってください!"っていうことで(笑)。

RIKITO:いつもは、ついやりすぎちゃって引き算しなきゃいけなくなるケースが多いんですけどねぇ。この曲は足して、足してっていう感じで普段とは逆でした。

-しかも、ブレイクダウンの後にはベース・ソロも入っていますものね。

RIKITO:はい、目立ちたがり屋なところが出ちゃってます(笑)。

将吾:あれは半ば無理やり"入れろ!"みたいな感じになってたよね? "そこは見せ場だから"って。

RIKITO:いつもだったら、ああいうことやると"いらない"って言われるのにー。

将吾:俺もそれ、よく言うな(笑)。

HAL:RIKITOは歌がピンのところでも"俺が、俺が"ってなりがちなんでね。ヴォーカルに集中させないみたいな。

RIKITO:なんか、すぐ歌メロを追い掛けたくなっちゃうんですよ。

HAL:この曲ではそういうところが上手く活きたと思います。

-結局、打ち込み要素も含めると「Y.A.B.A!」に詰め込まれている音数と情報量はかなり多いですよね。これらを一曲としてパッケージしていくのは至難の業だったのでは?

RIKITO:ミックス・エンジニアは頭抱えてましたね(笑)。

HAL:どの場面でどの音を出すか、っていう切り替えとか分け方は僕もすごい考えました。絶対エンジニアさんは大変だろうなと思ったんで、今回はレコーディング前にちゃんとお手紙を出したんですよ。指示書っぽいものをね。

-そして、今回もマスタリングはTed Jensenに依頼されたとのことで。つくづく、この音の分離の良さは驚異的に素晴らしいなと感じました。

HAL:そうなんですよ! テッちゃん(Ted)、ほんとすごいんです。

RIKITO:2回目にして早くもテッちゃん呼ばわり(笑)。

CHISA:あははは(笑)。

HAL:いやほんと、またいいものができちゃいました。今までのACMEを知ってる人は"ここでこれが来るか!"ってなるだろうし、知らない人たちが聴いても「Y.A.B.A!」は直感的に"かっけーな!"ってなる曲に仕上がったと思います。

-「Y.A.B.A!」はまさにヤバいクオリティの一曲となったわけですね。ということで、ここからは歌詞の詳細についてもお話しいただければと思います。

CHISA:正直、僕は仮歌段階の歌詞だけを見たときは"マジか......"って思いました。だって、さっきHALさんが"インバウンドの人たちが~"みたいに言ってたけど、この内容を海外の人たちに説明するのめちゃくちゃムズいよなと(笑)。でも、今はそこがむしろ日本っぽくていいのかなとも思ったりはしてますね。