INTERVIEW
10-FEET
2017.07.14UPDATE
2017年07月号掲載
Member:TAKUMA(Vo/Gt) NAOKI(Ba/Vo) KOUICHI(Dr/Cho)
Interviewer:西廣 智一
-自分たちが10代のころは、例えば30代や40代の先輩方が歌っていた曲って、時には難しくて全部理解できないこともあったけど、それでも何か引っ掛かるもの、魅かれるものがあったと思うんです。それが歳を取っていくことで、そのわからなかった意味がどんどん理解できるようになる。今の若い子にとって10-FEETの楽曲って、もしかしたらそういう存在になりつつあるのかなって。特にこの1年の間に発表された楽曲には、そういう要素が強い気がします。
TAKUMA:そうであったなら嬉しいですね。ある程度そうなったらいいなという思いもある反面、人によって解釈は自由だし、毎回音楽を出すにあたって、ひょっとしたら誤解もあるだろうとも腹を括ってるところもあるんです。だからそういうときは、"メッセージとか歌詞の内容は、俺はまったく同意できへんけど、メロディがいいんだよな"とか、"リズムがいいんだよな"とか、音楽ってそうじゃないといけないなとも思っているので。
-その腹の括り具合が音楽の中に、説得力として表れているんじゃないかと思います。
TAKUMA:だといいですね(笑)。
-にしても、昨年7月の『アンテナラスト』からすごくいいペースでリリースが続いてますね。
TAKUMA:そうですね。どうしたんでしょうかね(笑)?
-それ以前の4年間を考えるとたしかにそうですよね。
TAKUMA:そうだなぁ......考えすぎてた時期かもしれないですけどね。でも、たまに考えすぎた方がいい気もします。
-ちょうど前作『ヒトリセカイ×ヒトリズム』の際にお話を聞いたとき(※2017年1月号にインタビュー掲載)、シングルというのはそのときそのときの近況報告じゃないけど、手紙のような作品だとおっしゃっていて。昨年夏から半年おきにシングルを3作発表してきたこのペースというのは、たしかに近況報告としてちょうどいい気がするんですよね。
TAKUMA:今回はシングルを3枚作るということを当初からこだわってやっていたので。例えばシングルを3枚出して、アルバムを作ってというプランがあったとして、そのプランとは別に、自分たちの頭の中にも胸の中にもある表現したいものを出すペース、またそれを外から吸い上げるというか、具現化するような作業、そして精神状態も含めて、インフラみたいなものを作る期間にもなっていってるんじゃないかと、なんとなく感じています。やりたいことというのは、常に音源を出してないときにもたくさんあったけど、それをどういう形で、どうやって出していいかがわからない時期が長かったから。そこで学んだこともあるし、今はそれを作っていくことによって学んでいる部分もあるんじゃないかな。そこは結果、振り返ってみればの話なんですけどね。
-それにしても、『アンテナラスト』、『ヒトリセカイ×ヒトリズム』に続くシングルで、「太陽4号」(Track.1)のようなバラードがくることにはちょっと驚かされたし、"そうきたか!"という嬉しさもあり。きっと多くの人が"この夏はどういうシングルで攻めるんだろう?"と思っていたところに、この意外性の強い作品ですからね。
TAKUMA:普通はアップテンポですよ、夏ですし(笑)。
-でも、ここまでの2作の流れを考えると、すごく納得のいく楽曲でもあるんですよね。改めて、シングルのタイトル"太陽の月"ですが、"太陽"は1曲目「太陽4号」の歌詞に出てきますけど、"月"というワードはどこから出てきたものなんでしょう?
TAKUMA:これは2曲目「月 ~sound jammer せやな~」が夜っぽいメロディやなというのをずっと思っていたのと、あとは同時にこの2曲を作り出して、テンポにかかわらず自分たちが楽曲に求める力というのは変わらへんなと思って。その表裏という意味も込めて、"太陽"と"月"を用いたんです。2曲目は比較的アップテンポだし、歌っている内容のテンションだけで言ったら高いというか、バカなことを遠慮なく音符にして、音とリズムを大事にして歌っている。そういうのも音楽のあるべき姿というか、文字やメッセージや歌詞じゃなくて、良いメロディで良いリズムやったらいいやというのも音楽の姿やと思うし。日本人はセカンド・ランゲージに英語がありながら、あまり英語がわからない、ヒアリングも話すこともあまり得意な人種じゃないけども、でも英語の音楽にも感動できるというのは音としてもリズムとしても楽しめるところがあるからであり、やっぱり歌詞に込める気持ちみたいなものもテンションも、歌詞の内容を超えてくると思うし。そういう意味で2曲目はすごく音楽的で、1曲目は日本という国のシーンで音楽をやってきたうえで出てきたもうひとつの答えだと思うし、そのふたつを合わせたのが3曲目「少し眠っていたんだ」だとも思っています。つまり、今までの10-FEETを1曲1曲に分けて極端に表現したような作品なのかな。