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INTERVIEW

10-FEET

2012.09.06UPDATE

2012年09月号掲載

10-FEET

Member:TAKUMA (Vo/Gt) NAOKI (Ba/Vo) KOUICHI (Dr/Cho)

Interviewer:ムラオカ

-曲順を決める際には「求め合う日々」ですが、セルフ・ライナーノーツを拝見したのですが、NAOKIさんが"アルバムの中でもこの場所にあることによって、シングルの時と聴こえ方が違って面白い。より切なく感じる。"と書いていらっしゃいますが、それって「シガードッグ」、「CRYBABY」の凄くエモーショナルな流れからのいい意味でさらりとした道筋ができていることでそのエモーショナルな気持ちが続いて、ここに行き着くことで、そういう感じ方になったのかなと思ったのですが。

T:まさにそういうことですね。アルバムの流れで聴いていてなんかグッとエモーショナルに来た後に、またドンと激しい展開になるので。

-Track.10の「DAVE ROAD」はこの作品の中でも最もユーモア溢れる曲ですね?10分程で完成したというのは本当ですか?

T:スタジオで"いっせーのっ"でみたいな感覚でやりました。

-もしかして過去最速で完成した曲でしょうか?

T:多分、過去最速ですね(笑)。

K:10分ってすごいよな!本当によう出来たよな(笑)。

T:"はい、NAOKIギター弾け!""コードは?"、"考えるな、ガッと弾いてガッと弾いてっ!はい、それでOK!"、"じゃあ、ベース弾いて"、"じゃあそのコード進行な!"、"ドラムは?"、"ズカズカズカズカッ......これで、はい、決定!"みたいな感じで、即、みんなで演奏するんですよ。みんなで顔を見合わせているうちに雰囲気で決まっていくんですよ。それが結構唐突だったけど、唐突なままでいいってことで。考え込む余裕がない、あそこやっぱりこうしようとか、そういうのはナシ、それがええんやんけで片付けていくという。

-ということは、その後にいじったりということはなかったんですね?

K:なかったです。そんな時間なかったですね。

-全体の中でいうとこの曲は何番目ぐらいに出来たんですか?

K:1番最後に出来た曲ですね。

-入れようとして作ったんですか?出来ちゃったから入れようかという感じでしょうか。

T:いや、最初から入れるつもりでした。1時間で6曲出来る計算やな(笑)。 K:元々そういうネタがなかったからな。その場でバーッとやったときに"これ、入れようや"と(笑)。 T:そういう時にバンドマンって不思議なもんで、ガッと集中してやることは出来ることなんですよね。得意なこと、やりたいことがポロッとこぼれるからいいんですよね(笑)。

-歌詞も一緒に出来たんですか?

T:歌詞は歌入れの時、レコーディングの日に30分ぐらいで考えました。

-聴いていると感じないですが、歌詞カードを見るとあまりのシンプルさに驚きますね。"こんなにシンプルだったんだ"って。

T:ホンマにちょっとしか書いてないですからね。これ。......5行(笑)。

-セルフ・ライナーを読んだんですが、TAKUMAさんの言うとおり、消化が落ちてきて、少し食べるとすぐ太るのは30歳以上の共通の悩みですよね。30歳以上の共感度が半端ない曲ですね(笑)。

T:すぐ腹出るんですよね。

-結構痩せて見えますけどね。

T:いや、腹筋じゃなくて横に割れてますからね(笑)。 N:横に割れてるって......(笑)。 T:洗っても消えない(笑)。前にキック・ボクシングの道場に行っていて、サンドバッグをパンチしてたらコーチが後ろから"三田村くん、三田村くん!腹、腹、腹っ!もうちょっと引っ込めようか"って言われました(笑)。

-僕も歌詞にすごく共感しました(笑)。

一同:(笑)

-「淋しさに火をくべ」ではハープに初挑戦して、今作ではTrack.12「コハクノソラ」でもハープを使用していますね。ハープの楽しさというのは?

T:楽しいですよ。よく耳にする簡単そうなフレーズも難しいということを思い知らされました。

-その「コハクノソラ」は9月に公開の映画「莫逆家族(バクギャクファミーリア)」の主題歌ということですが、歌詞や楽曲は映画にインスパイアされて作ったものでしょうか?

T:「コハクノソラ」は「莫逆家族」を観てから書き下ろした曲ですね。

-ちなみにどういう内容の映画なんですか?

T:ボッコボコですね(笑)。若いヤンキーのボッコボコでも、ヤグザの抗争ともちょっと違うんですけど。

-ギャング映画じゃないですけど、そういう不良少年、不良青年達が抗争をするという感じの内容でしょうか?

T:みんなまともに真っ当に働いてるんですけど、昔のしがらみがきっかけで、優しかったり仲間を思う気持ちがあるがゆえに、どんどんそういう暴力の螺旋に捕らわれていくんです。30代中盤ぐらいの人たちが巻き込まれていくんですけど、昔はワルで衝動に駆られて大暴れしていて、自分の人間性というのは各々残っていて、中途半端に大人で優しかったりするから、衝動もギラギラした艶はないけど、艶消しのすりガラスのような危うい衝動でもって真正面からぶつかっていくんですよね。絡まりながらどんどんそういう深みにはまっていくんですけど、描いている物語は悲しくて、残酷でバイオレンスなんですが、節々にどうにもならない儚さと切なさと孤独の究極の形というか、極端な負の感情みたいなものがそれぞれの形で表れるんですけど。ストーリー上ネガティブで暗い場所なんですけど、そういうところに何か説明出来ない共感を覚えたり、何かを垣間見たりするんですよね。それが決して醜いものではなくて、美しくもないんですけど、美しさを感じるぐらい刹那な一瞬の共感のようなものが所々にあるのがすごく不思議ですね。暴力シーンもスカッとするアクションというよりは重いんですよね。主人公たちの息子同士が高校生ぐらいの年齢で喧嘩するシーンが唯一爽やかさを感じるんですが、あとは重いんです。説明が難しいんですが、それがヤクザ、極道物でもなくいわゆるヤンキー映画、不良映画でもないような独特のすごくリアルな描写なんです。最後に警察が逮捕しに来るシーンなども、自分も映画に入り込んでしまって絶望感を感じるほどでした。終わり方も寂しくて儚いんですけど、映画の内容を考えるとじっとり後味の悪い終わり方をしてもいいぐらいの激しさと残酷さがあるのに、そうはならない理由が僕にもなんでか分からないんです。今言ったそのままの気持ちで曲を作ったというか、美しいけど寂しかったり、寂しいけどそこにはエネルギー、生命、躍動感みたいなものが手放しに光を放っていたりとか、そういうものがぶつかり合ってるという......。