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INTERVIEW

ACME

2024.05.14UPDATE

2024年05月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

"理想の世界"はここにある。2023年のシングル「洗 脳」以降に発表してきた「ウルフヘズナル」「黄昏」、「STAND UP」、そして最新シングル曲「百色輪廻」および、インパクト充分の表題曲を詰め込んだACMEの4thアルバム『PARTY METAL ANTHEM』で、ACMEはいよいよバンドとしての領域を拡大化してみせたと言えるだろう。新譜にしてベスト盤のような風格とボリューム感を醸し出す充実の内容は、そのまま彼ら自身の盤石な状態を表しているはずだ。リリース後から始まる"ACME 7th Anniversary ONE-MAN Live Tour 2024 -Burning soul till die-"でも、ACMEの真髄が発揮されていくに違いない。

-ACMEの4thアルバム『PARTY METAL ANTHEM』は、このタイトルやジャケ写のデザインも含めて"メタル感"を打ち出した作品へと仕上がりました。この方向性は制作を開始した当初から意識されていたものだったのでしょうか? それとも、制作過程の中から生まれてきたものだったのでしょうか?

HAL:これは自分だけかもしれないけど、そもそもACMEはメタル・バンドだと思っていますからね。どっちかって言ったら、やっぱり"PARTY ENKA ANTHEM"よりは"PARTY METAL ANTHEM"のほうが似合うんじゃないかなと(笑)。

-そこは間違いなく"PARTY METAL ANTHEM"のほうが似合いますね(笑)。そして、このアルバムには3曲目に表題曲「PARTY METAL ANTHEM」が収録されておりますが、こちらの楽曲はいつ、どのようにして生まれたものだったのでしょうか。

RIKITO:原曲はHALさんで、できたのはこのアルバムの中では一番最後だったよね?

HAL:いつ頃できたかというと、去年10月頃に槍ヶ岳という山を登ってるときにこの曲のことを考えてたんですよ。イメージとしては、ライヴのときにみんなで思いっきりワイワイ騒げるような曲にしたいなというのがまず頭の中にあって、最初の仮タイトルは槍ヶ岳からとった"YARI"だったんです。

-このアルバムにも収録されている既発シングル曲「黄昏」は、たしか仮タイトルが"筑波"(※2023年8月号掲載)だった記憶が......(笑)。

HAL:そうそう。あれは去年の初登山で、本当なら筑波山から初日の出を見るはずだったんですけど、残念ながら曇ってて見えなかったんですよ。それで、帰ってきてから想像で初日の出を思い描きながら作った曲でした(笑)。

-今回の場合、まだ「YARI」段階だった表題曲「PARTY METAL ANTHEM」を最初に聴いたとき、将吾さんはどのような印象を受けられましたか。

将吾:なんか、懐かしい雰囲気みたいなのを感じたかな。懐かしすぎる気もしたんで、もう少し新しめな要素も入れたいっていう話はそのときにしたんですよ。あと、チューニング的にもっと重たい感じで行くのかなと勝手に思ってたところがあったんですけど、実際は重さよりも激しさのほうに行く感じになってたんで、だったらそこにもっと寄っていこうかなとは考えてました。

RIKITO:HALさんも言ってた通り、僕もライヴで盛り上がる"これぞ!"という曲が欲しかったんで、この曲が出てきたときはまさにそういうタイプの曲調だなっていうことは感じました。ただ、正直これがリード曲か? って言ったら"もうちょっとなんか欲しいな"って思ったのは事実ですね。

HAL:ほんと、この曲は最初のうちは誰も"いいね"とか言ってくれなくて(苦笑)。一応、RIKITO君だけ"ライヴで盛り上がりそうでいいね"とは言ってくれてたんですけど。

RIKITO:でもHALさんのことだから、絶対ここからなんとかするんだろうなとは思ってましたよ。リードって言うからにはMVも撮ることになるわけですし、そうなったときにどういうふうに仕上がるのかな? っていうことも僕は考えてましたけどね。

将吾:俺は"もっとリード曲っぽくして!"って頼みました(笑)。

CHISA:この完成したアルバムを聴いてもらうと一番わかりやすいんですけど、今回はとにかく他の曲たちの存在感がすごいんですよ。強い曲たちばっかりが揃ってるから、それに敵う曲って考えたときによりシビアだったというか、リード曲に対して求めるレベルが相当高くなったっていうのはあったと思います。

-なるほど。たしかに今作には2023年のシングル「洗 脳」や、それ以降に発表してきた「ウルフヘズナル」、「黄昏」、「STAND UP」、そして最新シングル曲「百色輪廻」までもが収録されていますので、半ばベスト盤かのような風情がありますものね。

CHISA:そうなんですよ。思っていた以上に超えるべきハードルが高くなってしまったんで、今回の選曲基準はほんとにキツくなっちゃいました。

-もちろん、完成形となった「PARTY METAL ANTHEM」はACMEにとって最新にして最強の武器たるものに仕上がっているわけですが、ここに導いていくためにはどのようなテコ入れをしていくことになられたのでしょうか。

HAL:短くしたり、ウワモノを足したり、音色を足したり、新しく展開する部分を作ったり。曲中でテンポやキーの変わる場面を作ったりしました。

将吾:ほぼ8~9割くらいまでHALさんが完成に近づけてくれたんですよ。

RIKITO:ベースに関しては、HALさんに"指弾きかピック弾きか、どっちがいい?"って聞いたら"指弾きです"って言われたんで、その通りに弾いてメンバーにも音を送ったんですけど、気がついたらミックスの日になってました。音を送ったはいいけど誰からも何も言われてなかったから、僕自身はOKなのかどうかもわかってなかったんですよ(笑)。

-便りがないのは良い知らせ、というやつですかね。

HAL:聴いて納得してたんで、特に何も言わなかっただけです(笑)。

-将吾さんが「PARTY METAL ANTHEM」に対してテコ入れされたのは、どのようなところでした?

将吾:まずは、もともとあったリフを少し変えましたね。

HAL:ギターを弾きながら曲を作ってないんで。人間が弾けるかを考えて作ってないから、実際に弾いてみてどうかはギタリストに委ねてるんですよ。

将吾:でも、さっきも言ったけど8割とか9割までできあがった状態で来ますからね。同期やシンセも最近は作曲者が入れることが多くなってるんで、作業的には楽でした。

-「PARTY METAL ANTHEM」は、聴いていると"この場面では、オーディエンスのみんながサークル・モッシュしそう"と感じるようなところもあるのですが、この躍動感を実現するためにギターの音作りで考慮されたことは何かありましたか?

将吾:今までレコーディングで使ってないギターを使ってみました。厚みのある音とか、攻撃的な音を出すのに向いてるのを新しく買ったんですよ。すごくいい音が出るんですけど、でも値段は自分が持ってるギターの中で一番安いんですよね。普段使ってるのとは、0の数が完全に1個違うんですよ(笑)。

-高いギターほどいい音が出る、ということでもないのですね。

将吾:自分もびっくりしました。今のところACMEでメインに使う予定はなくて、別のほうではよく使ってるんですけど、この「PARTY METAL ANTHEM」との相性が特に良かったんだと思います。

-「PARTY METAL ANTHEM」の音がそうやって完成へと近づいていった一方、こちらは歌詞もHALさんが書かれていらっしゃいますよね。詞を日本語と英語が入り交じった形にされたのは、曲調を鑑みてのことだったのでしょうか。

HAL:もちろん。メロディを聴いて、音の響きを考えながらこういうふうにしました。

CHISA:この曲の歌詞は、僕も結構"ここはこう変えたい"、"こっちはこうして"っていろいろ言ったんですよ。スケジュール的に、3月末にハワイ遠征する前日までには歌録りをしようという話になってたし、時間はだいぶカツカツだったんで、HALさんからしてみると"詞を変えてほしい"っていうのは大変な注文だろうなとは思いつつ、HALさんのことは信頼してますからね。結果的に、僕の納得がいくまでじっくり付き合ってもらえました。要は、ツッコミどころをなるべく少なくしたかったんですよ。

-しかしですよ。ツッコミどころという意味で言えば、詞の中に出てくる"言いたいことも言えないこんな世の中/No way out"というくだりは、それこそツッコミどころそのものではありませんか(笑)。

HAL:え? なんかツッコむところなんてありますか?? めっちゃ斬新な歌詞を思いついたなって、我ながら素晴らしいと思ってるんですけど(笑)。

RIKITO:そのあと" 毒も吐けずに~"ってさらに続きますしね(笑)。

CHISA:さすがに、そのへんは僕もちょっと悩みました(苦笑)。

将吾:あはは(笑)。

-アレのオマージュであるのはわかるとして、それをACMEが今の時代にやるという点にはインパクトを感じましたよ。

CHISA:そこは悩んだけど、逆に意地でも変えずにちゃんと乗りこなしてやろう! って思ったんです。

-その姿勢、素敵です。しかも、そのくだりは文脈から行くと実に真っ当でもあるのですよね。ある種のパロディではありながら、詞の意味合いとしてはしっかりとした筋が通っているところに、ACMEの粋な姿勢を感じます。

CHISA:たぶん、聴く人によって聴こえ方が変わる歌詞ではありますよね。

HAL:冬の八ヶ岳で雪道を歩いてたときに、もうあの部分のメロディは頭の中に思い浮かんでたんですよ。で、独り言みたいにいろいろ言葉をつぶやきながら歩いてたら、ふと"言いたいことも言えない~"って出てきて、"......これや!"と(笑)

-もっとも、これだけ英語と日本語が入り交じっていると歌う側としてはスイッチングの面で難しそうですよね。ましてや、CHISAさんの英語詞歌唱はガチ英語ですし。

CHISA:難しいですし、録りには時間もかかります。でも、ありがたいことにACMEはアメリカとか英語圏にもファンがいるバンドなので、その人たちに笑われちゃうような歌は作品として出せませんからね。そこはちゃんとしないとな、っていうプレッシャーも感じながらのレコーディングではありました。

HAL:レコーディングで歌ってるのを見てて、ほんと"よくできるな"って思いましたもん。すごいですよねぇ。

CHISA:特に「PARTY METAL ANTHEM」は譜割りも細かいし、歌詞も詰まってて早口言葉みたいだから超キツかったです(笑)。不安とか迷いがあると歌えなくなっちゃいそうで、自分自身に"できるから大丈夫!"って思い込ませながらやってましたよ。