INTERVIEW
10-FEET
2012.09.06UPDATE
2012年09月号掲載
Member:TAKUMA (Vo/Gt) NAOKI (Ba/Vo) KOUICHI (Dr/Cho)
Interviewer:ムラオカ
-この曲はTAKUMAさんの歌い方に肩に力が入っていないというか、いつもとは異なる雰囲気の歌い方だと感じました。それはこの映画を見て、いつもとは異なった表現、歌い方をしようということがあったのでしょうか?
T:あまり考えてなかったんですよね。きっといつも通りやろうとしてたんですけど、振り返ってみると、表情を変えへんまま言葉を羅列していくようなイメージはあるかもしれないです。少しだけサビでそういう思い、表情がこぼれるというか。この曲は今までになかった感じで、やっていてすごく楽しい曲ですね。
-先ほど「シガードッグ」の話が出ましたけれども、「蜃気楼」もそうですが、アルバムの真ん中に入っているじゃないですか。マイナーコードですごくエモーショナルでこの作品の鮮やかさというか、振り幅の広さという意味での片側の曲を「シガードッグ」は象徴しているなと思いました。
T:激しいロックやアップ・テンポなもの、テンションが高いものが僕は好きでバンドを始めて、そんなんばっかりしてきた中で共通しているのは、3人とも歌モノ、昔の歌謡曲が好きなんですね。だから文字通り歌モノは好きなんですが、今まで音源の中にこれぐらいゆっくり演奏して歌うというのはちょくちょくはやってたんですが、あまりなかったんですよね。そういう楽曲の表現力に関しては成長が遅かったと思うし、そこに対する知識もあまりなかったと思うんですけど、最近やっとそういうのが少しずつ少しずつ追い付いてきて、前まではこういう曲をやるのが難しかったり、楽しむ余裕がないぐらいちゃんとやらなきゃと思ってたんです。だけどこの曲を作ってみて、そういう曲も考え込んだり意識し過ぎずにスッと楽しめるようになって来てたので、いい機会やなと思ってそういう曲をずっと作ってましたね。いつものパターンだと、こういう曲ってアルバムの最後の曲になっていたんですけど、今回はアルバムの真ん中に来ても違和感がないような形になっていると思います。最近のライヴでは、静と動の中の静で、大事な要素になっているので、アルバムでもそういう表現がしたいという思いがありました。アルバムの後半で聴けば聴くほどゆっくりな曲に聴こえてくるので、この曲順で聴いてもらうことで、意外にもロックして聴こえるのですごく良かったなと思ってます。
-今までリズム隊としてどちらかというと走る曲が多かったわけじゃないですか。シンプルな「シガードッグ」のような曲だとひとつの挑戦だったと思うんですが、やってみて考えさせられたこと、苦労したことがあれば教えてください。
K:身体が速い曲をやり慣れているから、結構難しかったですね。ライヴでもやっているんですけど、この曲は速くなったらあかん曲だと思うんですよね。
T:早くなったら全然あかんもんな。全然おもんないし、格好悪いし。そんなん気にするようになったん初ちゃう?今までだったら"もっとスピード上げようや!"っていうことが多かったもんな。
K:この曲はやっていて新鮮で楽しいです。
N:アレンジの時にベース・ラインを考えているときも、メロディは最初にあったので、その曲の雰囲気をより膨らませるベース・フレーズというのを意識して作っていました。
-NANO-MUGEN FES.2012への出演時の反応がすごく良かったと聞いているんですが、今作を聴いてNANO-MUGEN FESに出演したということが妙にしっくりきたんです。いわゆるパンク・ロックとかミクスチャー、ラウドロック・シーンをメインで活動しつつ大きいフェスであればいろんなバンドが出てますけども、NANO-MUGEN FESはアジカンさんがやっているということもありまた違うと思うんです。そういう意味で今までより大きい枠でパンク・ロックの10-FEET、ラウドロックの10-FEETではなく、もっと広くロック、音楽を表現していきたいという気持ちの現われなのかなと、このアルバムを聴いて感じました。
T:割と今まで通りに作っていましたね。
-気持ちとしては特にこういう作品にしようということではなく、自然体で?
T:そうですね。
-でもできてみたら違うものになりましたよね。やっぱり人間としての成長とか、色々な世の中のことが積み重なって、そういう影響があってこういう作品になったんでしょうか?
T:思うままにすっとやればいいんだということが、一時的にかもしれないですけど、少しだけ許容範囲が広がったのかもしれませんね。あとはこれをガッと通して、この曲目を見ると10-FEETが最近ライヴでやっているセットリストのバランス、順番にすごく似ているんですよね。そういう最近の10-FEETがそのままアルバムになったという感じがすごくしますね。
-どちらかというと前作と比較するというよりは、前作からライヴのセットリストへの動きがあっての今作であり、実はそこは繋がっているというような形でしょうか。
T:実はライヴのセットの流れというのは昔から見てもそういう傾向はずっとあったんです。でも、それがそのまま音源作りに反映されることって実はあまりなかったんです。今回もそれは意識した訳ではなくて、不思議とそういう風になっていったんです。最近のライヴってこういうイメージやろうなって曲目になっていますね。すごく勢いのある曲とそうでない曲が分かりやすく混在しているというか。
-最後に激ロックの読者にメッセージをお願いします。
N:激ロックなアルバムなんで、ぜひ聴いてください。
一同:(爆笑)
K:この流れがすごくいいなと思うので、この流れで通してたくさんの人に聴いてもらいたいと思います。それでどういう風に感じたのか色んな人の意見を聞きたいので、つまみつまみではなく流れを通して聴いて欲しいです。
T:最近の10-FEETのライヴを1枚にして表現してみたというアルバムなので、それを聴いてどう思うのか興味がありますのでぜひ聴いてもらえたら嬉しいです。あとはライヴに来て欲しいです。