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INTERVIEW

ACME

2023.08.16UPDATE

2023年08月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

タダ乗りという言葉はいい意味で使われないことも多いが、この際ばかりはACMEの大盤振る舞いにタダ乗りするのが得策であろう。来たる8月25日にTOWER RECORDS渋谷店 9階屋上 野外イベントスペースにてフリー・ライヴ"ACME FREE LIVE !!!"を決行することになったACMEが、その晴れ舞台に向けての音源として発表するのはニュー・シングルとなる『ウルフヘズナル / 黄昏』。ギタリスト 将吾いわく、今作は"真夏にタワレコ(TOWER RECORDS)の屋上でやって最高に映える曲たち"の揃った両A面シングルとなり、洗練された激音の炸裂する「ウルフヘズナル」も、一転してのチルみに溢れたバラード「黄昏」も、それぞれに秀逸なことしきり。ACMEの躍動する夏はここからが本番だ!


実際の音作りをどうやったかという手法については秘密。マネされたら困る(笑)


-ACMEは8月25日にTOWER RECORDS渋谷店 9階屋上 野外イベントスペースにてフリー・ライヴ"ACME FREE LIVE !!!"を開催することになっておりますが、8月16日には2023年第2弾音源となるニュー・シングル『ウルフヘズナル / 黄昏』が発表されることになりました。なんでも、今作はバンド史上初の両A面シングルになるのだとか。

CHISA:今回「ウルフヘズナル」と「黄昏」の2曲を両A面シングルとして出すことにしたのは、まさにそのフリー・ライヴありきで考えたことなんですよ。夏の野外で、しかも渋谷のド真ん中っていうシチュエーションのなか、派手に「ウルフヘズナル」みたいな曲をバーン! ってやるのは絶対に楽しいだろうと思いますからね(笑)。そして、ちょっと陽が落ちてきたくらいのタイミングでこれまた夏に似合うバラードの「黄昏」をやるのも間違いなく気持ちいいだろうなと予想しているので、この2曲を同時に出すことは今のACMEにとって必要なことだったんです。

-なるほど。それにしても、この「ウルフヘズナル」と「黄昏」は極端なほどにサウンドのカラーがまったく違う仕上がりとなっていて、この振り幅はすごいですね。

CHISA:今や何をもって"両A面"とするのかはちょっと難しいところですけど、とにかく曲調は違っても2曲とも同じくらいの熱量で作った曲だからっていうのはあったし、もっと言えば候補曲は他にもあって、実を言うとバンド内では"アルバムを作ってもいいんじゃない?"って雰囲気になってたくらいなんですよ。ただ、今回の場合はフリー・ライヴのこともあるし、対照的な2曲に絞ってシングルを出すことにしました。

-「ウルフヘズナル」の原曲を作られたのは将吾さんだったそうですが、この曲を仕上げていくうえでのテーマやコンセプトはどのようなものだったのでしょうか。

将吾:イントロと他の部分ではギターのチューニングを1オクターブ変えよう、というのがまずはありました。

-ACMEはもともとヘヴィなサウンドを出すのが得意なバンドではありますが、この「ウルフヘズナル」ではよりそこに特化していこうとされたわけですね。音圧も高くて歪んでもいるのに、不思議なクリア感がある音像がとても魅力的です。

将吾:そうなんですよ。まさにそう聴こえるように音を作ってます。普通のドロップCより1オクターブ下ですけど、それでも各パートが何やってるかはちゃんと"聴こえる"ようにしてありますから。でも、実際の音作りをどうやったかという手法については秘密です。マネされたら困るんで(笑)。

-それにしても、これだけヘヴィであるにもかかわらずクリアな音像になっているということは、レコーディング時のプレイではかなりのシビアさが問われそうですね。

将吾:弾くときはちょっとピッチに気をつけるだけですかね。レコーディングのときは6弦に8弦を張ってるんで、どうしても弾いてるとシャープしやすいんですよ。ただ、それも慣れれば問題ないですね。

HAL:まぁ、ちょっと余談的な話をするとですね。いい音を作るための方法とか、楽器をより良く鳴らすための方法って実は結構いろいろあって、ドラムもシンバルの音がギラギラしすぎてるときなんかは、土に埋めてから使うっていうやり方もあるんですよ。

-シンバルを土に埋める!? どこの土がいいとかあるのですか??

HAL:人ん家の庭以外だったらたぶんどこでも大丈夫です(笑)。

RIKITO:土の成分とかはなんでもいいみたいですけど、さらさらした砂じゃなくて湿気のある土がいいらしいですね。

-水分が必要なら、霧吹きで水を吹きかけるのでもいいような気が...

CHISA:いや。僕、大学のときに金属工芸やってたんですけど、シンバルの素材って真鍮だと思うんですよね。真鍮は濡らすと錆びやすいんで、おそらく土に埋めるくらいの湿気がちょうどいいんだと思います。

HAL:要するに、シンバルもギターの弦も金属じゃないですか。さっき将吾君の言ってた秘密っていう言葉の中には、スタジオの中でできるようなこと以外の企業秘密も何か含まれてる可能性があるかもしれないですね、っていう話をしたかったんです(笑)。

-ギター弦の素材となると、ニッケルやステンレスが多いはずですけれども......。

将吾:とりあえず、これ以上のことはもう言えません(笑)。

-いやはや。話が予想外の展開を見せておりますが、ことベースの音作りに関して言うと「ウルフヘズナル」の中でRIKITOさんが重視されたのはどのようなことでしたか。

RIKITO:僕の音は基本的にミックス・エンジニアに全部おまかせです。

将吾:ギターの音を1オクターブ下げると、チューニング的にはベースと一緒になるんですよ。この「ウルフヘズナル」に関してはそこが大きな特徴だったよね。

RIKITO:でも、ベースの音域はそこまで下げないんです。確かに、ギターがオクターブ下のCまで来るっていうのは僕としても未知の領域でしたけど、なんか"やってんなぁ......!"って感じで面白かった(笑)。

将吾:実際、別に大丈夫だったしね。チューニングは一緒でも音は違うから。

HAL:そうそう。音程は一緒でも音色が違うから、ちゃんと棲み分けはできてる。

RIKITO:あと、今回は普段ライヴで使ってる機材をそのままレコーディングで使いました。いつもはレコーディング用の機材を使うんですけど、この曲にはこっちのほうが似合ってるかなと思ったんですよ。フレージングに関してはローになるほどシンプルになっていくし、そのぶん1音ずつに対するこだわりが強くなってきた感触もありますね。低くなればなるほど、いっぱい弾いてもわかんないんで(笑)。

将吾:ベースは低いとこでいっぱい弾くと、むしろ軽く聴こえちゃうしね。

RIKITO:いやほんとに。低い曲の場合は音の長さで重さを出す感じになるんです。

-HALさんの場合も、この「ウルフヘズナル」では重さを重視しながらのプレイを意識されていたのでしょうか。

HAL:僕はいつもと変わらず、ACMEらしいカッチリ&くっきりしたヘヴィ・ロックのスタイルでやっていきました。それと、僕自身は土に埋めたシンバルの音ってあんまり好きじゃないんで別に使ってません。なんならギラギラした音のほうが好きです(笑)。

RIKITO:やってないんかい! いかにも"やってます"なテイで熱弁してたのに(笑)。

HAL:僕はそういうケースもありますよ、っていう例え話をしただけでーす!