LIVE REPORT
G-FREAK FACTORY
2018.07.21 @日比谷野外大音楽堂
Writer 荒金 良介
"ローカル・バンドの最高傑作がここに立った。その事実だけ忘れないでくれ!"と茂木洋晃(Vo)はライヴ後半に叫んでいた。昔からG-FREAK FACTORYを知るひとりとして、この日のステージを忘れるわけがない。
18時6分、原田季征(Gt)、吉橋伸之(Ba)、渡部"PxOxN"寛之(Dr)がインスト曲「大地の勇者たち」を鳴らし始めると、ステージ下手から茂木がゆっくりと中央に歩み寄る。"ようこそ、日比谷野外大音楽堂!"と言うと、グルーヴィな「Unscramble」に移行。それからスカ調のリズムを用いた「奮い立て 合い燃えろ」に身体は否応なく反応し、興奮は早くもマックスに到達する寸前だ。"限りない故郷に愛を"の歌詞でお馴染みの「日はまだ高く」に移ると、曲中に"雨バンドがこんなに晴らしちゃって、神様がご褒美をくれたんだよ!"と言い、コール&レスポンスを交わして観客と熱い高揚感を作り上げていた。この時点ですでに額や腕が汗ばんでしまう暑さだったけれど、時折吹きつける風が心地よい。ふと周囲を見渡すと、ビールを飲みながら楽しんでいる人や、踊りながらG-FREAK FACTORYの音楽を堪能している人たちの姿も目に入った。
続いて「SOUL CONNECTION」を披露したあと、"伝説の野音、SIONのバイトで来たことがある。ここでTHA BLUE HERBがやって、これからOLEDICKFOGGYもやるけど、結成21年のG-FREAK FACTORY、群馬から一歩も動かずに霞ヶ関でロックをやれてる"という茂木の言葉にはローカル・バンドとしての矜持が滲み出ていた。
そして、ここから歌モノ路線の曲調が続く。「風林花山」、「HALF-DONE」、凝った展開が面白い「FAKE SPEAR」もライヴで映えていたし、群馬の風景が透けて見える「風」も木々に囲まれた野音の風景に溶け込んでいた。"BRAHMANの武道館を観て、ヒントを得た。群馬から仲間を呼べばいいんじゃないか"と言うと、上原梅弦をゲストに招き、三味線入りで「REAL SIGN」を、続いてDJを加えて「イロハニホエロ」、さらにはラッパー NAIKA MCと「KTKZ TO TAIYO」を披露するなど、強力な地元勢の援護射撃に会場も沸き上がる。"ライヴが終わったら、弾丸で広島に行く。お前らの想いを持っていくから"(※この日、会場では支援物資として土嚢袋を募集していた)と熱く語り掛けたあと、「ダディ・ダーリン」へ。エモーショナルな歌心を空一面に響かせると、「Too oLD TO KNoW」へと繋ぐ。ここでは観客を巻き込んで大合唱となり、無数の拳が天に突き上がる光景はグッと胸に迫るものがあった。
その後、東北の仲間(漁師)に書いたという最新シングル表題曲「カモメトサカナ」をプレイ。懐の深いスケール感のある曲調は野音でひと際映えていた。それから「SOMATO」、「FOUNDATION」、ハートフルな旋律が沁みる「らしくあれと」で堂々と締めくくる。
アンコールに入ると、"メンバーとして加入して4ヶ月、早く自分が入ったアルバムを作りたい"と渡部は意欲満々の姿勢を見せる場面もあり、「チャンダンの香るこの部屋から」、「DAYS」、観客がスマホの光をかざすなかで披露した最終曲「EVEN」も格別だった。全行程を終えると、"G-FREAK FACTORYの挑戦、これにて大成功!"と茂木が高らかに吠え、身震いするほど感動してしまった。彼らの楽曲は野外が似合うものばかりだが、予想以上に野音というシチュエーションにハマっていたし、何よりも、地元に根を張り続けたローカル・バンドがこの地でライヴをやることは、後続バンドにも大きな夢を与えることになるだろう。いや、バンドマンだけではなく、彼らの活動から勇気やパワーを貰っている人も多いに違いない。G-FREAK FACTORYの意地と努力が実を結んだ感涙の野音公演であった。
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