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LIVE REPORT

coldrain

2025.05.01 @恵比寿ガーデンホール

Writer : 吉羽 さおり Photographer:ヤマダマサヒロ、Taka_nekoze、Nat Wood

2018年にスタートした、海外の第一線で活躍するバンドを招いた"coldrain presents LOUD or NOTHING"が、今年久々に開催。東名阪ツアーが4月30日に恵比寿ガーデンホールでキックオフした。今回はイギリスよりポップ・パンク・バンド、NECK DEEPを招聘。各地でプラスでゲスト・バンド(The BONEZ、SHADOWS、SHANK)を呼びガチンコで互いのエネルギーをぶつけ合うようなツアーとなった(本原稿は東京公演2日目、5月1日をレポート)。

のっけから会場を沸騰させたのはThe BONEZ。"行くぞ!"、"かかって来いよ"というJESSE(Vo/Gt)の合図と共に「Place of Fire」で幕を開け、序盤から限界突破でバンド・アンサンブルのボルテージを上げながら、観客のシンガロングや興奮のメーターも上昇させていくステージだ。バンドも観客も含め"NECK DEEPに日本のシーンのヤバいところを見せてやろう"と、JESSEはフロアの士気を上げる。これはcoldrainが"LOUD or NOTHING"を立ち上げたときの思いでもある。観客は、巨大なサークルを生み出し、拳を突き上げ、あるいは肩を組んで笑顔で大合唱。そんなエネルギーに満ちた渦の真ん中で、快音が響き渡る。多幸感たっぷりで続くNECK DEEPへとバトンタッチするステージとなった。

バンド名が立体的なバルーンとなったポップなバックドロップが掲げられ、歓声のなかで登場したNECK DEEPは、昨年リリースしたセルフタイトルのアルバムから「Dumbstruck Dumbf**k」、「Sort Yourself Out」を連投。Ben Barlowのハイトーンが冴えるブライトで上昇感のあるメロディ、キャッチーなサウンドとパワフルなアンサンブルとで観客を掴んでいくのはもちろん"ありがとうございます"、"素晴らしい、東京!"、"お疲れさん"とBenが日本語で声を掛けていくのも人懐っこい。チル・ソングだと伝えスタートしたエモーショナルな「In Bloom」でも、シンガロングを起こす。ホームのような空間を作り上げるステージだ。ちなみにcoldrain Masato(Vo)のMCによれば、以前coldrainの欧州ツアーを共に回ったツアー・マネージャーが今手掛けているのが、このNECK DEEPだという。信頼するチームの一員が担当するバンドだからこそ、今回のツアーにも呼びたかったし、それが実現できたそうだ。

常日頃からイベントやフェス、ツアーでしのぎを削り合う The BONEZ等ゲスト・バンドたちも含めて、熱いフレンドシップや連帯感がこの"LOUD or NOTHING"を貫いている。ライヴの空気感や風通しがいいのは、それゆえだろう。トリを務めたcoldrainは、最高の形でこのイベントの核となる思いやパワーを余すことなく伝えるステージとなった。

まずは、今年3月にリリースしたCentury Media Records移籍第1弾シングル「INCOMPLETE」でスタートしたcoldrain。リリース間もないが、すでにこれぞcoldrainのライヴと言える大合唱で、華やかなギターや重厚なビートに負けないフロアの歌声が会場にこだまする。さらに"容赦なしで行くぞ"というMasatoの声に、Katsumaによるバスドラが観客の足元から揺るがすように轟いて、「Cut Me」から「24-7」で、大合唱だけでなくウォール・オブ・デスで会場の熱気をぐんぐんと上げた。観客もまた疲れ知らずだ。中盤はレア曲等も含めさらにコアに、ディープに、そしてカオスな展開で、観客を熱狂の渦へと巻き込んでいく。

Sugiがフロントへと躍り出てヘヴィなギター・リフをフロアへと打ち込み、Y.K.C(Gt)、RxYxO(Ba/Cho)と3人で竿を揃えるようにしてかき鳴らす「Adrenaline」、また久しぶりの曲をとプレイした「Inside Of Me」では、"ここ恵比寿が日本で一番ラウドな街だな"と、重戦車的なビートと激しいリフ、そしてMasatoがエモーショナルな咆哮でフロアをダイナミックに揺さぶっていった。対バンによるライヴだからこその超攻撃的なセットリストであり、"世界一かっこいいオーディエンスであること"を、海外の第一線でライヴをするバンドに見せつけたいという意志が込められたセットリストだ。

壮大なハンドクラップを起こし、クライマックス感のある「Before I Go」から、サークルを大きくしていく「NEW DAWN」、そして会場全体が歌い、興奮の頂点へと駆け上がっていく「Final destination」へと、バンドと観客とによる凄まじいセッションを生み出して、"We are coldrain"のシャウトで、ここ恵比寿にその名を深く刻んでいった。多くの盟友やライヴ猛者たち、そして観客と共に、時間をかけ、ワールドワイドであり、また日本ならではと言えるラウド・シーン、パンク/ロック・シーンを築いてきたcoldrain。その1つの看板たる"LOUD or NOTHING"も、バンドの想いと共に育っていっていることを感じるライヴとなった。

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