LIVE REPORT
G-FREAK FACTORY
2022.10.23 @日比谷公園大音楽堂
Writer フジジュン Photo by 上坂和也
"2022年10月23日、群馬G-FREAK FACTORY、日比谷野音。また迎えることができました、よろしく"
2018年7月以来、約4年ぶりに日比谷公園大音楽堂ワンマンのステージに立った茂木洋晃(Vo)が、感慨深げに挨拶する。25周年を祝うように、野音のステージに歓迎するように、最高の秋晴れに恵まれたこの日。陽の落ちた会場には心地よい風が吹き、どこからか虫の声も聞こえる。会場を埋め尽くすオーディエンスが見守るなか、「大地の勇者たち」でゆったり力強く始まったこの日のライヴは、茂木の挨拶で始まった「SOMATO」で客席が熱を帯び、"今日は思い切り楽しもう"と会場中の気持ちがひとつになるのがわかった。
4年前のワンマンから現在までの間、世界には本当にいろんなことがあった。いや、まだその最中で何も解決していないかもしれない。でもだからこそ、俺たちにはG-FREAK(G-FREAK FACTORY)の音楽が必要なのだと、「日はまだ高く」の痛快なビートに身体を揺らしながら思った。もちろんマスクなんて外して遠慮なく声を出せたほうがいいに決まってるけど、みんなで手を上げてジャンプを合わせて、愛で世界が変わることを心から願い、しんどいことばかりの日常だけど、この瞬間だけでも幸福感を共有することができるのがどれだけ尊いことか?
25周年記念ライヴということで、新旧織り交ぜたセットリストで熱心なファンを喜ばせた前半戦。"気づいたら25年やってたみたい"なんて笑うと、"強いから残ったんじゃなくて、残ったから強いんだろ? 存分に遊ばせてもらいます!"と力強く宣言した茂木。猛暑で大変だった4年前の野音の思い出、数日前まで入院していたことをMCで話すと"当たり前、平凡。それが永遠じゃないって言ってきたけど、自分がバグってよくわかりました"と、「EVEN」を披露した。たっぷり気持ちを込めて噛みしめるように歌うこの曲に共感する、観客の心の合唱が聞こえる。そう、当たり前が当たり前じゃないことは、この数年でみんなも強く実感したのだ。
"地元の大先輩、ROGUEに向けて作った曲です"と気持ちいっぱいに歌った「アシアトカゼノオト」を披露すると、"気持ちいいな。こんなに気持ち良かったっけ? 野音って"と笑顔を見せた茂木。"今日この場だけはリスペクトとリスペクトでいきたい。勢い余って声を出しちゃったやつがいたら許してやってほしい。静かに聴きたいやつがいたらちょっと労ってほしい"とメッセージを送り、最新曲「Dandy Lion」を披露した。分かち合って、支え合って、許し合ってという当たり前のことの重要さ。こんな時代にこそ伝えたいメッセージを込めた温かい楽曲が会場を包むと、ライヴは終盤戦へ。
"100歳生きるとしたら、4分の1をバンドというものに興じて。憧れて愛して突っ込んで傷ついて、また癒えてまた転んで走ってぶっ壊れて。それでもこうしてステージに立って、みんなからエネルギーを貰って。その倍返してやるくらい備えてやるんだけど、みんなに返しきれなくて。そんなことを繰り返してたら、あっという間の25年。そして残念ながら、未だにやめる理由がひとつもねぇ。今日、この場所ではっきり言えるのはそういうことだ"
茂木が25周年を振り返り、G-FREAK FACTORYが変わらず炎を燃やし続けることを宣言すると、「Fire」で客席に火をつけ、"日比谷、拳で来い!"と煽る「Too oLD To KNoW」で拳を突き上げて応える観客の心の大合唱を起こし、最高潮の盛り上がりを生む。ラストは願うように、祈るように明日への希望を届けた「ダディ・ダーリン」、「GOOD OLD SHINY DAYS」でフィニッシュ。音楽は非力だけど、無力じゃない。そんな茂木の言葉が、ライヴを観終えて少しだけ明日への希望が持てた僕の頭を反芻していた。
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