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LIVE REPORT

AA=

2018.10.20 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Writer 吉羽 さおり

上田剛士のソロ・プロジェクト AA=が、「PEACE!!!」で始動してから10年を迎えた10月20日に、渋谷TSUTAYA O-EASTでアニバーサリー・ライヴ"AA= THE OIO DAY"を開催した。館内に入るとまず、AA=のアートワークでもお馴染みのshichigoro-shingoがこれまで手掛けたAA=作品やオリジナル作品が展示されており、会場に入ると、"AA="という名の由来となったジョージ・オーウェルの小説"動物農場"のアニメ版が流れていて、今日がスペシャルな1日となる期待が高まる。そして何よりもその期待感を上げているのが、厚い幕がかかって、ひっそりと息を潜めているステージだろう。フロアを埋めるオーディエンスの興奮は、すでに熱気となって会場を包んでいる。

そして爆音のSEの中あらわになったステージに、凄まじい歓声が上がった。ステージには、メカニカルな豚のマスクを被った上田剛士(Ba/Vo/Prog)、白川貴善(Vo/BACK DROP BOMB/Noshow)、児島 実(Gt/ex-THE MAD CAPSULE MARKETS)、草間 敬(Mani)、そして1段上がったところにドラムが3台横並びとなっており、金子ノブアキ(RIZE)、ZAX(The BONEZ/Pay money To my Pain)、YOUTH-K!!!(ex-BATCAVE)と、AA=に関わる全ドラマーが揃い踏みとなっている。「4LEGS GOOD, 2LEGS BAD」から、"DR3 ~THE OIO DAY special performance"と題し、この3ドラマーが爆裂なビートをフロアに見舞う。それぞれのプレイ・スタイルで叩き出すビシッと揃ったビートの迫力は、オーディエンスの身体をビリビリと震わせ、会場の興奮のメーターは一気に振り切った状態だ。

続く「2010 DIGItoTALism」でマスクを取り、ここからは金子がワンドラムでアグレッシヴに切り込んでいく。猛烈な人力ビートとハンマー・ビートによるブルータルなグルーヴ、重厚なサウンドに白川のざらついたヴォーカルがたちまちフロアをカオスにする。このとき、ステージ袖からフロアへと豪快にダイブしていったのはZAXだろうか。間髪いれずに「posi-JUMPER」、「憎悪は加速して人類は消滅す ~Hatred too go fast, Vanishing all human~」へと加速する。"この混沌とした世界。俺たちだけでもしっかりと繋がっていようぜ"と上田は語り、「Such a beautiful plastic world!!!」で力強く、抜けのあるハイトーンのヴォーカルを響かせる。白川と上田のヴォーカルのコントラストはAA=の武器としてこの10年で進化を遂げている。また、「ROOTS」のようなポップ性の高いメロディを、普段はBACK DROP BOMBで熱くアジテートするラップやヴォーカルを聴かせる白川が歌い、曲が面白い化学反応を起こすのもAA=ならではだ。

「GREED...」からはドラマーがZAXに代わり、「WORKING CLASS」、インストによる「Dry your tears」とカオティックなアンサンブルが炸裂し、ピアノが印象的な「The Klock」での美しくも狂気的な重低音サウンドが、フロアの高揚感を煽る。上田は"パンクにとらわれてしまうことはパンクじゃないけれど、気に入らないことには中指を立てることを忘れずに生きていきたい"と語り、AA=として10年を迎えることができたのは、こうして集まってくれる仲間がいるからだとオーディエンスに語り掛けた。"今日もうるさい音を鳴らして、不器用な歌を歌っているけれど、偽物にはなりたくないし、みんなを裏切りたくない。だからこれからも、いろんなことに中指を立てて、生きていく。それが上田剛士っていう奴なので、どうぞよろしく"と、改めて思いをぶつけると、「HUMANITY2」をアカペラで、マイクを外して歌い出す。歓声が上がっていた会場から、その声を逃すまいと人々が息を呑むのが伝わる。続く「LOSER」はZAXの高速ビートが再びフロアをカオスにし、白川がそのフロアにマイクスタンドを向け、絶叫のようなシンガロングを拾っていく。ライヴのどこもかしこもハイライトだ。

「WARWARWAR」からはドラムがYOUTH-K!!!にチェンジ。草間による心音のようなビートに、YOUTH-K!!!のダイナミックなドラミングが絡み、ノイジーな児島のギターが煽る。オーディエンスが一丸となって掛け声を上げながら拳を振り、広い会場は酸欠必至の状況だ。そして「DREAMER」から、超高速のハードコア・ナンバー「I HATE HUMAN」でフロアのシンガロングはさらに大きくなり、絶え間ないダイバーが場内の温度を上げる。2009年の1stアルバム『#1』からの「ALL ANIMALS ARE EQUAL」、「NEW HELLO」と続いて、ラストに新曲「SAW」を披露した。このライヴ会場で先行販売され、翌日から数量限定でのリリースとなったアニバーサリー・エディション・シングル『SAW』(11月7日より配信開始)。"オレたちの闘争はまだ続く"と、AA=の熱いステートメントを刻み、今日という日に相応しい、まだまだ眼差し鋭くその先を見ている曲でライヴを締めくくった。

当然の如くアンコールの声が止まない会場。再び登場した上田は、"今日はAA=の3人のドラマーが勢揃いしてくれました。しっかりとこの光景を焼きつけていってください"と改めて3人のドラマーを呼び、「BATTLEFIELD」を上田によるマニピュレーションと金子、ZAX、YOUTH-K!!!のドラム3人のアレンジ・バージョンで展開! 攻撃的でデジタルなビートとそれぞれのドラマーとでタイマン勝負をしていく。これだけでもずっと見ていられるくらいの、最高に白熱した、そして最高にエンターテイメントなステージだ。さらに「FREEDOM」と、忘れてはならないAA=の産声となった「PEACE!!!」をこの3ドラマーとプレイ。身体中に轟音を詰め込まれ、その音の余韻でも痺れる興奮が蘇る。AA=という強烈な存在感をフル・ボリュームで打ち鳴らした一夜となった。

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