MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

10-FEET

2017.10.23UPDATE

2017年10月号掲載

10-FEET

Member:TAKUMA(Vo/Gt) NAOKI(Ba/Vo) KOUICHI(Dr/Cho)

Interviewer:谷岡 正浩

-音楽と言葉、というお話がありましたが、歌詞に対するアプローチで意識した変化というものはあったんでしょうか?

TAKUMA:前は使わなかった言葉とか表現、漢字とか、そういうものは増えたかもしれないですね。例えば、15曲目の「何度も咲きました」の歌詞にある"街"という漢字。この文字は自分では一生使わないものだと思っていたんです。使っても"町"だったんですけど、そもそも"町"という言葉をあまり使わなかったんですよ。言葉は曲調にもよるんですけどね。もしかしたら今だけかもしれないですけど、前までは自分の中でNGやったことがOKになって言葉の表現の領域が少し広がっているという感覚はありますね。

-そのあたりが今作の新鮮味と重なる部分なのでしょうね。

TAKUMA:かもしれませんね。

-このアルバムで、バンドとして目指したこと、というのはあったのでしょうか?

NAOKI:アルバムとして結構期間が空いたというのもありましたし、アルバムを出すにあたってその前にシングルを3枚リリースすることも初めてだったんですよね。リリースもハイペースだったので。『アンテナラスト』からアルバムまで1年とちょっとですからね。やっぱりそこが大きく違うなというのはあって、『thread』のときとはアプローチが少し変わったなという感覚がありました。で、その違いが何かと言うと、シングル3枚を通ったことによる"今の広さ"というか。もちろん昔からいろんなベクトルの曲があって......というのは意識していたんですけど、そこの感覚を今新たに広げるというか、今の10-FEETの新しさであったり、今までは避けてきたことであったり、そのへんでの新しい感覚というのはこのアルバムを作っているときから感じていましたね。アルバムの中のシングルに入っていない曲は3人で合わせて煮詰めていったのがわりと最近なんですよ。今年の"京都大作戦"以降でしたからね。

-あ、そうなんですね!

NAOKI:スタジオにがっつり入ったのは、比較的最近なんですよ。なのでわりと最近の感覚の中でいろいろ仕上げていった感じですね。

-シングル3枚から続く道筋というのが、このアルバムにもたらした影響というのはよくわかりました。では、『thread』からシングル3枚に至る道筋として大きな要因となったものは、やはり時間なのでしょうか?

NAOKI:時間ももちろんありますね。『thread』に近い時間軸だと、「アンテナラスト」や「太陽4号」みたいなタイプの曲は積極的に作ってなかったと思うので。どちらかというと、ハードで速くて、というアプローチが多かったと思います。それで、時間をかけていろんな方向性の曲を少しずつ3人でやっていくなかで幅が広がっていったんですよね。『thread』から『アンテナラスト』までは4年間空いたんですけど、その間で徐々に感覚が変わっていったんやと思います。とくに『アンテナラスト』のときは、4年ぶりの新曲ということもあったので、さっきも言った、強い曲でありながらいい曲であることというのは前提としてありつつ、想像のつくような曲は違うなというのがあったんですよね。いい意味での意外性は絶対に欲しいと思っていたし。だからこそ、あのタイミングで「アンテナラスト」をシングルのリード曲として出せたのだと思うんですよね。

-そしてその思い切りというか、判断が、そこから続く道になっていったというわけですね。

NAOKI:そうですね。

-先ほどアルバム収録の新曲に関しては、7月の"京都大作戦"が終わったあとにスタジオに入って3人で煮詰めていったというお話があったのですが、そういうこともアルバムにはもちろん影響しているわけで、だからこそ例えば6曲目の「十二支」のような、直球なのか変化球なのかわからないような熱のある曲ができたりしたわけですよね。唯一の英語詞かと思ったら、全部ローマ字で干支が書いてあるという(笑)。

TAKUMA:「十二支」ね(笑)。

-続く7曲目「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」、そしてシングルにも収録されていた「月 ~sound jammer せやな~」と、ある意味言葉の限界に挑戦したというか、メッセージを一切排除した音楽的な言葉選びに徹した曲が並んでいますよね。TAKUMAさんの中で、「太陽4号」や4曲目に収録されている「ウミガラスとアザラシ」のような言葉の意味と深さでぐいぐい世界を押し広げていくようなタイプの曲との違いってどう認識されているんでしょうか。

TAKUMA:そうですね、言葉の響きとメッセージって同じくらい大事やと思うんですよね。だから極端に言えば、ものすごく深いメッセージ性があれば、言葉の語呂が悪くて、メロディのノリが悪くてもそれはそれで成立すると思うし、逆にメッセージ性なしでも響きとメロディが良ければそれでいいし。むしろ、後者の方が音楽的ではあるなと思いますね。子供のころって言葉の意味なんてわからずに歌ってたじゃないですか。メロディとリズムが良ければいい歌やなって感じましたから。つまるところ歌の本質ってそこなんやと思うんですよね。かっこ悪くてもかっこいいというか。人間の魅力もそうじゃないですか。かっこよさと真面目さと面白さを併せ持っている人に惹かれますよね。そういう音楽を僕らは目指しているし、今回のアルバムではそれができたんじゃないかなと思っています。

-このアルバムの先に続く道は見えましたか?

TAKUMA:目標地点はわからないんですけど......そうですね、道がまだ続いていると感じたアルバムかもしれないですね。いつもはもうないんちゃうかなとか思うんですけど、今回は、10歩先はわからんけど、2、3歩先くらいまでがある、という感じですね。