INTERVIEW
HEY-SMITH
2022.10.05UPDATE
2022年10月号掲載
Member:猪狩 秀平(Gt/Vo)
Interviewer:荒金 良介
-そして、「Inside Of Me W.E.E.D -Wanna Enjoy Endless Dreams-」は、ダブ・ミックスによるインスト・バージョンですね。
そっちのMVも出るんですよ。「Inside Of Me」ではダンスしてもらって、W.E.E.Dバージョンは音的にも思いっきりW.E.E.Dなんで、そっちに寄せようと。
-頭を空っぽにして聴きたい曲ですね。
そうなんですよ! オールナイトでベロベロになりながら演奏したいですね。
-ダブ・ミックスは猪狩さん自らアレンジして?
そうです。一緒にやっているエンジニアの人に、このスネアにはこんなリバーブを掛けてほしいと伝えて。ダブで自分の好きなバンドにはこういう音が1曲入っていて、SUBLIME、LONG BEACH DUB ALLSTARSでもあるから。「Fog And Clouds」(『Life In The Sun』収録曲)でもダブ・セッションみたいなパートを入れていたけど、もっと深いものをやりたかったんです。ほんまは1曲(「Inside Of Me」)だけの予定やったけど、思った通りに仕上がったから、こっちに入れようと。
-そうなんですね。CD盤は「Inside Of Me L.S.D -Love Summer Days-」というバージョンも収録されます。
いつものエンジニアさんにイメージを丸投げしました。これは夏の終わりというイメージですね、はははは(笑)。
-なぜそんなに笑うんですか?
いや、伝わるかなって。夏が終わる切なさみたいなイメージですね。友達に"HEY-SMITH規模のバンドで、こういう曲名で、こんな音を出すのは頭イカれてるんちゃう?"と言われましたけど(笑)。これはライヴで表現できないので、CDで楽しんでもらえたらいいなと。
-今後、またパンキッシュな激しい曲にいきなりレゲエ/ダブ要素を入れてほしいですね。
途中でね? 突然でしょ!
-ええ、「Download Me If You Can」(2012年リリースの1stシングル『Download Me If You Can/Goodbye To Say Hello』収録)タイプの曲をまた聴きたいです。TSUTAYA O-EAST("Back To Basics TOUR")であの曲を披露してくれて、すごく嬉しくて。
そうか、荒金さんはあれが好きなんや。パンクの中にレゲエやダブをシュッ! と入れてね。
-メタルコアにおけるブレイクダウン的な手法で。
それをダブでね。今、次のアルバムを作るために曲を溜めているんですよ。その意見も頭に入れておきます。忘れてました。
-それで10月1日から結成15周年を記念した対バン・ツアー([HEY-SMITH "15th Anniversary TOUR -Inside Of Me-"])が始まります(※取材は9月下旬)。メンツも豪華ですよね。
Five State Driveとは小ハコでやるのは初めてですね。あと、Ken(Ken Yokoyama)さんは嬉しかったですね。
-猪狩さんにとってヒーローですもんね。
うん、ヒーローやし、人のツアーに出ているイメージがあまりないから。それでも引き受けてくれたのがめっちゃ嬉しかったです! 直接連絡して、ほぼふたつ返事でしたね。ツアーは今年2月まで(4月の振替公演除く)47都道府県("Back To Basics TOUR")をやって、そこでは小バコをやったんですよ。だから、今回は大きな会場でやろうかなと。マジで適当に音楽をやりたいですね(笑)。
-そのあとにHEY-SMITH&東京スカパラダイスオーケストラ共同企画"SKAramble Japan"が11月に控えています。そもそも猪狩さんがスカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)に声を掛けたことがきっかけですよね。そもそもスカに絞ったイベントをやりたいと思った動機は?
スカやスカ・パンクという音楽をとにかく広めたくて。それが根底にあり、ホーン・セクションの生の素晴らしさ、スカの楽しさを知ってほしいという一心です。自分で言うのもあれですが、スカパラはレジェンドですけど、次は誰がスカ・パンクを背負うのかと言ったら、うちらしかいないから。この2バンドがユニティして何かを作ることに意味があるのかなと。
-以前から猪狩さんは、シーンは自然発生的にできるものじゃなく、明確な意志を持って作りあげるべきと言ってましたが、まさにこのイベントがそうですよね。
はい。ただ、最初に声を掛けるときはさすがにドキドキしましたけどね。"いやいや、俺らスカパラやで!"と言われると思ったけど、言って良かったです。
-昔は特定のジャンルに絞ったイベントはたくさんありましたが、今はフェス文化が定着したこともあり、そういうイベントが少なくなった印象があります。
それはそれで素敵やと思うんですよ、壁がなくなって。昔、高校生の頃はダウン・チューニングでスクリームされると、うるさっ! と思ったけど、今の子はそれがない気がして。いい音楽をやったら認められる時代だからこそ、スカがいかにいい音楽かを認めさせたい気持ちが強くなったのかも。
-あぁ、なるほど。
作曲するのもすごく難しいんですよ。歌、ギター、ベース、ホーンといろんな音階があり、コードや音が当たると、曲は成立しないんです。それを緻密にやるのがスカは難しい。それぐらい奥まで入ってほしいですね。スカ・バンドをやって、歌の間にホーンを入れるのがどれだけヤバいのか、スカパラや俺らの音楽を聴いて、一度作曲したらわかると思います。
-聴く側はつい簡単にやっているように受け取りますからね。
でも音程の間をめっちゃかき分けているんですよ。
-ちなみに猪狩さんがスカの魅力にハマったのはRANCIDとか?
そうですね。あと、初期NOFXがやっていたスカ曲とか。それとSUBLIMEかな、最初は。それからTHE SPECIALSとか、ひと通り聴きました。どれもホーンが入って陽気にはなるけど、涙が出るような感動を覚えたのはKEMURIですね。フレーズの質が全然違った。
-管楽器の入れ方ですね?
そう! KEMURIのホーン・セクションはめちゃくちゃ切なくて、エモーショナルな気持ちにさせる音作りなんですよ。
-"SKAramble Japan"もそうですけど、同じジャンルを愛する者同士が集まったときの熱量やグルーヴって、格別ですよね。
昔やったら"BEAST FEAST"があり、PANTERA、SLAYER、SEPULTURAが集まったときの高揚感って、また違うじゃないですか。
-全部のメンツがヤバい! みたいな。
うん、スカでそういうエネルギーを生みたいんですよ。いずれスカパラ、HEY-SMITH、THE INTERRUPTERS、REEL BIG FISHとかが集まったイベントをやりたいですね。