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INTERVIEW

HEY-SMITH

2023.10.31UPDATE

HEY-SMITH

Member:猪狩 秀平(Gt/Vo)

Interviewer:吉羽 さおり Photographer:上坂和也

聴く人それぞれでパンクとは何かとか、自問自答したことがあると思うので、 それに寄り添ってくれればいい


-1曲目が「Money Money」で。アルバムののっけから"生き方を曲げない、俺たちは金より大事なものを持ってるんだ"と怒っているという(笑)。

これは単純にこういう人がいたんですよね。本来の楽しみとかアティテュードとかを無視して、金、金ばかり言ってるやつがいて、"おもんないなこいつ"って思ってて。ほんま腹立ったから書いたみたいな曲ですね(笑)。

-「Money Money」、「Still Ska Punk」で始まって、前半ではすでにライヴでお馴染みの「Fellowship Anthem」や「Be The One」など、バンドの精神性やアンセム曲が並んで。中盤の「Into The Soul」を挟んで後半はムードが変わって、心の内側にディープに入っていく曲が並んでいて、曲を書いている猪狩さんなりのバンドの主柱、核となっているものを音楽で提示してるように感じています。こういうアルバムの構成に、というのはどこかで考えていたんですか。

もちろん構成は考えているんですけど、アルバムの順番というよりは"いい曲を書こう"と書いているから。曲ありきで、この曲数の中でどう聴いてもらうのがベストかなって配置している感じですかね。

-より内側を掘っていく曲が多くできていた時期というのもあるんですかね。

あ、そうかも。「Inside Of Me」、「Be My Reason」、「You Are The Best」、「Don't Wanna Lose You Again」はほぼ同じ時期にできていて。今言われて気づきましたね。

-アルバム後半で大きな存在になっているのが「Rest In Punk」です。この曲は2月に亡くなったHi-STANDARDの恒岡 章(Dr)さんについて綴っている曲ですね。

そうですね。本当は、このアルバムはもっと早く出すつもりだったんです。レコーディングもある程度終わっていて、でもツネ(恒岡)さんのことがあって、自分の中ですべてがストップしてしまって。曲を作ること、ライヴをすることひとつ取っても、何か自分の夢みたいなのがなくなった感じがあって、"無理"ってなってアルバムもちょっと延期したんです。で、どうしても1曲ツネさんに対して書いておきたいなという気持ちが収まらなくて。曲を書くということもやめておこうかなとか、俺だけの思いを書くのはどうなんだとか、健(横山 健/Gt/Vo)さんや難波(章浩/Vo/Ba)さんはどう思うだろうとか、ツネさんの家族はどう思うとか、ハイスタ(Hi-STANDARD)のファンはどう思うとか、いろいろ考えたんですけど、でもやっぱり自分は表現者なので、この思いを表現しないのは違うなと思いました。

-もともとはドラマーの猪狩さんのルーツともなった方ですね。それでこの2ビートを捧げるというのはあったんですか。

それは自然にそうなっていましたね。こういう曲作るぞって思って作っていなくて。コードもビートもメロディも何もかも一緒に来た感じでした。

-恒岡さんのことをずっと考えていたからでしょうね。

そうですね。考えてないふりをして、ずっとありましたし。あまりここまでストレートというか、誰でもがわかる言葉でこういうことを書くというのはなかったんですけど、これはそうする以外、匂わせるとか、ちょっと感じてもらうとか、想像してもらおうとか、そんな気持ちが出てこなかったですね。

-このパーソナルな曲のタイトルがアルバムのタイトルにもなりました。アルバム・タイトルとしての意味合いは、パンク・ロックがもたらしてくれるものなど、より広がりを持ったものになりそうです。

アルバムのタイトルにするのは、曲ができたときは決めてなかったんですけど、でもアルバムってだいたい、そのときの自分の一番でっかい気持ちがタイトルになっているので。"もうこれしかないでしょう"という感じですかね。最後のアルバムみたいなタイトルですけど。

-ちょっとそんなふうにも見えてしまいますけど。

そんなつもりはないけど、一番でかい気持ちのところがこれですかね。もともとは"R.I.P."、"Rest In Peace"から取っているんですけど、これって日本語では説明できない言葉ですよね、この言葉自体がないので。きっとそれぞれでパンクとは何かとか、自問自答したことがあると思うので、それに寄り添ってくれればいいかなと思っています。

-アルバムとしては5年ぶりとなりますが、今こうしてできあがってみて、自分での手応えというのはどうですか。

手応えはツアー("Rest In Punk Tour")が終わってみないとわからないですね。ライヴで曲をやっていって、どれくらいみんなと思いを共有できるのかっていうのは、人前で演奏してみないとわからないんですよ。"この曲は絶対全員と同じヴァイブスになるだろう"と演奏してもそうじゃないとか、"こっちの曲のほうがみんな歌えるんや"とか、結構意外な反応になったりすることが多いので。ツアーをして、来年のフェスとかで歌って、1年後くらいにどの曲がいい曲やったかというのがわかるというか、そんな感じやと思うんです。今はとりあえず生んだだけなので、それがどう育つかというのは、時間が経たないとわからないんですよね。

-アルバムを携えた対バン・ツアー"Rest In Punk Tour"が11月からスタートしますが、始まりの4公演(東京、横浜、名古屋、大阪)は米スカコア・バンド VOODOO GLOW SKULLSとの対バンですね。彼らとはどういった繋がりがあるのですか。

VOODOO GLOW SKULLSのメンバーから"日本で一緒にツアー回れない?"っていう連絡が来て。"日本でツアー組んでくれたらアメリカでも組むし"という感じで。"ちょうど俺らリリース・ツアーやるから、それのゲストとかやったらいいよ"っていうので決まったんです。AUTHORITY ZEROとかみたいに、仲がいいっていう感じではないんですけど、日本に来たときは飲んだりとか、新作が出たら連絡をくれたりする間柄で。サックスのやつ(Eric Skazzini)は他のバンドもやっているんですけど、デモができると"これどう思う?"って送ってくれたりするんですよね。その聴かせてもらったデモが、俺らがSiMとcoldrainとやっているTRIPLE AXEみたいなやつだったんですよ。で、"俺らTRIPLE AXEっていうのもやってんねん、聴いたことある?"って言ったら、それがめっちゃ好きで影響受けてるって言ってくれたりして。こっちの音楽をアメリカの人が聴いて、それに影響されて音楽を作っているというのがある時代なんやなって。びっくりしたし、面白かったですね。